長崎ちゃんぽん専門店のリンガーハットが、タイのバンコクに同国第5店目をオープンさせた。とんかつ専門店「濱かつ」との同時出店となる同店の出店は、日本人居住者だけでなく、タイ現地の人々から大きな歓迎をもって迎えられている。リンガーハットのタイ進出につき、現地での評判などを含めて現状をお伝えする。
日本全国で558店を運営するリンガーハット

「長崎ちゃんぽんリンガーハット」は、1962年7月に米濱豪、昭栄、和英の三兄弟が長崎市鍛冶屋町で開業したとんかつ専門店「浜勝」を発祥とする長崎ちゃんぽん専門店だ。1974年に現在のリンガーハットの原型となる「長崎ちゃんめん」を長崎市宿町に開店、「健康的で高品質な商品を手頃な価格で」のスローガンとともに九州を中心に店舗数を増やしてきた。
1979年に首都圏1号店の「リンガーハット大宮バイパス与野店」を開店、全国チェーンとしての礎を築き始めた。「長崎ちゃんぽんリンガーハット」は、今日までに日本全国で558店を運営するまでに拡大し、北は北海道から南は沖縄まで、日本の国民食として長崎ちゃんぽんを中心としたメニューを提供している。
なお、リンガーハットという社名・店名は、幕末に長崎で活躍していたイギリス人貿易商のフレデリック・リンガーの姓「リンガー」に、ハット(Hut、小屋)を組み合わせてつくられたそうだ。長崎らしい、地元にちなんだ名前は「リンガーさんの小屋」という意味だ。
・アメリカやアジア各国を中心に海外展開

リンガーハットは2000年頃から海外展開をスタートさせている。アメリカではカリフォルニア州サンノゼ市とニューヨーク州ニューヨーク市に長崎ちゃんぽん店をオープンさせたが、これまでにいずれも撤退している。アメリカ国内では現在、ハワイ・ホノルル市で「六角浜かつ」と「リンガーハット」をそれぞれ一店舗ずつ運営している。
アジアにおいては、これまでに中国青島(チンタオ)、同大連、台湾、香港などに出店したが、いずれもこれまでに撤退している。現在はタイ7店舗(リンガーハット5店舗、濱かつ2店舗)、カンボジア4店舗(リンガーハット4店舗)、ベトナム1店舗(リンガーハット1店舗)となっており、ハワイの2店舗と合わせて14店舗を海外で展開している。リンガーハットは、2026年~2028年の中期経営計画において海外事業強化を掲げており、2028年までに海外店舗を現在の三倍強の46店舗にするとしている。
リンガーハット・タイ第5号店がオープン

そうした中、リンガーハットが今年2025年3月にタイ第5号店をオープンさせ、現地で話題を集めた。とんかつ専門店「濱かつ」とセットでオープンした同店は、タイの首都バンコクの繁華街シーナカリン通りに位置する大型ショッピングモール「Paradise Park」(パラダイスパーク)内にある。Paradise Parkは2010年にオープンしたタイ有数のメガモールのひとつで、敷地内にシネマコンプレックス、ファッションアベニュー、ワールド・オブ・エデュテインメント、大型フード・バザールなどの各種の大型アトラクションが売りの巨大施設だ。総店舗数700店を超えるParadise Parkには、一日10万人が来場するという。
リンガーハットタイ第5号店は、店舗面積129平方メートル、客席数42席の、「一般的なリンガーハットの店舗サイズ」のお店だ。営業時間は平日10時30分から21時まで、土日祝日が10時から21時となっている。

メニューは日本と同様に「長崎ちゃんぽん」が看板メニューとなっている。「野菜たっぷりちゃんぽん」や「長崎皿うどん」といったレギュラーメニューアイテムに加え、「スパイシーラーメン」などの現地独自メニューも提供されている。価格は「長崎ちゃんぽん」のレギュラーサイズ190バーツ(約904円)、「野菜たっぷりちゃんぽん」270バーツ(1,284円)、「長崎皿うどん」160バーツ(約761円)となっている。日本人にとっては妥当な価格水準に見えるが、現地の人にとってはやや高めの設定だ。
現地の人の評判は?
タイにおけるリンガーハットの歴史は、2010年のタイ第1号店「バンコクK-Village店」の営業開始に遡る。タイで15年営業し、現地でのプレゼンスを拡げつつあるリンガーハットだが、現地の人の評判はどうだろうか。
旅行情報口コミサイトTripadvisorには、タイ国内で営業中のリンガーハットを利用したお客の生の声が多数掲載されている。それらからいくつかご紹介しよう。
「暖かいスープとたくさんの野菜を食べたいムードの時は、私の選択肢はいつもこのお店です。サービスが良くて提供時間もスピーディーです。スープは見た目ほど濃厚ではなく、意外とあっさりしています。麺の上に大量の野菜が載せられていますが、火の通し加減が良く、シャキシャキしています。値段はそれなりにするものの、価格に見合ったバリューです」(5点満点中4点 バンコク在住、女性)
「ラーメンを食べようと思ってこの店に来たわけではないですが、注文したものは全部美味しかったです!唐揚げとチャーシューラーメンを頼みましたが、どちらも最高でした。この店をおすすめしますし、私自身絶対にまた来ます」(5点満点中5点 チャウエン在住、男性)
「四か月ほど前に偶然このお店を見つけました。それ以来何度かリピートしてきています。世界有数のグルメ都市であるバンコクの中に存在する、ひとつの驚くべきお店です。スープの塩加減、日本から輸入されてきた野菜類、洗練された調理、礼儀正しいタイ人スタッフ。いずれも素晴らしいの一言です。看板メニューのラーメンが美味しいですが、それと同じくらいにギョーザが美味しく、おすすめです」(5点満点中4点 バンコク在住、男性)
Tripadvisorでの評価は全般的に高く、「野菜がたっぷりで美味しい」「店がとてもきれい」「スタッフのサービスが良い」といった、日本の飲食店の良いところが正しく評価されているようだ。また単なる「日本のラーメン屋」ではなく、「野菜がたっぷり乗った長崎ちゃんぽん」のお店であることは現地の人にも認識されているようだ。
2028年までにタイ国内での店舗数をさらに増加させることを目標に掲げているリンガーハットだが、その展開に注目したい。
関連サイト
https://www.ringerhut.co.jp/three_minutes/
https://www.ringerhut.jp/news/2025/0321_1/
https://www.tripadvisor.com/Restaurant_Review-g293916-d12912508-Reviews-Ringer_Hut-Bangkok.html
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大学卒業後渡米し、ロサンゼルスで飲食ビジネスを立ち上げる。帰国後複数の企業の起業や経営に携わり、2001年に経営コンサルタントとして独立。新規事業立上げ、マーケティング、アメリカ市場進出のコンサルティングを行っている。米国のベストセラー『インバウンド マーケティング』(すばる舎リンケージ)の翻訳者。明治学院大学経済学部経営学科博士課程修了、経営学修士。


