海外から我が国への訪日客数は、昨年史上初めて3000万人を突破したが、その5%程度が菜食主義者であるとされる。ざっくり計算すると、昨年一年間で150万人の菜食主義者が日本を訪れたわけだが、彼らの飲食業界に与える影響は小さくない。

 

発足した「ベジタリアン超党派議連」

ヴィーガン対応マーク
ヴィーガン対応マーク

先月、超党派の国会議員が「ベジタリアン超党派議連」を立上げ、話題を集めた。ベジタリアン超党派議連は早速最初の会合を開き、オリンピック・パラリンピックなどへの対応を見据え、菜食主義の訪日観光客が安心して観光するための菜食主義者用メニューの整備支援や、菜食主義者用料理や食品の認定マークを導入することなどが話し合われたという。

ところで、一概に「菜食主義」とはどのような主義なのであろか。菜食主義者は何を食べ、何を食べないのか。飲食店の菜食主義者対応を検討するに際し、菜食主義者≒ベジタリアンとはどういう人なのかを確認しておこう。

 

ベジタリアンとは?ベジタリアンの種類

NPO法人日本ベジタリアン協会によると、ベジタリアン(Vegetarian)という言葉は、英国ベジタリアン協会が発足した1847年に初めて使われ、「健全な」「新鮮な」「元気がある」という意味のラテン語 “Vegetus”に由来するという。その後、マンチェスター聖書教会の教会員が穀物、野菜、豆類などの植物性食品を中心とする食生活を行う運動を展開し、近代ベジタリアン運動の発端となった。

バーベキューところで、ベジタリアンにもいくつか種類がある。まず、植物性食品に加え、卵や乳製品を食べるベジタリアンだ。ラクト・オボ・ベジタリアン(Lacto-Ovo-Vegetarian)と呼ばれ、世界中のベジタリアンで最も数が多いとされる。欧米社会で一般にベジタリアンという時は、このタイプのベジタリアンを指す。

また、卵を食べるベジタリアンをオボ・ベジタリアン(Ovo-Vegetarian)乳製品を食べるベジタリアンをラクト・ベジタリアン(Lacto-Vegetarian)と呼ぶ。ラクト・オボ・ベジタリアンやオボ・ベジタリアンであれば、日本のコンビニで売られている一般的な卵サンドウィッチを食べることができるだろう。

 

動物性食品を全く食べないヴィーガン、フルータリアン

一方、卵や乳製品などの動物性食品を全く食べないベジタリアンもいる。前に別の記事で紹介したヴィーガン(Vegan)と呼ばれるベジタリアンだ。ヴィーガンは肉、魚、卵、乳製品に加え、魚のダシや蜂蜜なども食べない。よってカツオのダシで作られた日本の味噌汁は食べられない。また、ラードなどの動物性油を使った野菜炒めなども食べられない。さらには蜂蜜を使ったお菓子や、ドレッシングなども食べられない。

また、ヴィーガンの中でも根菜や葉野菜なども食べず、果物やナッツなどを主食にして生きるヴィーガンをフルータリアン(Fruitarian)と呼ぶ。収穫すると死んでしまう野菜の摂取を避け、収穫しても死なない果物などを主食とするフルータリアンは、ベジタリアンの中でも極めてレアな存在とされるが、フルータリアンが来日してその食生活を厳守することは極めて困難だろう。

ところで、日本の飲食店がベジタリアンに対応するとした場合、一体どのタイプのベジタリアンに合わせるべきだろうか。日本エシカルヴィーガン協会は、ヴィーガンのための料理を用意すれば、ほとんど全てのベジタリアンに対応可能だと説明している。

 

羽田空港、成田空港にもベジタリアン・レストランがオープン

実際に、日本の飲食店でもベジタリアン対応店が相次いで登場している。HealthyTOKYO Cafe&Shopは、羽田空港第二旅客ターミナルにオープンしたヴィーガン・カフェだ。オーガニック食材を使ったサラダや、具沢山のスープが売りの店で、空港利用客ではない一般客も遠路から利用しに来ているという。ヴィーガンエッグ(代替卵)やヴィーガンチーズ(代替チーズ)を使ったメニューもあり、ヴィーガンが安心して利用できる内容になっている。

成田空港にも、T’sたんたんという完全ヴィーガン・ヌードルレストランが第二ターミナル内にオープンしている。メニューはヴィーガン用タンタンメンなどのヌードル系を中心に、ヴィーガン用麻婆豆腐やヴィーガン用餃子なども提供されている。外国人の利用も盛んで、トリップアドバイザーには同店を高く評価する外国人ヴィーガンの書き込みが多数寄せられている。

完全ヴィーガン料理を提供する飲食店に加え、ヴィーガン・ベジタリアン用料理を普通の料理と併せて提供する店も増えて来ている。元々ベジタリアン料理を多く提供してきたインド料理店や精進料理店などのほかに、洋食店、蕎麦屋、イタリア料理店、フランス料理店、居酒屋、カフェなどでヴィーガン・ベジタリアン用料理を出すところが出てきている。

若い女性などを中心にマクロビオティックへの関心が高まっているが、ヴィーガン・ベジタリアンのトレンドも、それと軌を同じくしそうだ。ヴィーガン・ベジタリアン用料理を提供することでインバウンド客や女性客の集客につなげられる時代が、すでに始まったようだ。

参考URL:
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191106/k10012166171000.html
http://www.ethicalvegan.jp/vegetarianism/
https://honichi.com/news/2019/02/08/hanedaairportxvegan/


ライタープロフィール:
前田健二
東京都出身。2001年より経営コンサルタントの活動を開始し、新規事業立上げ、ネットマーケティングのコンサルティングを行っている。アメリカのIT、3Dプリンター、ロボット、ドローン、医療、飲食などのベンチャー・ニュービジネス事情に詳しく、現地の人脈・ネットワークから情報を収集している。