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ロスに「ロボットシェフ」が料理するチャイニーズレストランがオープン

アメリカ・ロサンゼルスに「ロボットシェフ」が料理するチャイニーズレストランがオープンし、話題になっている。サンタモニカに近いロスの新日本人街「ソーテルエリア」にオープンしたチャイニーズレストランTigaWok」(ティガ・ワク)は、18種類のメニューアイテムを提供する本格的なロボットレストランだ。人件費などの飲食店の運営コストが上昇を続けるアメリカで、忽然と現れたロボットレストランの現況を、最近の日本の動きなどとともにお伝えする。 

 

ロボットレストラン「TigaWok」  

TigaWok公式サイト
TigaWok公式サイト

TigaWok」(ティガ・ワク)は、飲食店起業家トーマス・スーとケルヴィン・ワンが共同でオープンさせたロボットレストランだ。1990年頃より日本人が住み始め、今日までにリトルトーキョー、トーランスに続く新たな日本人街となった西ロサンゼルスのソーテルエリアに突如誕生したTigaWokは、ロボットシェフが料理するという物珍しさもあって、さらに価格もリーズナブルで味も美味しいということで、連日多くの人でにぎわっている。 

小さなショッピングモールの一角にある、広さ1500平方フィート(約42.15坪)の大きさの店舗は、見た感じはパンダエクスプレスなどのファストフード系チャイニーズレストランと変わらない。違うのは、奥のキッチンスペースに人間のシェフが存在せず、調理ロボットが人間の代わりに料理をしている点だ。 

店内のレイアウトも一般的なファストフード系チャイニーズレストランとほぼ同じだ。店の奥先にあるディスプレーに各種の料理がストックされ、客はそれを見て好きなものを注文する。注文し終わると料理を受け取ってキャッシャーで支払いをする。カフェテリアスタイルなので、空いている席に自由に座って食事を楽しむ流れだ。 

【TigaWokの店舗レポートYoutube動画】

一品あたり2.99ドルから5.99ドルと価格もリーズナブル 

Tigawokでは、ディスプレーに15種類から18種類の料理が常時ディスプレーされている。価格もリーズナブルで、人気アイテムのナムナムチキン5.99ドル(約850円、1ドル142円で換算、以下同じ)、和牛カレー5.99ドル、麻婆豆腐3.99ドル(約567円)、オレンジチキン4.99ドル(約709円)、ペッパー黒豚肉5.99ドル、といった感じだ。これらの料理を乗せるベースを白米(1.99ドル、約283円)や炒麵(2.50ドル、約355円)などから選び、合わせて注文する。

例えば、ベースを白米にして上に麻婆豆腐をかけた「麻婆豆腐丼」を注文すると、合計で5.98ドル(約849円)となる。レストランのメニュー価格が上昇を続けているカリフォルニア州では、一般的にあり得ない価格だ。 

 

低価格の理由は人間スタッフの削減 

Tigawokの低価格の理由だが、ご想像の通り人間スタッフの削減だ。パンダエクスプレスなどのファストフード系チャイニーズレストランでは、通常3人から6人程度のキッチンスタッフがシフトを組み、調理を行っている(広さ1500平方フィートサイズのレストランの場合)。一方、Tigawokでは人間のキッチンスタッフは存在せず、足りなくなった食材や調味料などを補充する「モニタリングスタッフ」が一人または二人で勤務している。トータルでキッチンスタッフ最大5名分程度の人件費を丸々カットできることで、オペレーティングコストを大きく削減できていると推定される。

Tigawokは、シェフロボットの導入コストや運営コストについての情報を開示していないが、人間のキッチンスタッフを削減することで浮いたお金を使っても、なお余る水準の金額である可能性が高い。オンライン求人サイトのタレント・ドットコムによると、カリフォルニア州のキッチンワーカーの平均年収は3万4493ドル(約489万円)で、仮にキッチンスタッフ5人分の人件費を削減できた場合、少なくとも17万2765ドル(約2,449万円)のコストが削減できる計算になる。Tigawokがシェフロボットに相応の投資を行ったとしても、十分回収できるであろうことは想像に難くない。

 

日本でもレストランロボット台頭の兆しが 

飲食店にレストランロボットを導入しようという機運は、日本においてもその兆しを見せ始めている。 

2014年設立の日本の飲食業用ロボット開発のコネクテッドロボティクスは、人間の代わりに各種のそばを調理するロボットシステムを開発している。同社のロボットシステムが導入されたJR五反田駅の「いろり庵きらくそば五反田店」では、ロボットがお客の注文に応じてそばを調理して提供している。ロボットシステムは正確に調理できるだけでなく、従来であれば人間のキッチンスタッフが1時間に40杯のそばしか調理できなかったのに比べて、1時間に150杯のそばを調理できるという。ロボットは、仕事のクオリティだけでなく、スピードでも人間を上回っている。  

2018年設立のスタートアップ企業TechMagicは、パスタの茹で作業からソースをからめる工程までを一貫して行える世界初のパスタ調理ロボットP-Roboを開発している。P-Roboは大手カフェチェーンのプロントに採用され、複数の店舗で人間のキッチンスタッフの代わりに各種のパスタを調理している。P-Roboが導入された店舗では人間の「モニタリングスタッフ」がP-Roboの動きを見守り、完成したパスタをお皿に盛ってフロアスタッフへ渡している。P-Roboも調理が正確であるだけでなく、非常にスピーディーで、人間以上のパフォーマンスを示している。 

ロサンゼルスを筆頭とするカリフォルニア州の各都市では、相変わらず人件費やその他のコストが値上がり続けている。ロボットシェフが調理するロボットレストランの登場は、そうした環境変化に対応する、飲食店オーナーによる防衛行動と見るべきだろう。そして、そうした防衛行動をとる飲食店オーナーの数は、今後国境を問わずに世界規模で増加してゆくことは間違いないだろう。 

 
参考サイト

https://www.tigawok.com/ 

https://la.eater.com/2024/6/27/24187466/tigawok-sawtelle-wok-robot-machine-cooking-restaurant-opening-los-angeles 

 


執筆者プロフィール
前田健二(まえだ・けんじ)
maeda大学卒業後渡米し、ロサンゼルスで飲食ビジネスを立ち上げる。帰国後複数の企業の起業や経営に携わり、2001年に経営コンサルタントとして独立。新規事業立上げ、マーケティング、アメリカ市場進出のコンサルティングを行っている。米国のベストセラー『インバウンド マーケティング』(すばる舎リンケージ)の翻訳者。明治学院大学経済学部経営学科博士課程修了、経営学修士。

 


 

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