日本政府観光局(JNTO)のまとめによると、2023年度のイギリスからの訪日客数は32万1482人で、ヨーロッパ諸国の中で最大となった。円安トレンドなどの影響もあり、日本での宿泊や飲食を楽しむイギリス人が増えているのだが、イギリス人は特に日本でのダイニング体験を楽しみにしているとされている。そんなイギリスの公共放送BBCが、イギリスの訪日客が日本で食すべき日本食ベスト10を紹介している。その中からユニークなもの三選をご紹介しよう。
イギリスで存在感を増す「日本食」
イギリスで「日本食」が存在感を増している。イギリスで日本食品の流通に携わるタザキフーズによると、イギリス人の間で日本食のプレゼンスが広がり、寿司や天ぷらといった伝統的な日本料理を外食で楽しむことが一般的になっていることに加えて、味噌汁や唐揚げといった日本の家庭料理を自宅で調理して楽しむ人が増えてきているという。タザキフーズがロンドン東南部の街グリニッジにオープンさせた日本食材を扱うスーパーマーケット「Tazaki Cash and Carry」には連日地元民が押し寄せ、様々な種類の日本食材を買い求めている。イギリスにおいて日本食は、物珍しさから関心を集めたアーリーステージを越えて、今や日々の生活に溶け込みつつある普及ステージへと移行しつつある。
そんなイギリス人の中でも、実際に日本へ旅行して本場の日本食を楽しむ人が増加しているのだが、イギリスの公共放送BBCは、特に初めて日本へ旅行する人に現地で食べるべき日本食ベスト10を紹介している。その中から注目すべき三つを挙げてみよう。
BBCが推す日本食①「そば」
BBCが推す第一の日本食は「そば」だ。
「そばの実で出来た細長い麺は、長らく日本の伝統的な料理として日本人に楽しまれてきました。特に、コメよりも蕎麦の生産に適した山岳地帯において古くから多く生産されてきました。そばは通常暖かい状態か、冷たい状態のいずれかで供されます。冷たいそばは、しょうゆベースの甘辛いつゆを付けていただきます。また、出汁の効いた伝統的な味を楽しみたい人は、暖かいそばを好んで食べます。」
と紹介し、イギリスでは今のところまだポピュラーになっていない日本の味を紹介している。
イギリス人をはじめとするヨーロッパ諸国の人の多くは、そばやラーメンといった麺料理を啜ることが苦手だとされているが、最近はあえて麺を啜って食べる「強者(つわもの)」も登場してきている。イギリスからの訪日客の中でも、麺を「啜る」経験をあえてしてみようとする人は少なくないかもしれない。
Wikipedia: Soba
BBCが推す日本食②「お好み焼き」
「お好み焼き」もBBCおすすめの日本食だ。BBCの解説によると、
「お好み焼きとは『自分が好きなように焼いて食べる食べ物』という意味の料理です。日本の一般的な庶民が食べる日常の食べ物であり、『洗練された日本料理』といった日本食のイメージを打ち破るタイプの食べ物です。キャベツや豚肉などを含む数多くの食材をベースに焼かれたパンケーキの一種であり、かつお節、青のり、マヨネーズ、ウスターソースのようなソースをかけて食べます。また、多くのお好み焼きレストランでは、テーブルに備え付けられたホットプレートでお客が自分で焼くシステムをとっています」
となっている。
「お客が自分で焼くシステム」を提供する店はイギリスでは少ないので、イギリスからの訪日客が楽しめることは間違いないだろう。
Wikipedia: Okonomiyaki
BBCが推す日本食③「とんかつ」
「とんかつ」もBBCが推す日本食のひとつだ。
「とんかつ。パン粉を付けて油で揚げたポークのカツレツは、19世紀に日本が西欧諸国に国を開いた時代に端を発しています。とんかつの発祥地がヨーロッパであることなどはとりあえず忘れておきましょう。材料選びを含む細部へのこだわりは完全に日本風です。特に、『黒豚』と呼ばれる鹿児島産バークシャー種の豚肉で作られたとんかつは、口に入れた瞬間に溶けるほど柔らかいです。とんかつは通常、山盛りのキャベツの千切りと味噌汁とともに供されます」
とBBCは解説している。
とんかつは、イギリスでカツカレーが国民食とされるほど一般的になったことなどからその名が知られているが、日本のとんかつほど洗練されたとんかつはイギリスでは食べることはできない。BBCの記者は、細部にこだわる日本の料理人の精神を、とんかつにおいて象徴的に見ているように思われる。
Wikipedia:Tonkatsu
イギリス人は日本の「庶民の味」が大好き
一般的にイギリス人はフランス人やイタリア人などと比べて、それほど食や味にこだわらない人が多いと認識されている。筆者も前にロンドンを訪れたことがあるが、滞在中に食べた料理の多くが「味がしない」か逆に「大味」で、毎食ごとに驚かされた記憶がある。そんなイギリス人だが、美味しいものが食べたいという欲求は確実にあり、実際に美味しいとされる日本食が庶民レベルにまで広がってきている。
「味がしない」か「大味」のイギリス料理に大いに閉口させられた筆者だが、例外的に美味しかったと思ったのはフィッシュアンドチップスという「庶民の味」だった。特に労働者階級が通うレストランで食べたフィッシュアンドチップスの味は、日本では再現不可能と思われるほどに味わい深く、感動的だった。
筆者が見たところ、イギリス人の多くは高級フランス料理などの「洗練された料理」よりも、庶民が普段食べているような「庶民の味」の方が好きなのだろう。その嗜好は国境を越えても変わらず、海を隔てた異国の日本においても同様なのだろう。イギリスからの訪日客に対しては、日本の庶民の味をもっておもてなしするのが良策だと思う。
参考サイト
https://www.jnto.go.jp/statistics/data/_files/20240821_1530-8.pdf
https://www.bbcgoodfood.com/travel/global/top-10-foods-try-japan
https://www.japancentre.com/en/page/156-30-must-try-japanese-foods?srsltid=AfmBOooBpYiExb5hCSWAStPGU2nTsKvKUw4pU04bFKKTS7OpU7jkgw-n
大学卒業後渡米し、ロサンゼルスで飲食ビジネスを立ち上げる。帰国後複数の企業の起業や経営に携わり、2001年に経営コンサルタントとして独立。新規事業立上げ、マーケティング、アメリカ市場進出のコンサルティングを行っている。米国のベストセラー『インバウンド マーケティング』(すばる舎リンケージ)の翻訳者。明治学院大学経済学部経営学科博士課程修了、経営学修士。
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「とんかつ。パン粉を付けて油で揚げたポークのカツレツは、19世紀に日本が西欧諸国に国を開いた時代に端を発しています。とんかつの発祥地がヨーロッパであることなどはとりあえず忘れておきましょう。材料選びを含む細部へのこだわりは完全に日本風です。特に、『黒豚』と呼ばれる鹿児島産バークシャー種の豚肉で作られたとんかつは、口に入れた瞬間に溶けるほど柔らかいです。とんかつは通常、山盛りのキャベツの千切りと味噌汁とともに供されます」