UberEatsや出前館をはじめとしたデリバリー代行事業が広がりを見せています。
当サイトでも何度か海外事情についてお話をしてきましたが、日本でも大きな注目を浴びていることをご存じの方は多いでしょう。
これまでの「出前は自店で行うもの」という常識が、これらのサービスの台頭により大きく変化し始めています
外部の力を借りて中食に参入することで、飲食店に新たな可能性をみいだしてくれるデリバリー代行サービス。日本国内の飲食店が活用するメリットと注意すべき点について解説します。

 

日本には古くから根付いたサービスだった「出前」

都内では、UberEatsと書かれた大きなリュックを背負い、自転車で駆け抜ける配達員をいたるところで見かけるようになりました。ネットを駆使し、デリバリー業界に新しい風を吹き込んだと話題になっていますが、実は日本でデリバリー代行サービスを本格化させたのは出前館。サービス開始は2000年からと言いますから、スマホが誕生するずっと前から、事業はスタートしていたのです。

出前館アプリ
出前館アプリ

さらに近年には、楽天デリバリーやファインダインもこの事業に参入し、これからますます増加していくと見られています。

そもそも出前は、ずいぶん前から日本の外食に根付いたシステムでした。昭和の時代には、もりそばを何重にも重ねて自転車で配達する風景が定番でしたし、バイクで出前をするときに汁物がこぼれないように岡持ちを積載する「出前品運搬機」は日本独自のものです。

そんなデリバリーが一気に幅を広げたのはピザの宅配でしょう。それまでは、「届けてくれるのだから時間がかかってもしょうがない」とされた出前を、「30分で届かなかったら半額」などとしてスピードを重視。デリバリーを一気に身近なものにしました。

 

自店でデリバリーができなかった理由

飲食店は、店内飲食だけで売上げを拡大するには限界があります。厨房内に余力があっても、空席がなければお客は利用できません。また、テイクアウトをしていても、天候が悪ければ一気に客足は少なくなってしまいます。しかし、自店でデリバリーをはじめようと思うと、そのハードルは非常に高いのが現実です。
では、どういった点が難しいのでしょうか。
それは以下の2つです。
デリバリー要員を確保できない
デリバリーしていることを広められない

しかし、これらを解決してくれるのがデリバリー代行サービス。それぞれについて見ていきましょう。

 

要員を確保するのはデリバリーサービス会社。店舗は商品を作るだけ

デリバリーをする際、最大のネックになるのが配達員の確保です。ピザ屋のデリバリーが成り立ったのは、彼らのやっていた店舗がデリバリーの専門店で、コンスタントに注文が入る前提であったから。これは弁当の宅配専門業者でも同じことが言えます。

しかし、これが一般的な店舗だと話は変わってきます。
当然、店が忙しい時間とデリバリーのニーズが高まる時間は同じです。そうなると、最も忙しく猫の手も借りたい状況の中、デリバリーにも対応しなければならなくなります。たったひとつの注文を作って自宅まで届け、集金をして帰ってくることを考えれば、店内の回転率をあげる方が効率的だと考えるかもしれません。しかも、今の飲食業界は人手不足。そうなると、なかなかデリバリーに手を出すことはできませんでした。

また、たとえデリバリー要員を確保できたとしても、配達用のバイクや自転車を用意し、万が一に備えた保険に入り・・・と考えると、小規模の店舗では負担が多くなります。しかも、デリバリー専用スタッフは、注文が入らないときは、ただ待っているだけ。こうなると人を効率的に使うのは難しくなってしまいます。

しかし、デリバリー代行サービスを活用すれば人員の問題は解決されます。店舗に注文が入ったら作るだけ。料理ができる頃には配達員が店に到着し、後はその人に任せておけばよいのです。使い捨て容器を使用するので、回収もありません。

 

販促はデリバリー代行会社が積極的に行ってくれる

もう一つの問題。それは、せっかくデリバリーをはじめても、簡単に注文が入らないということです。

多くの店舗がデリバリーの販促に使っているのがチラシでしょう。しかし今はライバルも多く、チラシを作ったところで、それを見て注文する確率は非常に低くなっています。中には、「ゴミを配り歩いている」などと揶揄する風潮もあり、ピザや弁当業界のデリバリー業界では、この効率の悪さに頭を痛めています。

チラシに代わって利用が拡大しているのはWEBです。ところが個人店では、そもそもデリバリーをしていることを告知できないため、サイトにアクセスすらしてもらえません。

また、「あの店の○○が食べたい」というインパクトがあれば活用してくれますが、「とりあえず、デリバリーでも頼むか」というようなアバウトなニーズは取り込めません。その理由は、その店が配達可能な時間か、どれくらい時間がかかるかをチェックするのが面倒だから。その結果、あまり受注につながらないのです。

その点、デリバリー代行サービスを使えば、販促活動はサイトの仕事。利用者が増えなければサービスは成り立たないので、懸命に宣伝をしてくれます。今はフードコートを利用するように、サイトを見てから何を食べるかを決めるという人も増えており、それにはデリバリー代行サービスのサイトに載っていることが重要になっています。これらのサイトでは、住所を入れれば、その時間に配達可能な店舗一覧が出て、そこから選んで注文できます。この気軽さが拡大している理由のひとつです。

 

お客の利用方法を理解する

では、デリバリー代行会社とはどのようなサービスなのかを見てみましょう。利用したことがない方のために、まずはお客の利用の仕方から簡単に紹介します。

多くの場合、お客はスマホやタブレット、パソコンを使ってサイトにログインし、店舗を選びます。ログイン情報にはすでに住所が登録されているほか、職場や出先なのでは郵便番号や住所を入れることで、配達可能な店舗のみが表示されます。

このとき、すでに注文したい店舗が決まっている人は店舗のページを開きますが、まずはさまざまな店舗やメニューを比較してからどこに注文するかを決めるという人が多くいるのも最近の特徴です。注文が決まれば、そのまま注文をします。

これはある店の出前館のパソコンの注文のページです。

ライスの量やサイドメニュー、スイーツなどのサジェストを自然に行っていることがお分かりになるでしょう。店舗によってはカトラリーの有無を入れることもできます。

お客は必要事項を入れたら、そのまま決済をします。Uber Eatsは基本的に、現金払いはないので、そのままクレジットカードなどを使って電子決済を行います。出前館は代金引換(現金払い)も可能です。

注文した商品は、配達専門員の手で届けられます。Uber Eatsでは、配達員がどの場所にいるかをタイムリーに地図上に表示するサービスを行っています。それが安心感につながっているひとつだと言われています。

 

デリバリー代行サービスを利用する際の店舗側のポイント

では続いて、デリバリーサービスを活用したい店舗の注意点について見ていきましょう。

販促はデリバリー代行会社が積極的に行ってくれる

まずは対応地域か確認する
まず、店舗のある地域がデリバリーサービスの対象地域かどうかを調べます。都心では見かけない日がないほどメジャーな存在のUber Eatsも、実はサービス展開しているのはごく一部。デリバリーのニーズがあっても、配達員を確保できない地域ではサービスを広げることができないため、地域は限られてしまいます。

一方出前館は、デリバリースタッフとして雇う形をとっています。そのため、ある程度の人員は常に確保されるため、対応地域は多少広くなっています。なお、配達可能地域は徐々に広がっていますので、各サイトに問い合わせをするようにしてください。

価格設定は手数料も加味する

価格設定については、店舗でオーダーする価格とデリバリーの価格は同じである必要はありません。その理由は、デリバリーサービス会社に払う手数料が必要となるからです。その価格差は様々ですが、デリバリーの方が1割から3割ほど高いのが一般的です。

マクドナルドを例にしてみましょう。
ダブルチーズバーガーセットは、店舗でオーダーすれば640円です。これをUber Eatsで頼むと710円となります。

では、店舗がデリバリー代行会社に支払う手数料はいくらでしょうか。これは会社によって違います。

例えば、Uber Eatsの場合、配送手数料として支払い料金の約30%を払います。出前館は、配送手数料は5%と非常に安い代わりに、掲載料として月額3,000円を支払うほか、初期費用が35,000円かかります。

また、手数料は、「店舗で販売しているものの何パーセントまで価格に転嫁してよい」などというルールはありません。つまり、100%乗せることも、折半にすることも可能ということ。ただし、高すぎては注文されないでしょう。その辺りは近隣店舗の価格を見ながら調整すべきと言えます。

ちなみに、Uber Eatsの場合、お客は配達料も負担します(そのため、最低注文金額は設定していない)。地域によっては、この負担も考慮に入れる必要があるかもしれません。

受注は専用アプリ、または専用タブレットで受ける。休業設定もアプリから可能

受注システムは、専用アプリにて行います。Uberについては、専用タブレットが貸与されます。

気になるのはピークタイムの対応や定休日、営業時間など、融通がきくのかという点かもしれません。例えばUber Eatsの場合、契約上、「1日3時間以上、週に4日以上」としています。しかしこれは、年末年始の休業やイベントとかぶる場合は、営業停止日と設定するだけで対応可能となっています。

またピークタイムの対応については、製造時間を長く設定することでゆとりをもって製造ができます。メニュー上に表示される時間は実績をベースに表示されますが、オーダーが入ってから遅らせることが可能なのです。たとえば、普段は15分でできても、ピークタイムは30分から40分とすることが可能ということです。飲食店のランチタイムのピーク約30分から40分程度と言われているので、その時間をなるべく避けた時間設定ができるということですね。

それでも対応できないという場合は、営業しないという選択肢もあります。この辺りは戦略的に行うべきところでもありますので、まずはデリバリー代行会社の説明を聞いてみる価値はありそうです。

 

ランチはデリバリー専門に・・・など、新たな発想がうまれる

デリバリー代行サービスを使って配達が可能になると、店舗には新たな可能性が出てきます。例えば、夜に比べればランチ営業は利益率が悪く、回転率勝負といったイメージがあります。とは言え、効率よく営業をするために、アルバイトを多く使うわけにはいきません。

アメリカ飲食宅配それであれば、ランチタイムはデリバリーだけで対応してはいかがでしょうか?
ランチタイムの忙しい中、デリバリー対応は不可能と考えるかもしれませんが、デリバリーだけで営業すると割り切れば、客席の準備はいらず、スペースも広々と使いながら効率よく調理が行えます。スタッフも限られた人数でこなせるため、この方が効率的な経営が可能になるかもしれません。

さらに、これまでは受注がなかった大口注文の可能がでてきます。パーティーで利用するニーズを狙って、最初から店内にはない大口メニューを用意しておくのです。こういった新たな視点でメニューを開発することで、新たな視点で売上げアップを狙えます。

また、デリバリーをすることで新規顧客を開拓につながります。「Uber Eatsで注文してみたら美味しかったから店舗に行きたくなった」ということもあるでしょう。デリバリーで利用するお客と店舗で利用する客はイコールではありません。そこに新たな可能性が見いだせるということです。

 

これから改善に期待したい部分もある

ただし、店舗だけではどうしようもない問題も抱えています。それはシステムエラーと配達員不足による未配達です。

Uber Eatsは2020年1月にほとんどの店舗でオーダーができないという大々的なシステムエラーが発生しました。時間がランチタイムと重なったために大きな痛手となった店舗もあるようです。原因はシステム更新に関連したものだったようで、これからも発生する可能性がないとは言えないでしょう。

また、慢性的な配達員不足は地域にもよるのかもしれませんが、深夜時間帯に起こりがちです。料理ができたのに配達員が来ずに冷めてしまったり、配達されずに廃棄しなければならなかったりするケースが度々起こっています。作り直しや廃棄した分はUber Eatsから補填されますが、決して気分のよいものではありません。

これらの問題は店舗がどんなに努力をしても変えられない部分だけにもどかしくもあり、今後の改善に期待したいところです。

 

まとめ

自分の店で配達をする必要がないデリバリー代行サービス。これを導入することで新しい売上げの確保の手段が確立されるかもしれません。
対応地域も増えており、導入された地域では期間限定で配送手数料無料などのキャンペーンも行われています。店舗の努力だけではなく、デリバリー代行会社の利用促進が、結果的に店の売上アップにも反映するわけで、これを利用しない手はないと言えるでしょう。

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ライタープロフィール
原田 園子
兵庫県出身。  株式会社モスフードサービス、「月刊起業塾」「わたしのきれい」編集長を経てフリーライター、WEBディレクターとして活動中。