数年前までは現金での支払いを利用しないキャッシュレスといえば、クレジットカードの利用という認識があったのですが、近頃はSuicaをはじめとした電子マネー、PayPayなどスマートフォン決済など数年前では考えられないほど多様な支払い方法が巷にあふれ、利用者と事業者ともに何を利用すればいいのか迷うほどになりました。

2019年10月からのキャッシュレス還元キャンペーンも後押しして20-30代の若い世代での利用が進みました。都市圏では「基本キャッシュレス支払いのみ」という店舗も現れ、大手の外食チェーンはスマートフォン決済の対応サービス追加を争うようになりました。

そこにコロナ禍での感染症対策としてそれまで現金支払いのみだったサイゼリヤも順次キャッシュレス決済を導入するなど、まだキャッシュレス決済を導入していない店舗でも対応を考えなくてはならない時代が来ています。これからのキャッシュレス決済の導入について、ポイントを整理しながら考えてみます。

 

コロナ禍で求められるキャッシュレス対応と店舗運営

コロナ禍での飲食店運営は感染症対策としてお客様と店員との接触回数を減らす対応が必須となっています。しかし、支払い時に現金を使うとその受渡しでの接触は避けられず、それを敬遠するお客様の来店を遠ざけてしまう可能性があります。

電子マネー決済
電子マネー決済

キャッシュレス決済では、支払い時の現金の受け渡しによるお客様と従業員の直接の接触、通貨を介しての間接的な接触を極力減らすことができます。

2020年4月から決済端末のIC付きクレジットカードへの対応が義務化されたことで、クレジットカードでの支払いでも、会計担当者がお客様から渡されたクレジットカードを磁気リーダーで読み取る方式から、お客様自身がIC対応リーダーに直接クレジットカードを読ませる方式になり、接触機会は確実に減少しています。
Suicaなど交通系の電子マネーやスマートフォン決済でのQRコード読み取りなどは使い方によっては機器同士が全く接触する必要が無く、さらに衛生的であるといえます。

ただし衛生対策のためにキャッシュレス決済を導入するとしても、従来はクレジットカード決済を利用する場合、お客様に商品を提供して支払いをいただいてから店舗に売上が入金されるまでに、通常では決済日から2週間~1カ月の期間が必要で、その間でも店舗では仕入れ費用などが必要なためその資金繰りや手間が課題となっていました。

しかし、最近のキャッシュレス決済サービスには支払いから入金までの期間が1〜2日間という短い入金サイクルのものが登場して、これまでキャッシュレス決済の導入をためらっていた店舗にとってのハードルは大きく下がってきたのです。

 

テイクアウト・デリバリーに対応するためのキャッシュレスサービスとPOSレジ連携

2019年に行われた消費税増税に合わせて開始された軽減税率は飲食店のテイクアウトやデリバーリーでは税率8%と標準税率10%よりお得なこともあり、消費者が積極的に選ぶようになりました。その上、2020年からのコロナ禍で店内飲食を避ける風潮も広がったことでテイクアウト、デリバリーを展開した飲食店では軽減税率対応が必要となりました。

米国のレストラン宅配市場軽減税率に対応するには8%と10%、2つの税率での支払いに対応することが必要になります。それに加えて店内の注文、テイクアウトやデリバリーでの注文など複雑になるオペレーションにスムーズに対応することも大切です。そのためにはテイクアウト向け、デリバリー向けに柔軟な商品管理ができる飲食店向けの軽減税率対応POSレジやオーダーシステムを導入することで店舗スタッフに負担をかけない対応が可能となるでしょう。

飲食店向けのPOSレジにはキャッシュレス決済と連携しているものが多く、注文情報から会計情報までを一括管理、分析して店舗運営をサポートするものまであります。支払いから入金までの期間が短いキャッシュレス決済サービスと飲食店向けPOSレジを連携してキャッシュフローを改善することで店舗運営はさらに向上にするでしょう。

テイクアウト、デリバリーでは注文をWeb、アプリなどインターネットを通じたオンライン注文を利用することでお店に来たことがない方もお得意様にすることができます。オンライン注文では支払い方法をきちんと用意しなくてはいけません。ここにキャッシュレス決済サービスが提供する持ち運びができる決済端末やオンライン決済を利用することで、新しいお得意様の獲得にも繋げることができるのです。



キャッシュレス決済をマルチ決済端末でシンプルに

多様化するキャッシュレス決済に飲食店が対応するためには一つのサービスで様々なキャッシュレス決済を利用できるマルチ決済端末の導入をおすすめします。マルチ決済端末は1つの端末で、クレジットカード・電子マネー・QRコード決済などの様々な支払い方法に対応することが可能です。

マルチ決済端末を導入することで得られるメリットはまず1つに決済に係る手続きが簡素化するといえます。
海外のクレジットカードやQRコード決済にも対応しているものが多いためキャッシュレス決済の利用率が高い外国人観光客など、より多くのお客様に対応が可能です。またPOSシステムとの連携により、店舗運営のさらなる効率化や生産性向上へも繋げることが可能です。

マルチ決済端末の例として以下を紹介いたします。

【楽天ペイ】

楽天ペイは楽天ペイメント株式会社による、マルチ決済端末を利用したサービス。
主要なクレジットカード、交通系の電子マネー、いくつかのQRコード決済が可能です。クレジットカード決済では、主要6ブランドに対応。また、楽天ポイント支払いにも対応しています。入金管理面では、楽天ペイの指定銀行で翌日入金が可能です。楽天のサービスを利用したWeb支払いにも対応しています。

楽天ペイ店舗向けサイト:楽天ペイ カードリーダーの導入

 

【STORESターミナル】

2013年にサービスを開始した「STORESターミナル(旧:コイニー)」が展開するマルチ決済端末です。
主要なクレジットカードのブランドに対応、交通系の電子マネー、世界で利用者の多いWeChatのQR支払いにも対応しています。キャッシュレス決済手数料が業界最安の「3.24%」(※一部ブランドを除く)で、国内全ての金融機関が利用できる上に支払いから入金まで「最短翌々日入金」となっており飲食店運営に欠かせないスムーズなキャッシュフローの実現に効果的です。
導入時の決済端末代金がキャンペーン適用によっては実質無料となることもあり、はじめてキャッシュレス決済を導入する方に多く選ばれています。カード決済端末は持ち運び可能で、スマートフォンやタブレットとBluetooth接続することで、デリバリーの配達先でも利用できます。
POSレジと連携する際の操作画面もシンプルで使いやすい上に、STORES請求書決済というテイクアウト、デリバリー注文時に便利なWebからの決済にも対応しています。

 

【Square】

Squareが提供する決済サービス。主要なクレジットカード、交通系の電子マネーに対応しています。
マルチ決済端末、店舗でのパソコンを利用した決済、オンライン決済など多彩なサービスを展開しています。

 

まとめ

2020年6月まで実施されたキャッシュレス還元キャンペーンは全国115万以上の店舗にて行われ、消費者のキャッシュレス支払いは利便性が高いという意識が高まったこともあり、キャンペーン事業終了後もキャッシュレス決済は普段の支払い方法として定着していくのではないでしょうか。さらに国や関連企業によるマイナポイント事業などのキャッシュレス決済推進は今後も続くことで、キャッシュレス利用はより広がりをみせると思われます。この機会に是非、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

 

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