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飲食店の二重価格とは?インバウンド・外国人観光客向け価格設定のポイントと注意点

インバウンド客向け二重価格のポイント|飲食店経営PRO by poscube

飲食店で、インバウンド・外国人観光客向け価格と通常価格を分ける「二重価格」が注目されている。

ある大阪の人気ラーメン店は日本語メニューと外国語メニューを併用し、それぞれのメニュー価格に二倍の差を付けているとしてSNSで大きな論争を呼んだ。外国語メニューから注文した一部の外国人客が店にクレームを申し入れ、警察を巻き込むトラブルとなったニュースを耳にした人も少なくないだろう。

本稿では、二重価格設定を検討する飲食店経営者に向け、二重価格の現状、違法性や差別への懸念、メリット・デメリット、メニュー表示と価格設定のポイントを解説する。


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飲食店におけるインバウンド向け二重価格の現状

現時点では、日本の飲食店による二重価格(インバウンド・外国人観光客向け価格と、日本人・国内在住者向け価格を分ける仕組み)導入についての公的統計データは存在しない。
しかし、飲食店の二重価格の現状やそれに関するニュースなどについては、マスコミの報道に加えてSNSでの情報拡散などを体感している人が少なくないだろう。

東京・渋谷の海鮮食べ放題レストラン「海鮮バイキング&浜焼きBBQ玉手箱」では、2024年4月のオープン時から「日本人・国内在住者」と「外国人観光客」で料金を分ける二重価格を導入している。

例えば平日飲み放題付きディナーの料金は、外国人客7,678円(消費税込み)、日本人・国内在住者6,578円と、1,100円の差をつけている。利用客の約2割は外国人客だという同店では、入店時に日本人または国内在住者であることを確認し、それぞれの価格を適用させているが、これまでのところ特に大きなトラブルは生じていないという。

一方でトラブルになったケースも存在する。

ラーメン_訪日客|飲食店経営PRO by poscube

大阪のある人気ラーメン店では日本語メニューと外国語メニューを併用してそれぞれに価格を設定、日本語メニューで1,000円のラーメンと同等のものを外国語メニューで2,000円で販売していた。ところが、外国語メニューでラーメンを注文しようとした外国人客が日本語メニューでは半額で販売されているとして怒り出し、警察を巻き込むトラブルになったという。

結局、外国語メニューのラーメンは「外国人客専用の特別仕様」であることを説明して納得してもらったようだが、双方にわだかまりが残ったことは否めないだろう。

2026年7月には、京都の寿司店で日本語メニューと英語メニューの掲載内容や価格が異なるとして、韓国人YouTuberが「二重価格ではないか」と指摘した動画がSNSで拡散され、海外メディアでも取り上げられた。
一方、店舗側は料理の内容や注文単位が異なるため、外国人客だけに高い価格を設定したものではないと否定している。

 

飲食店が二重価格を導入するメリット・デメリット

ところで、飲食店がインバウンド向けの二重価格を導入するメリットは何だろうか。

大きなメリットの一つは、インバウンド対応によって増える費用や業務負担を価格に反映できることだ。

訪日外国人客を受け入れる飲食店では、外国語で接客できるスタッフの採用・教育、メニューの多言語化など、通常営業にはないインバウンド対応のための追加費用が発生する場合がある。特にフルサービスレストランのように、スタッフによる丁寧な説明や接客が求められる店舗では、外国語対応ができる人材の確保も必要になる。

また、メニューや注文方法の説明、外国語でのコミュニケーションに時間がかかることで、スタッフの業務負担が増えたり、接客時間や客席回転率に影響したりするケースも考えられる。

こうしたインバウンド対応に必要な費用や人的負担を価格設定に適切に反映できることは、飲食店が二重価格を導入するメリットの一つといえるだろう。

訪日客飲食|飲食店経営PRO by poscube

一方のデメリットだが、二重価格の設定により「ぼったくり」や「外国人差別」といったネガティブイメージを持たれるリスクが挙げられる。
特にSNSなどで「あの店は外国人からぼったくる」といった情報が拡散してしまうと店の評判はガタ落ちになる。特にインバウンド客に売上の一定額を依存している店の場合には大きなマイナスとなる。

二重価格を導入するに際しては、導入によって得られるメリットとデメリットを比較し、慎重に検討する必要がある。
ひとたび「ぼったくり」の汚名を着せられてしまった場合のダメージは、想像以上に大きくなることを肝に銘じておくべきだろう。

飲食店の二重価格は違法?差別やメニュー表示の注意点

飲食店の二重価格が直ちに違法かどうかは、適用条件や表示、商品・サービス内容など個別事情によって異なる。

国籍だけを理由に価格差を設ければ「外国人差別」と受け取られるリスクがあり、価格や対象条件を曖昧に表示すると、消費者の誤認やトラブルにもつながりかねない。

メニューには税込価格、適用対象、料理・サービス内容の違いを注文前に分かる形で明示し、導入前に必要に応じて弁護士などの専門家へ確認したい。

 

二重価格の設定方法と導入時のポイント

では、実際に二重価格を導入する際のポイントは何だろうか。

第一のポイントは、外国人観光客向け価格を設定する理由を明確にすることだ。

単に「外国人だから別料金」というのではなく、なぜ別料金を設定するのかを明らかにする必要がある。「スタッフの外国語教育やメニューの多言語化にコストがかかるため」「外国人客向けに料理のボリュームを通常より3割程度増やしているため」「外国人客のための特別食材を使用しているため」等々、実際にコスト高になっている原因をつまびらかにするのだ。

訪日客_バーカウンター|飲食店経営PRO by poscube

第二のポイントは、価格差と適用条件をメニュー上で明確に表示し、「説明と理解」を得ることだ。

二重価格導入の理由が明確になったところで、それが外国人客にきちんと説明され、理解されなければ意味がない。上述の「海鮮バイキング&浜焼きBBQ玉手箱」では、専用スタッフが外国人客に対して価格の違いなどについて丁寧に説明し、理解を得ている。説明を受けたお客は納得した上で料金を支払っている。

メニューや店頭には、税込価格、適用対象、追加される料理・サービスの内容を注文前に分かる形で表示することが重要だ。

第三のポイントは、外国語メニューで料理内容と価格を正確に表示することだ。

上述の大阪のラーメン店では、日本語メニューと外国語メニューのそれぞれにおいて「ラーメン」という同じ表記を用いていた可能性が疑われる。「外国人客のための特別食材を使用している」といった場合においては、とりわけその旨をアピールする必要がある。
例えば、単に「Ramen」と表記するのではなく、「Ramen special version for foreign customers」といった風にだ。当然ながら、まったく同じ商品を違う表記で表すだけなどはすべきでない。

インバウンド向けメニュー|飲食店経営PRO by poscube

 

二重価格以外の選択肢-居住者割引・専用メニュー

外国人観光客だけを高くする見せ方に抵抗がある場合は、通常価格を基準に日本国内の居住者へ割引を設ける「居住者割引」や、料理量・食材・付帯サービスが異なる専用メニューを用意する方法も考えられる。

具体例として、店舗の所在地域に住む人を対象とする「地元住民割引」や、日本国内に住所を有する人を対象とする「日本在住者割引(国内在住者割引)」などがある。いずれも外国人観光客向けの価格を上乗せするのではなく、通常価格を基準とし、住所確認など所定の条件を満たす利用者に割引を適用する仕組みである。適用条件や確認方法は店頭・メニューで事前に示し、国籍ではなく居住地などの客観的な条件に基づいて公平に運用したい。

 

poscubeを活用して外国人観光客向けメニューと二重価格を設定

なお、本ブログを主宰している株式会社フォウカスのモバイルオーダーシステムposcubeを使えば、二重価格導入をストレスフリーで実現できる。

日本人・国内在住者用通常メニューに加えて「インバウンド客用メニュー」も設定できるので、各メニューアイテムの価格も自由に設定できる。「ハラルメニュー」などと同様に、通常メニューとは別のカテゴリーとして運用できるので、インバウンド客も違和感なく利用できる。これから二重価格導入を検討する人にとっては、まさに打って付けといっていいだろう。

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まとめ:飲食店の二重価格は説明と明確な表示が重要

インバウンド客増加のトレンドが続くと予想される今後、二重価格導入を検討する飲食店が増えてくることは間違いない。

インバウンド客が訪日時に楽しみにしている最大のことのひとつは「日本食を食べること」であるとされているが、二重価格を導入するに際しても、そうしたインバウンド客の期待を裏切らず、「ぼったくり」などのネガティブイメージを持たれることがないよう十分に注意していただきたい。

 

参考:FAQ

Q. 飲食店における二重価格とは何ですか?

A. インバウンド・外国人観光客向けの価格と、日本人・国内在住者向けの価格など、同じ店舗で適用条件に応じて複数の価格を設定する仕組みです。

Q. 飲食店で外国人観光客向けに二重価格を設定することは違法ですか?

A. 直ちに違法かどうかは、適用条件、価格表示、料理やサービス内容などの個別事情によって異なります。国籍だけを理由にした価格差は外国人差別と受け取られるリスクがあるため、導入前に必要に応じて専門家へ確認してください。

Q. 二重価格をメニューに表示するときのポイントは何ですか?

A. 税込価格、価格が適用される対象、料理量・食材・付帯サービスなどの内容差を、注文前に分かる形で日本語と外国語の両方に明示します。表示内容と実際の提供内容を一致させることも重要です。

Q. 外国人観光客との料金トラブルを防ぐにはどうすればよいですか?

A. 価格差を設ける理由を明確にし、スタッフが注文前に丁寧に説明できる運用を整えます。通常価格を基準に国内居住者へ割引を設ける居住者割引や、内容の異なる専用メニューも選択肢です。具体的には、通常価格から一定条件を満たす人に割引する「地元住民割引」や「日本在住者割引(国内在住者割引)」があり、国籍ではなく居住地などの客観的な条件と確認方法を事前に明示します。

 

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参考データ・出典


執筆者プロフィール
前田 健二(まえだ・けんじ)
maeda大学卒業後渡米し、ロサンゼルスで飲食ビジネスを立ち上げる。帰国後複数の企業の起業や経営に携わり、2001年に経営コンサルタントとして独立。新規事業立上げ、マーケティング、アメリカ市場進出のコンサルティングを行っている。米国のベストセラー『インバウンド マーケティング』(すばる舎リンケージ)の翻訳者。明治学院大学経済学部経営学科博士課程修了、経営学修士。