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業務改善助成金とは?申請する手順と3つのメリット・デメリットを解説

「業務改善を進めたいが、何から手をつければいいかわからない」 「自社で助成金を活用できるのか知りたい」

企業の成長を目指す上で、このような課題を抱えている担当者もいるでしょう。

業務改善助成金は、企業の生産性を高めるための設備投資を国が支援してくれる制度です。この制度をうまく活用すれば、コストを抑えながら労働環境の改善や売上アップにつなげられます。しかし、申請には手続きが必要で、誰でも利用できるわけではありません。

この記事では、業務改善助成金の制度概要から申請手順、メリット・デメリット、具体的な活用事例まで詳しく紹介します。記事を読み終える頃には、助成金を活用して業務改善を進めるための具体的な道筋が見えてくるでしょう。

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業務改善助成金とは

業務改善助成金とは、中小企業や小規模事業者が生産性を向上させるための設備投資を行い、同時に事業場内の最低賃金を引き上げた場合に、その費用の一部を国が助成する制度です。

この制度の目的は、企業の成長を後押ししながら、従業員の賃金水準を引き上げ、経済の好循環を生み出す点にあります。ここでは、制度の詳しい内容を、以下の項目に分けて解説していきます。

制度概要

業務改善助成金は、生産性を高めるための設備投資やコンサルティング導入などにかかった費用の一部を助成する制度です。具体的には、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を一定額以上引き上げる計画を立て、その計画に沿って設備投資などを実施した場合に助成金が支給されます。

申請の流れとしては、まず賃金の引上げ計画と設備投資の計画書を提出します。そして、国からの交付決定を受けた後に計画を実行し、完了後に結果を報告する流れです。

助成される金額は、設備投資などにかかった費用に所定の助成率を掛けた金額と、定められた助成上限額を比較し、どちらか安い方の金額が適用されます。より詳しい情報は、厚生労働省のホームページをご確認ください。

業務改善助成金|厚生労働省

対象事業者及び申請の単位

業務改善助成金の対象となるのは、特定の条件を満たす中小企業・小規模事業者です。主な要件として、事業場内最低賃金と地域ごとに定められている最低賃金の差額が50円以内である必要があります。

また、過去に解雇や賃金引き下げなど、助成金の交付が不適切とされる理由がないことも条件の一つです。これらの要件をすべて満たした場合に、事業場ごとに申請ができます。

つまり、複数の店舗や工場を持つ企業であっても、それぞれの事業場が条件を満たしていれば、個別に申請を進めることが可能です。自社が対象になるかどうか、まずは最低賃金の状況を確認することから始めましょう。

特例的な拡充

業務改善助成金は、特定の条件を満たす事業者に対して、助成の内容が通常よりも手厚くなる「特例的な拡充」という仕組みです。この特例が適用されると、助成上限額、助成率、助成対象経費の3つの点で優遇措置を受けられます。

助成上限額の拡充は、特例事業者に該当し、なおかつ賃金を引き上げる労働者が10人以上いる場合に適用されます。

また、原材料費の高騰などの影響を受けている事業者が対象となる「物価高騰等要件」に当てはまる場合は、通常では認められない経費も助成の対象となる可能性があるため事前にチェックをしましょう。

自社の状況がこれらの特例に該当しないか、申請前に確認しておくことが大切です。

助成上限額

業務改善助成金で受けとれる助成金の上限額は、事業場内最低賃金をいくら引き上げるか、そして何人の労働者の賃金を引き上げるかによって変動します。具体的には、引き上げ額や対象人数に応じて複数のコースが設けられ、条件に合わせた支給が行われる仕組みです。

また、事業場の規模が30人未満の小規模な事業者であれば、助成上限額がさらに上乗せされる場合があります。

さらに、前述の特例事業者に該当するケースでは、賃金を引き上げる労働者が30人以上の場合の区分を選択できるようになり、より高額な助成を受けられる可能性があります。自社の賃金体系や従業員数に合わせて、どのコースで申請するのが最も有利になるか検討しましょう。

助成対象経費

助成の対象となる経費は、生産性の向上や労働能率の増進に役立つ設備投資などです。例えば、業務プロセスを簡略化するための新しい機械の導入や、勤怠管理システムの導入などが該当します。

そして、特例事業者のうち「物価高騰等要件」に該当する場合には、通常は対象外となる経費も助成対象として認められることがあるので事前にチェックをしましょう。

具体的には、社用車として利用する乗用自動車や貨物自動車、そして新たに導入するパソコン・スマートフォン・タブレットなどの端末と、その周辺機器の購入費用も対象に含まれるようになります。

これにより、IT化やDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進もしやすくなるでしょう。

事業完了期限

事業完了期限とは、助成金の対象となる事業をすべて終えなければならない期限日です。この期限は、以下の3つのうち、最も遅い日付が適用されます。

  1. 導入した機器などの納品日
  2. 導入した機器などの支払いが完了した日
  3. 計画に沿って賃金を引き上げた日

例えば、機器の支払いが最も遅くなった場合は、その支払日(銀行振込日や口座引落日)が事業完了期限です。

もし、やむを得ない理由で期限までに事業を完了できない見込みがある場合は、事前に理由書を提出して申請すれば、期限の延長が認められる場合があります。

計画通りに事業を進めることが基本ですが、万が一の場合に備えて、このような制度があることも覚えておきましょう。

業務改善助成金を申請する方法【4STEP】

業務改善助成金を申請する手続きは、大きく4つのステップに分かれています。正しい手順で進めないと助成金を受けとれない可能性があるため、一つひとつのステップを正確に理解しておくことが重要です。ここでは、申請から受給までの流れを具体的に解説します。

1.申請前の準備をする

最初のステップは、申請に向けた準備です。まず、自社の事業場内最低賃金を確認し、いくら引き上げるかを決定します。次に、生産性を向上させるためにどのような設備投資が必要かを検討し、具体的な計画を立てます。この賃金引上げ計画と設備投資計画が、申請の根幹となる部分です。

2.交付申請手続きをする

計画が固まったら、助成金の交付申請書と事業実施計画書を作成し、管轄の都道府県労働局へ提出します。提出された書類は審査され、内容が適切であると判断されると「交付決定通知書」が届きます。この通知を受けとる前に事業を開始してしまうと助成金の対象外となるため、必ず通知を待ってから次のステップに進みましょう。

3.事業を実施する(設備導入・賃金引上げ)

交付決定通知書を受け取り、計画に沿って事業を開始します。具体的には、計画していた設備の購入やシステムの導入を行い、同時に就業規則などを変更して事業場内最低賃金を引き上げます。計画通りにすべて実施したことを証明する書類(納品書、請求書、賃金台帳など)は、後の手続きで必要になるため、必ず保管しておきましょう。

4.助成金の支給申請をする

事業が完了したら、事業結果を報告するための支給申請書を作成し、事業実績報告書や経費の支出を証明する書類などを添えて、再び都道府県労働局へ提出します。提出された書類の内容が審査され、計画通りに事業が実施されたことが確認されると、助成金額が確定し、指定した口座に助成金が振り込まれます。これで一連の手続きは完了です。

業務改善助成金を申請する3つのメリット

業務改善助成金の活用は、企業にとって多くのメリットがあります。単に資金的な援助が受けられるだけでなく、従業員の満足度向上や、企業の長期的な成長にもつながる可能性があります。

ここでは、主な3つのメリットについて詳しく見ていきましょう。

業務効率化の設備などが実質75%OFFで導入できる

業務改善助成金を申請する最大のメリットは、生産性向上に必要な設備を、通常よりもはるかに低い自己負担で導入できる点です。助成率によっては、かかった費用の大部分が助成金でカバーされるため、実質的な負担を大幅に軽減できます。

例えば、助成率が90%の場合、100万円の機材を導入しても自己負担は10万円で済みます。これにより、これまで費用面で導入をためらっていた高機能な設備やシステムにも手が届きやすくなるでしょう。

ただし、助成上限額は賃金の引き上げ額や対象の従業員数によって変動する点には注意が必要です。また、すべての設備投資が助成対象になるわけではないため、申請前に要件をよく確認しましょう。

従業員のモチベーションを向上できる

従業員のモチベーション向上につながる点も、この助成金の大きなメリットです。助成金を申請するための条件には、事業場内最低賃金の引き上げが含まれています。賃金が上がることは、従業員の生活の安定に直結するため、仕事に対する意欲や会社への満足度を高める要因になります。

また、助成金を活用して最新の機器やシステムを導入すれば、業務の効率が上がり、労働時間を短縮できる可能性も高まるでしょう。

これによって、従業員の負担が軽減され、より働きやすい職場環境が実現します。従業員がやりがいを感じながら働ける環境は、離職率の低下や、よりよい人材の確保にもつながるでしょう。

業務効率化ができ売上を向上できる

業務改善助成金の活用は、最終的に会社の売上アップにも貢献します。新しい設備の導入によって業務プロセスが改善され、従業員のモチベーションも向上し、組織全体の生産性が高まります。

生産性が向上するということは、より短い時間で多くの成果を出せるようになることです。これまで手作業で行っていた業務を自動化すれば、その分の時間を新商品の開発や顧客へのサービス向上など、より付加価値の高い業務に充てられます。

このような好循環が生まれれば、企業の競争力が高まり、持続的な成長と売上の向上につながっていくでしょう。

業務改善助成金を申請するデメリット

業務改善助成金には多くのメリットがある一方で、申請や活用にあたってはいくつかのデメリットや注意すべき点も存在します。計画を進める前に、これらの側面も理解しておくことが重要です。

まず、申請手続きには相応の手間と時間がかかります。計画書の作成や必要書類の準備など、通常業務と並行して進めるには負担が伴う場合があります。

また、助成金は事業が完了した後に支払われる「後払い」であるため、設備投資にかかる費用は一時的に会社が全額立て替えなければなりません。そのため、初期投資のための資金繰りをあらかじめ計画しておく必要があります。

さらに、助成金として受け取った金額は会計上「収益」として扱われるため、課税対象となる点も忘れてはいけません。適切な申請を行わないと不正受給とみなされるリスクもあるため、制度をよく理解し、慎重に手続きを進めることが求められます。

業務改善助成金による3つの改善事例

業務改善助成金は、さまざまな業種で活用され、多くの企業の生産性向上に貢献しています。実際にどのような改善が可能になるのか、具体的な事例を見ることで、自社で活用する際のイメージが湧きやすくなるでしょう。ここでは、飲食業やサービス業など改善事例を3つ紹介します。

新たな食器洗浄機を導入

ある飲食店では、長年使用してきた食器洗浄機のすすぎ能力が低下し、洗い物に多くの時間がかかっていました。そこで業務改善助成金を活用し、最新の高性能な食器洗浄機を導入しました。

その結果、一度に洗浄できる食器の量が増え、洗い物にかかる時間は以前の5分の1程度まで短縮されました。また、すすぎ能力が向上したことで、洗い直しの手間もなくなりました。

食器洗浄作業に要する時間が大幅に短縮されたことで、従業員は空いた時間を接客や他の調理作業に充てられるようになり、店舗全体のサービス品質向上にもつながりました。

業務改善助成金導入事例(飲食業)

配膳ロボットで省人化

人手不足が課題となっていたあるレストランでは、特に忙しい時間帯の配膳業務が大きな負担となっていました。この課題を解決するため、業務改善助成金を利用して配膳ロボットを導入しました。

ロボットが客席への料理の運搬を担うことで、配膳業務の効率は25%向上しました。その結果、これまで5人必要だった配膳スタッフを4人に減らすことができ、省人化を実現しました。

削減できた人件費は他の従業員の賃金引き上げに充てることができ、従業員満足度の向上にも貢献しました。ロボットの導入は、人手不足の解消と生産性向上の両方を同時に実現する有効な手段です。

従業員の移動時間を削減

2階建てのあるカフェでは、キッチンが1階、食材倉庫が2階とフロアが分かれており、従業員は食材を運びながら1日に何度も階段を上り下りしていました。この移動は従業員の体力的な負担が大きく、転倒などのリスクをともないました。

そこで業務改善助成金を活用し、店舗のレイアウト変更工事を実施しました。1階にキッチンと倉庫を集約させ、2階はすべてイートインスペースにしたことで、従業員の上下移動をなくしました。

この改善により、従業員の移動時間と身体的な負担は大幅に削減され、より安全で働きやすい環境が整いました。従業員は移動に使っていた時間と体力を本来の調理や接客業務に集中させることができるようになりました。

業務改善助成金を申請する際の注意点

業務改善助成金を活用する際には、いくつか注意すべき点があります。これらのポイントを見落とすと、助成金を受けとれなくなったり、計画に支障が出たりする可能性があります。

まず最も重要なのは、助成金の対象となるのは「交付決定の後」に実施される事業のみである点です。交付決定通知を受けとる前に設備を購入したり、賃金を引き上げたりすると、すべて対象外となってしまいます。必ず交付の決定を待ってから事業を開始してください。

また、この助成金は国の予算の範囲内で運用されるため、申請件数が多い年度は、募集期間の終了前に受付が締め切られる可能性があります。申請を検討している場合は、早めに準備を進め、余裕を持った手続きが大切です。

さらに、一つの事業場が申請できるのは、同一年度内に1回までです。複数の改善計画がある場合でも、まとめて申請する必要があります。重複して申請しないように注意しましょう。

業務改善助成金を活用して「poscube」の導入をご検討ください

この記事では、業務改善助成金の制度概要から申請手順、メリット・デメリット、具体的な活用事例、そして申請する際の注意点まで詳しく紹介しました。

「業務改善を進めたいが、どのように始めればいいかわからない」「助成金を活用できるかどうか確認したい」などの課題の解決にお役立ていただけたでしょうか。

業務改善助成金は、企業の生産性を高め、従業員の待遇を改善するための強力な支援制度です。

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