日本でも都市圏を中心に見かけるようになったUber Eats をご存知だろうか。Uber Eats(ウーバー・イーツ)とは、アメリカのライドシェアリング企業Uberが2014年に開始したフードデリバリープラットフォームだ。当初はUber Freshとしてカリフォルニア州サンタモニカでサービスを開始し、その後現在のUber Eatsに商号変更された。なお、Uber Eatsは今日現在、アメリカの各都市の他、カナダ、メキシコ、南アフリカ、オーストラリア、ヨーロッパ、アジアでもサービスを提供している。アジアでは日本の他、タイ、香港、台湾、ベトナムなどでもサービスを提供している。



あらためてUber Eatsについて

UBER eats

Uber Eatsの仕組みはシンプルだ。ユーザーは、まず専用のアプリをスマホかタブレットにインストールするか、パソコンでUber Eatsのウェブサイトへアクセスする。アプリを立ち上げると登録画面が表示され、ユーザーは氏名、住所、電話番号、クレジットカード番号などの情報を登録する。登録が終われば、ただちに注文可能だ。

Uber Eatsには自分の店の料理の配達を希望する飲食店が多数登録している。ユーザーは、Uber Eatsに登録された飲食店を選び、料理を注文する。料理が注文されると飲食店にその情報が送られ、飲食店は料理をつくり始める。

注文情報はその飲食店の周辺で待機しているドライバーたちにも送られる。配達引き受けが可能なドライバーはスマートフォンから配達を引き受けた旨を送信して調理が完了するころにお店に向かう。ドライバーはお店で料理をピックアップし、そのままユーザーの指定した場所へ配達して終了だ。

 

歩合で稼ぐUber Eatsのパートナー

ところで、Uber Eatsの配達ドライバーは、いずれも歩合給で働いている。歩合はピックアップフィーとドロップオフフィーの基本料と、配達する距離によって決まる加算金で構成される。また、歩合から25%のトランザクションフィーがUberによって徴収される。ユーザーからドライバーにチップが支払われた場合は、100%ドライバーのものになる。

なお、Uber Eatsのドライバーになるには、年齢が19歳以上であること、有効な運転免許証を有していること、1年以上の運転経験があること、1998年より後に製造された保険付きの自動車を使うこと、30ポンド(約13.6キログラム)の重量のものを持ちあげられること、などの条件を満たせば原則誰でもなれる。また、すでにUberドライバーとして登録している人であれば、オプションでUber Eatsに参加可能だ。

 

Uber Eatsのドライバーは実際にいくら稼いでいる?

では、実際のところ、Uber Eatsのドライバーは、一体いくらくらい稼いでいるのだろうか。ライドシェアリングドライバーの情報共有サイト・ライドシェアリングドライバー・ドットコムによると、Uber Eatsのドライバーはガソリン、車の減価償却費、保険料などを控除した金額で時給8ドル(約880円)から12ドル(約1,320円)程度を稼いでいるという。

一般的なUberドライバーの収入が同じ時給換算で11ドル(約1,210円)から16ドル(1,760円)とされているが、Uber Eatsのドライバーが稼ぐ金額はUberドライバーのそれよりも若干低いようだ。

また、Uber Eatsの歩合給はエリア毎にそれぞれ設定されていて、当然ながら都市部のレートが高く設定されている。一般的には、ニューヨーク、ペンシルバニア、ニュージャージーなどの東海岸の都市部と、ロサンゼルス、サンフランシスコなどの西海岸の主要都市のレートが高く設定されている。また、注文が増加する夜間や週末などには特別レートが適用され、通常よりも多く稼ぐ事が可能になる。

なお、ある現役のUber Eatsのドライバーが、一週間で実際に稼いだ収入額を公開している。ニューヨークのダウンタウンをエリアに朝、昼、夜とそれぞれ2-3時間ずつ、一日最大9-10時間Uber Eatsのドライバーをしているという彼は、日曜日以外は毎日仕事をしていという。平日のグロスの平均時給は15ドル(約1,650円)で、土曜日は18ドル(約1,980ドル)に上がるという。週のトータルの収入は1,176ドル(約129,360円)で、ガソリン代、車の減価償却費、保険料などを控除すると838ドル(約92,180円)になるそうだ。

1週間6日働いて838ドル(約92,180円)を稼いでいるわけだが、これを高いとみるか安いと見るかは人によるだろう。筆者がみたところ、ニューヨークのように物価が高いところで暮らしてゆくには、この金額ではやや心もとないように見える(ニューヨークは、特に家賃が高い事で有名だ)。

 

日本でのUber Eats

Uber Eatsは2016年10月から日本でもサービスを開始し、現在は東京、大阪、神奈川の繁華街を中心にサービスエリアを拡大している。日本での配達は、アメリカとは違って自転車や小型バイクによる配達が中心だ(なお、アメリカでも都市部であれば自転車バイクを使って配達することが可能だ)。

なお、日本におけるUber Eatsのサービスそのものは軒並み好評のようで、実際に筆者の知人の一人はUber Eatsを頻繁に利用し、絶賛している。380円の配達料を払うだけでどこにでも配達してくれるUber Eatsを使う方が、ランチ難民で混雑しているお店で食べたり、列に並んだりするよりも全然いいという(なお、Uber Eatsは自宅や職場以外にも、公園などにも配達してくれる)。

UBER Eatsアプリ
UBER Eats アプリ画面
配送料が上乗せされる時は赤枠内のアイコンが表示される

ただし、2018年5月頃から利用するエリアが混雑している場合は配送料金が上乗せされるようになりました。該当するエリア・時間帯にはUberEatsのアプリに掲載されている店舗の画面に配送料金アップを示すアイコンが表示されるようになっています。

日本のUber Eatsのドライバーが、実際にいくら稼いでいるかはわからない。多分、アメリカの水準とあまり変わらないような気もする。デリバリーという仕事のコストには、最終的にはその水準で良しとする人が現れなくなるまで、下方へ押し下げるプレッシャーがー働くからだ。

なお、アメリカでは通常のUberドライバーが、Uberの仕事を行うかたわら、平行してUber Eatsの仕事を行うケースが増えてきているそうだ。Uberのドライバーであれば、Uber Eatsの注文も受けられるので、時間の有効活用という意味ではベターだろう。

というわけで、筆者は今後のアメリカにおいては、UberとUber Eatsの仕事がかなり高い確率で統合されると予想する。あるいは、両者の仕事で得られる収入が均衡する水準にまで調整されると予想する。今やシェアリングエコノミーを象徴する企業となったUberだが、所得水準を含めた数字については、今後も興味をもって見続けて行きたいと思う。

 


参照

https://www.ridesharingdriver.com/driving-for-ubereats-what-its-like-delivering-food-for-uber/
https://blog.completepayroll.com/fees-earnings-and-the-financial-side-of-ubereats



ライタープロフィール

前田健二

東京都出身。2001年より経営コンサルタントの活動を開始し、現在は新規事業立上げ、ネットマーケティングのコンサルティングを行っている。アメリカのIT、3Dプリンター、ロボット、ドローン、医療、飲食などのベンチャー・ニュービジネス事情に詳しく、現地の人脈・ネットワークから情報を収集している。