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安定経営なら駅近より住宅地を狙え!住宅街の飲食店の集客方法と住宅地タイプ別の攻め方

これまで飲食店の立地といえば、ターミナル駅の駅近物件がもっとも有利だとされてきました。人通りが多く、看板を出しておけば新しいお客様が次々に入ってくるからです。

しかし、家賃は高く、近くには競合店がひしめいています。一方で、ここ数年は住宅地で店を開き、地域の常連に支えられて安定した経営を続ける飲食店も目立つようになりました。

ここでは、住宅街の飲食店が集客で勝つための考え方について、駅近の店との違い、住宅街で効く集客の手段、住宅地のタイプ別の攻め方の順に考えていきます。

1 住宅街と駅近では集客の前提が違う

この章のポイント

駅近は「見つけてもらう」競争、住宅街は「覚えてもらう」積み重ねです。同じ集客の手段でも、力を入れるところが逆になります。

まずは、住宅街と駅近の店では何が違うのかを整理してみましょう。

表は横にスクロールできます。

観点住宅街駅近・繁華街
商圏徒歩・自転車で来られる範囲が中心で狭い通勤客・通過客を含めて広い
来店のきっかけ目的来店・日常の利用通りがかり・その場での比較
主な客層近所の家族・高齢者・単身者会社員・買い物客・来街者
にぎわう曜日・時間帯週末と夕方以降が中心(平日の昼は地域しだい)平日の昼と夜、金曜の夜
競合少なめ。ただしチェーン店やスーパーの総菜とも比べられる多い。近くの店と並べて比べられる
家賃抑えやすい高い
特に効く集客の手段LINE公式アカウント、Googleマップ、店頭グルメサイト、Googleマップ、Instagram

駅近の店は、とにかく見つけてもらうことが勝負です。通りがかりのお客様が多く、グルメサイトの写真やメニューで近くの店と比べられるため、どれだけ目立てるかで売上が変わります。

一方、住宅街では新しいお客様の数に限りがあります。そのかわり、一度来てくれたお客様が月に何回来てくれるか、家族やご近所に勧めてくれるかで売上が大きく変わるのです。つまり住宅街の集客とは、「広く知らせる」ことより「近所の人とのつながりを切らさない」ことだと言えます。

駅前・オフィス街・郊外・観光地など、ほかの立地で力を入れるべきチャネルについては、飲食店の集客方法|5チャネルの使い分け(9章 立地別の優先順位)で比較しています。

2 住宅街で効く集客の手段

この章のポイント

入口はGoogleマップ、つなぎ止めはLINE、思い出してもらうのは店頭。この3つを先に固め、Instagramは地域向けの発信に絞ります。

では、住宅街の飲食店は、具体的にどのような手段でお客様を集めればよいのでしょうか?

Googleマップ(Googleビジネスプロフィール)で見つけてもらう

引っ越してきたばかりの人や、いつもと違う店を探している人は、地図アプリで近くの店を探します。そのときに表示されるのが、Googleビジネスプロフィール(無料)に登録した情報です。写真・メニュー・営業時間はきちんと載せておきましょう。

Googleは、地図検索の表示順を主に「関連性」「距離」「知名度」の3つで決めていると説明しています(Google ビジネス プロフィール ヘルプ)。「距離」が考慮される以上、近所の人の検索には住宅街の店も十分に表示されうると言えるでしょう。

また、近所の人は口コミをよく見ています。Googleも、口コミの数が多く評価の高いビジネスは地図検索で上位に表示されやすいとしています。口コミには一つひとつ丁寧に返信しておくと、「ちゃんとした店だ」と感じてもらえるでしょう。なお、返信するにはビジネスのオーナー確認が必要です。

定休日や臨時休業も、特別営業時間として登録しておきます。住宅街の常連にとって、「行ってみたら閉まっていた」ほどがっかりすることはありません。

LINE公式アカウントでつながり続ける

住宅街の集客で、もっとも頼りになるのがLINE公式アカウントです。会計のときの声かけや、テーブルのQRコード、店頭のPOPで友だち登録を案内します。

配信するのは、「今週の日替わり」「雨の日クーポン」「年末年始の営業日」など、近所の人にとって役に立つ情報です。送りすぎるとブロックされてしまうので、月に数回までにしておくのが無難でしょう。

なお、無料のコミュニケーションプランで送れるのは月200通までです。友だちが200人いれば、月1回の配信で上限に届きます。友だちが増えてきたら、ライトプラン(月額5,000円・税別、5,000通)などへの切り替えを考えましょう。2026年10月にスタンダードプランの追加メッセージ料金が改定されますが、月額固定費と無料の通数は変わりません。

店頭で思い出してもらう

住宅街の店の前は、同じ人が毎日のように通ります。店頭の黒板やおすすめメニューをこまめに替えておけば、それを見た人が「今度行ってみよう」と思うきっかけになるはずです。

また、「子ども連れ歓迎」「テイクアウトあり」「駐車場・駐輪場あり」といった情報は、外から見える場所に書いておきます。初めてのお客様は、店に入っていいのかどうかを外から判断しているからです。

Instagramは地域向けの発信に絞る

Instagramも役に立ちますが、住宅街の店が遠くのファンを増やしても、なかなか来店にはつながりません。むしろ、投稿に地域名を入れて近所の人に見つけてもらい、ストーリーズで当日の売り切れや臨時休業を知らせる、といった使い方が向いています。

関連記事飲食店の集客・リピーターを増やすための最強ツール[LINE公式アカウント活用]

関連記事飲食店の集客方法|Googleマップ・グルメサイト・自社HP・Instagram・LINEの使い分けを比較表で解説

3 住宅地にも種類がある

この章のポイント

「住宅街」とひとくくりにせず、6つのタイプのどれに近いかを見ると、メニュー・価格・営業時間の決め方が変わります。

ここで改めて、住宅立地について考えてみたいと思います。

これまで、飲食店の住宅立地を詳しく分析していたのはファミリーレストランくらいで、「住宅立地」とひとくくりにされることも多いものでした。しかし、詳しく見ていくと住宅地にはいくつもの種類があり、それぞれに合った戦略を取らなければ勝てなくなっています。

実際、暮らし方そのものも変わってきました。2020年の国勢調査では、一般世帯のうち「単独世帯」が38.1%でもっとも多く、「夫婦と子供から成る世帯」は25.1%でした。また、65歳以上の人がいる世帯は一般世帯の40.7%を占めています(総務省統計局「令和2年国勢調査 人口等基本集計結果 結果の概要」)。「住宅街=ファミリー層」という思い込みは、もはや通用しないと言えるでしょう。住宅地を分けると、次のようになります。

新興住宅地

新しく開発された分譲住宅やマンションが多い街です。住んでいるのは子育て世代が中心で、外食の頻度も高い傾向にあります。

攻め方:子ども連れでも入りやすい店づくりと、共働き世帯向けの平日夜のテイクアウトが効きます。開発されて間もない場所なら飲食店がほとんどなく、出店コストも抑えられるでしょう

成熟した住宅地

かつて新興住宅地として開発されたエリアです。一戸建てや分譲マンションが多く住み替えが少ないため、月日とともに住民の年齢が上がっていきます。

攻め方:子どもが独立すると親世代の消費はしぼむと言われますが、食への一定のニーズは続きます。子どもが大人になっても同居を続ける家庭も多く、家族の集まりの需要も見込めます。ただし、人口が少しずつ減っていく地域もあるので見極めが重要です

高級住宅地

昔からの高級住宅地もあれば、タワーマンションが建った新しい高級住宅地もあります。どちらも所得の高い人が集まっています。

攻め方:客単価が多少高くても、こだわりの専門店が受け入れられます。味はもちろん、内装や器、接客にまでこだわらなければなりません。ターミナル駅よりは割安に出店できますが、安っぽい店は避けるべきでしょう

下町

人のつながりが深く、支え合う意識の強い街です。若い人から高齢者までさまざまな年齢の人が暮らし、おしゃれさより日常使いの店が好まれます。

攻め方:商店会など地域とのつながりを大切にし、顔を覚えてもらえれば、長く安定した常連がつきます。ただし評判は人づてに広がるので、悪い評判も速く広がる点には注意が必要です

単身者の多い地域

ワンルームから1DK程度のマンションが多い地域です。単身者と、若い夫婦だけの世帯が混ざっていることが多くなります。

攻め方:ひとりで外食を楽しむ人が増えているので、少量のメニューと手ごろな価格が欠かせません。テイクアウトの需要も見込めるでしょう。ただし転入・転出が多いため、新しく住み始めた人に知ってもらう仕掛けを続ける必要があります

団地・集合住宅の多い地域

団地などの集合住宅が多い地域は、団地の雰囲気によって住んでいる人の年齢層が変わります。子育て世帯が多いところもあれば、高齢の世帯が多いところもあります。

攻め方:高齢の世帯が中心なら、手ごろな日替わり弁当の配達をすると利用の機会が増えます。子育て世帯が多いなら、店頭でのテイクアウト販売がよいでしょう。住んでいる人のニーズに合わせることがカギを握ります

どのタイプでも見逃せないのが、家で食べる需要です。総務省の家計調査によると、二人以上の世帯が2025年に弁当や総菜などの調理食品に使った金額は1世帯あたり年162,964円で、コロナ前の2019年(128,386円)から約27%増えました(名目、総務省「家計調査」2025年)。スーパーやコンビニの総菜と比べられることも意識しつつ、テイクアウトを用意しておくと、住宅街の店の強い武器になるはずです。

自店の周りがどのタイプに近いかは、実際に歩いて、建物の種類や通る人の年齢層を見てみるのが一番確実です。統計で確かめる方法は5章で紹介します。

4 規模が小さくても感覚的な経営はNO!

この章のポイント

住宅街の店は売上の規模が小さいぶん、勘に頼った経営だと傾くのも速いです。見る数字を決めて、こまめに確かめます。

一般的に、住宅街の店はターミナル駅の店より売上が少なくなります。では、オーナーが得られる利益も少ないかと言えば、必ずしもそうとは言えません。

経営の基本は、固定費を低く抑えることです。飲食店の固定費でもっとも大きいのは家賃であり、これを低く抑えられるのが住宅街の強みです。よく「家賃は売上の10%以内」「売上の3日分」が目安だと言われます。これは業界の経験則ですが、中小企業庁の統計から計算すると、中小の飲食店が払う地代家賃は売上高の約7%(法人)〜約9%(個人経営)で、おおむねこの目安の範囲に収まっています(中小企業庁「中小企業実態基本調査」令和6年確報の業界全体の値から算出)。家賃が高ければ、それだけ高い売上が必要になります。高い売上を上げるにはスタッフが必要になり、経費はどんどん増えていきます。人件費も食材費も上がり続けるなか、コンパクトな経営は非常に有効なのです。

筆者の知る飲食店は3店舗を経営しており、2店舗はかなり大きな駅近物件、残る1店舗は乗降客数3万人程度の駅から歩いて3分ほどの住宅地の物件です。このうち、もっとも多くの利益を出しているのは住宅地の店舗。このような例は決して珍しくありません。

ただし、売上が小さいからといって、やるべきことが減るわけではありません。売上が小さいと感覚的な経営でも何とかなると思いがちですが、それは正しくありません。住宅街の店こそ、次のような数字を日ごろから見ておきましょう。

数字見る理由取り方
再来店の割合・来店頻度住宅街の売上はリピーターで決まるPOSレジの顧客データ、LINEのショップカード
曜日・時間帯別の売上平日の昼が弱い、週末の夜に偏るなど、地域の生活リズムが表れるPOSレジの時間帯別レポート
客単価とメニュー別の出数客層に合った価格・量になっているかPOSレジのメニュー別集計
家賃の対売上比率住宅街の強みである固定費の低さを保てているか毎月の売上と家賃から計算

客層を予想してオープンしたものの、実際に来るお客様が予想と違うと感じたら、雰囲気やメニュー構成をいち早く変えます。食材が値上がりしたときも、量を減らすか、代わりの食材で補うか、メニューから外すかをスピーディに判断します。この素早い対応ができるかどうかが重要です。

労務管理や経理のように、時間をかければ自分でできそうな作業でも、肝心の時間がないというのはよくあること。外に任せられることは任せ、経営判断に力を割くようにしましょう。また、POSレジは必ず導入し、勘に頼った経営にならないよう心がけてください。日ごろの管理が楽になるだけでなく、迷ったときの決断を支えてくれます。

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5 開業前に確かめたい住宅立地のポイント

この章のポイント

住宅街の立地は「駅から何分か」より、徒歩・自転車で来られる範囲に誰が住んでいるかで決まります。

これから住宅街に出店するなら、次のポイントを確かめておきましょう。

  • 商圏の世帯構成:子育て世帯・高齢世帯・単身世帯のどれが多いか。3章のタイプのどれに近いかを見ます
  • 生活動線:スーパーや駅、学校・保育園など、住民が毎日通る道の途中にあるか
  • 競合:同じジャンルの店だけでなく、チェーン店やスーパーの総菜・弁当とも比べられます
  • 駐車場・駐輪場:車や自転車で来る人が多い地域では、停められるかどうかが来店を左右します
  • 視認性:通る人から店が見えるか、何の店なのかが外から分かるか
  • 家賃:住宅街の強みは固定費の低さです。見込める売上に対して無理のない家賃か確かめます

地域の人口や世帯の構成は、政府統計の総合窓口「e-Stat」が無料で提供している地図ツール「地図で見る統計(jSTAT MAP)」で、国勢調査などのデータを地図の上に表示して確かめられます(すべての機能を使うにはログインが必要です)。

開業準備の全体の流れは、Googleマップ・LINE・Instagramなどの準備を15項目にまとめたチェックリストでも確認できます。

PDFこのチェックリストをPDFで保存する(登録不要・A4・2ページ)

関連記事小さな飲食店を開業するメリット・デメリットと成功するコツ

まとめ

飲食店を長く続けるポイントは、ターミナル駅で大きな店をやることだけではありません。住宅街でコンパクトに経営し、着実に利益を上げていく方法もあります。売上が少なくても、利益が少ないとは限らないからです。

住宅街の集客は、Googleマップで見つけてもらい、来店時にLINEでつながり、店頭で思い出してもらうことが基本です。そのうえで、自店の周りが6つのタイプのどれに近いかを見て、メニューや営業時間を合わせていきます。無用な競争に巻き込まれず、常連を相手に商売ができるのも住宅街の良さと言えるでしょう。

新しい出店を考えるなら、住宅地への出店を計画してみてはいかがでしょうか?

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6 よくある質問

Q. 住宅街と駅近、飲食店を開くならどちらが有利ですか。

A. どちらが有利というより、向いている経営のしかたが違います。駅近は新規のお客様が多い一方で、家賃と競合の負担が重くなります。住宅街は新規のお客様が限られる一方で固定費を抑えやすく、常連がつけば安定します。小さな店で長く続けたいなら住宅街、席数と回転で売上を作りたいなら駅近、というように、自店の業態と規模から考えるとよいでしょう。

Q. 住宅街の飲食店が最初にやるべき集客は何ですか。

A. Googleビジネスプロフィールの登録と整備、そしてLINE公式アカウントの開設です。近所の人に見つけてもらう入口と、一度来たお客様とつながり続ける手段を、開業日までにそろえておきましょう。

Q. 住宅街ではチラシやポスティングは効果がありますか。

A. 開業時の告知や、新しく住み始めた人が多い地域では、近所の人に店を知ってもらう手段になります。ただし一度配って終わりにせず、チラシにLINEの友だち登録のQRコードを載せるなど、次の来店につなげる工夫をあわせて行いましょう。


出典

本文の記述は、以下の公式サイトおよび公表資料にもとづきます。2026年9月27日時点の確認結果です。

・Google ビジネス プロフィール ヘルプ「クチコミの管理と返信」: https://support.google.com/business/answer/3474050?hl=ja
・Google ビジネス プロフィール ヘルプ「特別営業時間」: https://support.google.com/business/answer/6303076?hl=ja
・LINEヤフー for Business「LINE公式アカウント 料金プラン」: https://www.lycbiz.com/jp/service/line-official-account/plan/
・e-Stat「地図で見る統計(jSTAT MAP)」: https://www.e-stat.go.jp/gis
・Google ビジネス プロフィール ヘルプ「Google のローカル検索結果のランキングを改善する方法」: https://support.google.com/business/answer/7091?hl=ja
・総務省統計局「令和2年国勢調査 人口等基本集計結果 結果の概要」: https://www.stat.go.jp/data/kokusei/2020/kekka/pdf/outline_01.pdf
・総務省「家計調査」2025年 品目分類 年間支出金額(二人以上の世帯): https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000040409546&fileKind=0
・総務省「家計調査」2019年 品目分類 年間支出金額(二人以上の世帯): https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000031909555&fileKind=0
・中小企業庁「中小企業実態基本調査」令和6年確報(法人企業・飲食店): https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000040303383&fileKind=0
・中小企業庁「中小企業実態基本調査」令和6年確報(個人企業・飲食店): https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000040303384&fileKind=0