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【飲食店のAI活用】AIによる在庫管理システム最新事例

飲食店のAI活用 AIによる在庫管理システム最新事例|飲食店経営PRO by poscube

多くの飲食店経営者にとって在庫管理は面倒で、出来ればあまりやりたくない仕事のひとつだろう。
しかし、在庫管理を適切に行うことは、店の経営状況を正しく把握し、欠品や過剰在庫、食材ロスを減らすうえで欠かせない。

近年は、この在庫管理をAIで効率化する取り組みが広がりつつある。AI在庫管理とは、画像認識による棚卸、販売データなどを使った需要予測、発注量の算出や自動発注などを、AIで支援する仕組みである。

アメリカでは、スターバックスが北米店舗にAIを使った在庫カウントシステムを大規模導入したことで注目を集めた。ところが2026年5月、同社は導入から約9カ月でその使用を打ち切っている。背景には、似た商品を取り違える、在庫を正しく数えられないといった認識精度の問題があったと報じられている。

AIを導入すれば、必ず在庫管理が効率化するとは限らない。重要なのは、AIが何を得意とし、どこに課題があるのかを理解したうえで、自店の業務に合うかを見極めることだ。

本記事では、アメリカの飲食店におけるAI在庫管理の事例を中心に、その仕組みやメリット、導入時の課題、日本国内での活用事例について紹介する。

 

飲食店にとって面倒な「在庫管理」

飲食店_在庫管理|飲食店経営PRO by poscube

飲食店の経営においてやっかいな仕事はいくつも存在するが、在庫管理がその中に含まれることに異を唱える人は少ないだろう。

業態や形態によって多少の違いはあるが、在庫管理はやっかいな仕事である一方、経営実態を正確に把握するために、さらに経営効率を追求するために必要不可欠なタスクである。一般的には、人間のスタッフが目視で棚卸を行い、帳簿上のデータと照合して記録するなどしてきた。

ところが、最近はこの面倒な在庫管理をAIにやらせ、人間を現場から解放する機運が高まっているという。

スターバックスが導入したAI在庫管理システム、その後は使用を停止

starbucks-Automated-Counting
出典:Starbucks

AIによる在庫管理の大規模な導入事例として注目されたのが、スターバックスコーヒーである。

スターバックスは2025年、NomadGoが開発したAI在庫管理ツール「Automated Counting」を北米の店舗へ展開した。タブレット端末のカメラなどを使って棚の商品や食材をスキャンし、AIがミルクやシロップなどの数量を自動でカウントする仕組みである。従来、人の目で一つずつ確認していた在庫を短時間で数えられることから、棚卸作業の効率化や在庫状況の把握に役立つ技術として期待されていた。

しかし、2026年5月、スターバックスは北米店舗でこのツールの使用を打ち切った。北米全店舗への導入から約9カ月での停止となった。

ロイターの報道によると、実際の店舗では似た種類のミルクを取り違えたり、商品をカウントし損ねたりするなど、在庫認識の誤りが頻繁に発生していたという。一方で、スターバックスは2026年2月の段階では、ツールの導入によって店舗の商品供給が改善したとも説明していた。
最終的にスターバックスは、在庫の数え方を全店舗で標準化することや、店舗への補充頻度を高めることを優先し、Automated Countingの利用を終了した。

この事例は、AI在庫管理が必ずしも導入するだけで業務効率化につながるわけではないことを示している。画像認識の精度だけでなく、店舗ごとの棚の状態や商品の似通い方、既存の在庫管理方法との相性なども含め、実際の店舗オペレーションの中で安定して使えるかを確認することが重要だろう。

AI在庫管理にはメリットだけでなく課題もある

AI在庫管理は、棚卸時間の短縮や発注業務の効率化、欠品・過剰在庫の抑制などに活用できる可能性がある。一方で、スターバックスの事例が示すように、AIによる認識が常に正確とは限らない。

特に画像認識を利用するシステムの場合、似たパッケージの商品や置き方の違いなどによって誤認識が発生する可能性がある。AIの算出結果をそのまま採用できず、結局スタッフによる確認が必要になれば、かえって業務負担が増えることも考えられる。

そのため、AI在庫管理を導入する際には「どれだけ高機能か」だけでなく、実際の店舗環境でどの程度の精度を確保できるか、人による確認をどこまで残すかまで含めて検討する必要がある。

関連記事:在庫管理とは何か?基本から適正在庫までを解説|在庫管理110番

AI在庫管理システムが向いている店舗とは?

ファストフードレストラン|飲食店経営PRO by poscubeところで、一般的に飲食店がAI在庫管理システム導入を検討するに際し、AI管理システムが向いている店舗はどのような店舗だろうか。

まず挙げられるのは、比較的欠品が生じやすい業態の店舗だ。
具体的には、QSRなどのファストフードレストランが挙げられる。特に販売アイテム数が少なく、需給バランスによって頻繁に欠品が生じているといった店舗の場合、AI在庫管理システム導入による欠品防止のメリットは非常に大きい。特に「需要予測」機能が強いAI在庫管理システムを導入することで、AIが販売予測を行って在庫水準を最適化してくれる。欠品が売上に大きな影響を与えるケースでは非常に重要なテーマだろう。

回転寿司|飲食店経営PRO by poscubeまた、比較的消費期限が短いメニューアイテムを扱う店舗でも導入のメリットは大きい。
ベーカリーや菓子店、寿司店などが例として挙げられるが、在庫の一定量が廃棄ロスの可能性にさらされていて、実際に廃棄ロスにより経営に少なからぬ影響を受ける業態だ。AI在庫管理システムを導入して廃棄ロスの発生を最小化し、経営効率を向上させることが期待できる。
また、AIによる「需要予測」の機能とセットで運用することにより、売上と利益の最適化を実現することが期待できる。

ほかにも、複数店舗を運営しているケース、仕入の価格が大きく変動するケース、在庫管理の対象アイテム数が相応に多いケースなども、AI在庫管理システムが向いている店舗であると言えるだろう。

ただし、店舗数や在庫アイテム数が多ければ必ずAI在庫管理が適しているわけではない。スターバックスの事例のように、大規模展開したシステムであっても実際の運用環境で精度上の問題が生じる場合がある。
まずは一部店舗や一部の商品カテゴリーで試験運用し、精度や作業時間の変化を確認してから展開範囲を広げる方法も考えられる。

関連記事:飲食店のAI活用完全ガイド|8つの活用シーンと導入成功のポイントを解説

日本での展開は?

飲食店向けPOSレジ「poscube」セールスレポート|飲食店経営PRO by poscube 日本においても飲食店のAI在庫管理システム導入の機運は高まりつつある。

ロイヤルホールディングスは、「ロイヤルホスト」と「天丼てんや」の326店舗に飲食店向けシステム「HANZO自動発注」を導入、運用を開始している。「HANZO自動発注」は、AIが食材などを自動発注して最適在庫水準を確保、過剰在庫や廃棄ロスの削減を実現するシステムだ。

日本の飲食店の現場においては、AI在庫管理システムは上述のスターバックスコーヒーのケースのように、外資ファストフードレストランなどから徐々に導入が進み、他業態の飲食店へペネトレート(浸透)してゆくと予想する。現段階では、普及に向けた種が発芽した段階に過ぎないが、いずれ成長の速度を速めて一定の水準まで段階的に普及が進むと予想する。

飲食店専門人材サイト運営の飲食店ドットコムが実施した調査によると、2023年時点の日本の飲食店におけるPOSシステム普及率は44%となっている。AI在庫管理システムの普及率も、相応の時間はかかるものの、将来的にはそれに近い水準に達する可能性があると考える。

なお、POSシステムの導入に際しては、本ブログを主宰している株式会社フォウカスの「poscube」を第一に検討されることをおすすめしたい。

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参考:FAQ

AI在庫管理とは何ですか?

AI在庫管理とは、AIを活用して在庫数の把握や需要予測、発注量の算出などを効率化する仕組みです。画像認識を使って棚の商品を数えるタイプや、販売実績・客数・天候などから需要を予測して発注量を算出するタイプなどがあります。

AI在庫管理では何ができますか?

サービスによって異なりますが、需要予測、自動発注、画像認識による棚卸、過剰在庫や欠品の抑制などに活用されています。すべてのAI在庫管理システムが同じ機能を備えているわけではありません。

飲食店でAI在庫管理を導入するメリットは?

棚卸や発注にかかる作業時間の削減、発注業務の属人化防止、欠品や過剰在庫の抑制、食品ロス削減などが期待できます。ただし、得られる効果は店舗の課題や導入するシステムによって異なります。

AI在庫管理は小規模な飲食店にも必要ですか?

必ずしもすべての店舗に必要とは限りません。棚卸や発注に多くの時間がかかっている、欠品や廃棄が多い、発注が特定のスタッフの経験に依存しているといった課題がある場合は、導入を検討する余地があります。

POSレジとAI在庫管理は同じものですか?

同じものではありません。POSレジは販売情報を記録・集計するシステムで、AI在庫管理は在庫確認や需要予測、発注などを支援するシステムです。サービスによってはPOSなどの販売データを需要予測に活用するケースもあります。


参考データ・出典


執筆者プロフィール
前田健二(まえだ・けんじ)
maeda大学卒業後渡米し、ロサンゼルスで飲食ビジネスを立ち上げる。帰国後複数の企業の起業や経営に携わり、2001年に経営コンサルタントとして独立。新規事業立上げ、マーケティング、アメリカ市場進出のコンサルティングを行っている。米国のベストセラー『インバウンド マーケティング』(すばる舎リンケージ)の翻訳者。明治学院大学経済学部経営学科博士課程修了、経営学修士。