2025年1月20日、ドナルド・J・トランプ氏が第47代アメリカ合衆国大統領に就任し、第二次トランプ政権が正式にスタートしました。選挙では圧勝し、議会の支配権も手中に収めた新政権は、再び「アメリカ・ファースト」を高らかに掲げています。では、このトランプ2.0時代が、アメリカや日本の飲食店業界にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
第二次トランプ政権の幕開け
025年1月20日、米国大統領就任式でトランプ氏が再びホワイトハウスへ。就任前から「カナダを51番目の州に」「パナマ運河をアメリカ領に」といった過激な発言で注目を集めていましたが、国内政治は議会多数派の獲得によりかつてないほど自由度が高い状況です。
米国経済の中でも注目すべきは年間売上1.1兆ドル(約170兆円)規模の飲食業界。1320万人以上を雇用する巨大産業は、新政権の政策変更に敏感に反応せざるを得ません。
アメリカの飲食店業界へのプラス効果
チップ非課税政策による可処分所得増

トランプ大統領は選挙公約として飲食店スタッフが受け取るチップの非課税化を掲げています。これが実現すれば、スタッフの可処分所得が増加し、消費拡大を通じて外食需要を押し上げる効果が期待できます。
例えば、最低賃金水準のウェイターでも年間数千ドル単位の所得増が見込まれ、外食産業全体の売上底上げにつながる可能性があります。
想定されるマイナス要因
不法移民摘発による人手不足
アメリカの飲食店は長年、不法移民労働力に依存してきました。トランプ政権は大規模な摘発を公約しており、これが現実化すれば、特に厨房やホールスタッフの人材確保が難しくなる恐れがあります。
2025年の抗議活動: 米国では、厳格な移民政策に抗議する形で「A Day Without Immigrants(移民なき日)」と銘打った飲食店の一斉休業が複数都市で実施され、現地飲食業界の脆弱性が露呈しました。
関税強化による原材料コスト上昇
高級レストランでは、輸入食材・ワインへの関税引き上げが価格高騰を招く懸念があります。第一次政権時代の2018年にはフランス産ワインに25%の関税が課され、販売価格が大幅上昇しました。再び同様の政策が取られれば、ワインや輸入食材を扱う飲食店に打撃となります。
トランプ2.0時代における飲食店業界の新トレンド
AI・ロボットの導入拡大
労働力不足対策として、調理補助や接客にAI・ロボットを導入する飲食店が増加。効率化と省人化が同時に進む見込みです。
デジタル通貨決済の普及
トランプ氏は暗号通貨推進派として知られ、米国内でビットコインなどを受け入れる飲食店が増える可能性があります。マクドナルドなど大手チェーンを皮切りに、キャッシュレス化が加速すると見られます。
日本の飲食店業界が受ける可能性のある影響
日本国内の飲食店は直接的影響は限定的ですが、アメリカ進出している日系飲食店や、食品輸出を行っている事業者には注意が必要です。
輸出関税の影響
日本産和牛、寿司ネタ用の水産物、日本酒などが関税強化の対象となれば、価格競争力が低下します。
最新情報(2025年7月時点): トランプ政権は日本を含む同盟国からの輸入に対して、最大で25%の一律関税を導入しました。さらに、「全世界一律課税」政策により、平均関税率は**約18.6%**にまで上昇しており、これによりアメリカからの輸入食材全般の価格上昇がより顕著になっています。
米国内人材不足の波及
カリフォルニア州などでは、日本食レストランがメキシコ系移民労働者に依存しており、摘発強化により営業継続が困難になるリスクがあります。
まとめと対応策
「飲食店 トランプ」時代は、チャンスとリスクが混在しています。
プラス面としては消費刺激策やデジタル化の進展、マイナス面としては人材不足やコスト高騰が予想されます。
経営者は以下の対応が求められます。
-
人材確保策の多様化(国内採用・リモート運営・自動化導入)
-
仕入れ先の多角化(輸入依存度の低減)
-
デジタル決済対応の強化(暗号通貨含む)
第二次トランプ政権の政策動向を注視し、柔軟かつ迅速に対応することが、これからの飲食店経営の鍵となるでしょう。
参考サイト
https://edition.cnn.com/2025/01/09/business/taxes-on-tips-trump-workers/index.html
https://www.reuters.com/world/us/trumps-deportations-could-shake-up-restaurant-industry-wall-street-isnt-worried-2024-12-13/
https://www.nrn.com/news/how-2024-election-results-will-impact-restaurant-industry

AI・ロボットの導入拡大