ハリウッドスターのマーク・ウォールバーグが、オーストラリアとニュージーランドにハンバーガーレストランを20店出店する計画を発表して話題になっている。『ディパーテッド』でアカデミー助演男優賞・ゴールデングローブ助演男優賞にノミネートされ、2017年には「世界で最も稼いだ俳優」一位を獲得した人気スターの計画を、現地のコロナ状況とともに紹介する。

 

マーク・ウォールバーグというハリウッドスター

マーク・ウォールバーグをご存知だろうか。マーク・ウォールバーグ(Mark Wahlberg)は『パーフェクトストーム』『猿の惑星』『ディパーテッド』『トランスフォーマー』などの数々の作品に出演し、アメリカでは知らない人がいないほどの人気ハリウッドスターだ。2010年にはハリウッドのウォーク・オブ・フェームにその名が刻まれ、殿堂入りも果たしている。

そのウォールバーグだが、映画俳優のほかにレストラン経営者としての顔も持っている。ウォールバーグは、自らの名前を冠したハンバーガーレストラン「ウォールバーガーズ」を立ち上げ、全米各地で49店舗を運営している。また、国外でもカナダとドイツでそれぞれ1店舗を運営している

ウォールバーガーズのハンバーガーは、いわゆるオールドファッションのアメリカンハンバーガーだ。大きめのハンバーガーパティにチーズ、レタス、トマト、オニオン、ピクルスを乗せ、オリジナルの「ウォールソース」をたっぷりかけて食べる。柔らかめのバンとグリルで焼いたパティの組み合わせが絶妙で、美味しいと評判だ。

そのウォールバーガーズが、史上初めて「ダウンアンダー」(オーストラリアとニュージーランドを指す英語のスラング)にやってくることになったわけだが、ハリウッドスターの出店計画とは、一体どのようなものなのだろうか。

シネコンのユナイテッド・シネマとコラボで20店をオープン

ウォールバーガーズ公式サイト
ウォールバーガーズ公式サイト

オーストラリアのメディアが報じたところによると、ウォールバーグはオーストラリア最大のシネマコンプレックス運営企業ユナイテッド・シネマと共同で、オーストラリアとニュージーランドにウォールバーガーズをオープンさせるとしている。

発表された計画によると、両者はまず、ユナイテッド・シネマのシネマコンプレックス内にビルトイン型のウォールバーガーズをオープンさせ、各種のハンバーガー、フレンチフライ、シェイク、ビールなどのアルコール類を販売するという。お客は映画を楽しむと同時に「ハリウッドの味」を堪能できるというわけだ。その後、20店の店舗型ウォールバーガーズを各地でオープンさせるという。

ユナイテッド・シネマのサム・ムスタカCEOは、店舗型ウォールバーガーズの第一号店はシドニー市内に開設し、その後メルボルン、パース、ブリスベン、ニュージーランドにオープンさせるとしている。第一号店のオープンは今年後半で、その後五年間で20店舗をオープンさせる計画だとしている。

ムスタカCEOによると、同氏はオーストラリアとニュージーランドにウォールバーガーズをオープンさせる計画を数年前から検討し、ウォールバーグ氏と協議を重ねてきたという。コロナのパンデミックで世界中の飲食店が厳しい経営を強いられる中、同氏の計画は常識外れのようにも見える。オーストラリアとニュージーランドは、飲食店が新規開業できる状況にあるのだろうか。


コロナの被害が比較的小さいオーストラリア

オーストラリア保健省の発表によると、本記事執筆時点(2021年2月18日)のオーストラリア国内の新型コロナウィルス感染者数は28,912人で、累計死亡者数は909人となっている。オーストラリアは比較的早くから海外からの旅行者の入国を原則禁止し、新型コロナウィルスの流入を防いでいる。また、州をまたいだ移動にも制限が課せられている。その結果、ウィルスの封じ込めが一定程度成功したとして、シドニー大都市圏などが感染多発地帯から除外されている。

シドニー大都市圏、ブリスベン大都市圏などの主要都市圏ではマスク着用が義務化され、集会での人数制限やソーシャルディスタンシングの規制が課せられているものの、ナイトクラブを除いた飲食店は通常通り営業している。一方、クラスターが発生したノーザンビーチ市北部地域では、テイクアウトを除き、すべての飲食店の営業が禁止されている。オーストラリアのコロナ事情は、夜明けが近づいているものの、局地的に一進一退を続けている状況のようだ。

コロナ対策の優等生ニュージーランド

ニュージーランドはどうだろう。本記事執筆時点のニュージーランドの新型コロナウィルス感染者数は2,348人で、累計死亡者数26人となっている。ニュージーランドは、世界的なパンデミックが始まった昨年2月の翌月に世界でもっとも早く国家レベルのロックダウンを実施し、コロナウィルスの流入阻止に成功したとされる。2020年5月2日から102日間新規感染者数ゼロを記録し、現時点も新規感染者数が低水準で推移している。

現地に住む日本人によると、現在のニュージーランドは稀に局所的な規制があるものの、マスク着用どころかソーシャルディスタンシングも課せられない「普通の状態」に戻っているという。一方で、海外からの入国については未だに厳しい制限が課せられている。

アフターコロナでオーストラリアとニュージーランドが先例となるか

一見したところ、ニュージーランドはコロナの封じ込めにほぼ成功し、オーストラリアはコロナの収束に向けて少しずつ前進しているといった状況だろう。そうした状況の中、ウォールバーグがウォールバーガーズをオープンさせるというニュースは、両国のメディアによって非常に好意的に報じられている。コロナで生活の行動変容が求められた両国民にとって、久しぶりに聞く明るい話題なのだろう。日本を含む世界の他の多くの国においては、まだ当面は聞けないであろう話題だ。

いずれにせよ、オーストラリアとニュージーランド、特にニュージーランドが「コロナ後」の世界を示す先例になりそうなのは間違いない。コロナ後の飲食業界の姿を占うという意味で、両国におけるウォールバーガーズの展開には注目すべきだろう。

参考URL
https://7news.com.au/entertainment/mark-wahlberg-to-bring-his-burger-chain-wahlburgers-to-australia-and-new-zealand-c-1889826
https://www.stuff.co.nz/business/123887985/mark-wahlberg-is-bringing-his-burger-chain-wahlburgers-to-nz

 

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