SNSやホームページ、店頭看板。今は写真で店内の雰囲気や商品イメージを伝えることが多くなりました。また、コロナ禍でテイクアウトやデリバリーの店外需要が上がっていることで、商品を写真でどう見せるかは今まで以上に重要になっています。

その一方で写真にあまり力を入れておらず、非常にもったいないと感じることも多くなっています。「写真を変えるだけで来客が増えるのに」と…。

そこで、こだわった写真を使うことがなぜ重要なのか?
また、プロのカメラマンに撮影依頼をするときはどのように探し、いくらくらいの費用がかかるのかをまとめてみました。ぜひ、店舗の販促にお役立てください。

 

写真での情報発信と言えばInstagram。しかしそれは象徴的なことに過ぎない

「飲食店が写真で情報発信をするのはInstagramだよね」と考えている方が多くいます。確かにInstagramは、写真で情報発信をするものの代表例です。

しかし、Instagramだけだと考えるのは危険です。なぜなら、「うちはInstagramはやってないから、関係ない」となってしまい、他にもたくさんある、写真を変えることによる売上アップの方策をすべて放棄してしまうからです。

ここで一度、考えてください。
Instagramがこれだけ流行り、いわゆる「映え写真」が話題になる世の中。一般ユーザーの写真を見る目は非常に高くなっています。また、スマホのカメラ機能は日々向上し、Androidにしろ、iPhone にしろ、単に 画素数が高い写真が撮れるだけでなく、明るさを調整したり、背景をぼかしたりなど、凝った写真を簡単に撮影できるように進化しました。これだけレベルの高い写真が身近なものになれば、ユーザーは視覚効果によってものの良し悪しを決めることが一般的となっているのです。

もちろん、この判断基準は飲食店にも適用されます。つまり、飲食店への来店動機や購入動機を作り出し、期待値を高めるには、しっかりとした写真が必要だと言うこと。ほとんどの飲食店で、きれいな写真や美味しそうな写真をつかって情報発信するのは、もはや不可欠と言えるのです。

その証拠に、写真がすべてとも言えるUber eatsや出前館では、登録時、無料で商品写真を撮影するサービスがあります。もちろん来店するのはプロのカメラマン。今の時代、いかに写真のクオリティが売り上げに大きく関わるかを表しているサービスです

実際に見てみる。プロと素人の写真の違い

スマホの機能が高くなっていると書きましたが、それは相対的な話。飲食店で使用する写真としては、スマホでは追いつきません。

そうなのか?と思う方のために、同じシチュエーションで撮影した、プロと素人の写真の違いを見ていただきましょう。

同じときに撮影しているので料理のセッティングはまったく同じ。プロのカメラマンが行っています。また、素人が使ったのはスマホのカメラ。 iPhone 8 PlueとPixcel3で、撮影当時、最新の機種でした。

店舗は外からの光が入らない地下の店舗で、カメラマンはライトスタンドなどの照明を使用しています。素人のほうは店舗に設置してあるライトのみ。調光式のライトを最高にしています。

では、早速見てください。

カメラマンが撮影したもの

ピクセル3で撮影したもの

iPhone 8 Plusで撮影したもの

一目瞭然ですね。

食べ物を撮影するときには、「シズル感」が大切だと言われます。シズル感とは、食べ物のみずみずしさを表す言葉。この言葉を借りるならば、カメラマンが撮影したのはシズル感があふれる写真であり、同じものを撮影したはずのスマホの写真はシズル感がまったくないと言えます。

カメラマンがこの写真を撮れたのは、最適な照明に加え、ピントや色相調整などさまざまなことが関係します。これらは素人が真似できる部分ではありません。



写真を加工すれば何とかなるとの考えは間違い

こういった写真を見せると、「じゃあ、素人が撮った写真を加工すればよいのでは?」と簡単に言う方がでてきます。極論から言えば、素人が撮った写真を加工して、シズル感あふれる写真にすることは可能です。しかしそのための加工は、その道のプロに依頼するしかなく、莫大な費用がかかります。おそらく、プロカメラマンに撮影してもらうほうが安いでしょう。

最近はパソコンでちょっとした加工ができるようなアプリもありますが、素人が加工すれば、どんどんとわざとらしい写真になってしまいます。これを例えるなら、プリントシール機で撮影した写真のよう。もちろん、加工した写真には加工写真のよさがあります。しかし、飲食店のフード写真に関しては、加工した写真ではよさが伝わらないことはお分かりいただけると思います。

 

写真はお客が勝手に撮り、PRしてくれるという誤解

写真を使ってのPRの話になると、「お客さんが勝手に映え写真を撮ってPRしてくれるものじゃないの?」と言う方も出てきます。確かにお客は自由に写真を撮り、SNSにアップしてくれます。

しかし、お客がアップした写真の多くは、来客につながらないことがほとんど。その理由は、店舗名すら記載されないことが多いからです。また、たとえ店舗名があっても、実際に足を運んでもらうには、店舗名をインターネットで検索するというアクションが発生します。このとき、こだわっていない写真を見れば行く気がなくなってしまいます。

検索時、上位にでてきやすい食べログでは、店舗が写真を指定すれば、その写真がメインビジュアルとして使われます。それがない場合、お客が撮った写真がでてきます。この差は実に大きいもの。たとえば、「銀座駅」と検索して出てくる店舗は少なくとも上位100件くらいまで、店舗が指定した写真が使われています。 他のターミナル駅でも同じこと。今、マーケティングを考えるなら、こだわった写真は必須なのです。

 

クオリティの高い写真を使ってPRできる場所

では、美味しさがしっかり伝わる商品写真や店内外の写真を使ってPRできるところを書き出してみます。

■Uber eatsや出前館などのデリバリー用メニュー

コロナ禍で需要が上がっているUber eats出前館などのデリバリーサービスではたくさんの写真が掲載され、その写真で注文するかどうかを決めます。 先ほども記載しましたが、これらのサービスでは店舗登録時に無料でプロカメラマンを派遣し、クオリティの高い写真を撮影するサービスを行っているほど。
ただし、ここで派遣される撮影の場合、枚数制限がありますし、写真データをもらえるわけではなかったり、同業他社のサイトへの流用は禁止されていたりしますので、扱いには注意が必要です。

■Instagram

これは定番なのはお分かりでしょう。アカウントは簡単に作れますし、ハッシュタグを正しくつけていればそれなりのアクセスが期待できるのがInstagramの特徴です。写真が魅力的であればアクセスした後、プロフィールを見てくれる可能性が上がります。これは店舗に興味を持ってくれた証拠であり、来店への最初の一歩。データ取りはしていないので肌感覚で申し訳ないのですが、写真によって3~5倍くらいの違いは出ると感じています。
また、ビジネスプロフィールにしておけば、プロフィール欄に「アクションボタン」を設置することができます。「電話をする」や「メール」「道順」「予約する」に加え、Uber eatsや出前館、ヒトサラへのリンクボタン設置できるようになりました。写真を見て、「これを食べてみたい!」という人を直接誘因できる可能性が高まったということです

■ホームページやブログ

これも定番でしょう。飲食店のホームページでは、情報を「読む」のではなく、「見る」ことに重きが置かれるようになりました。商品の写真はもちろん、店舗紹介のイメージ写真にもクオリティの高い写真を使うことで離脱(他のページに移ってしまうこと)を防ぎ、確実に来店につなげることができます。

■飲食店のポータルサイト

食べログぐるなびヒトサラなどのポータルサイトに使用する写真は他店との比較に使われるものです。こだわりの写真を使用することで店舗情報へのアクセスが明らかに変わってくるので、絶対に手を抜いてはならない写真と言えるでしょう。

■ポスターやポップ

ポスターやポップなどは、商品の販売強化や告知に欠かせないものです。これらの制作はデザイナーに依頼するのはもちろん、パソコンを使って簡単に、そして安く作れるようにまりました。このとき重要なのは写真。クオリティの高い写真を使って、小まめにポスターを変更する方法もあります。

■店頭ディスプレイ

店頭を飾るディスプレイは最終的な来店を決める大きな要因です。最近は看板に写真を使用する店舗も増えましたし、置き看板をモニター付きにしてメニューを見せるところもあります。どちらにしても写真のクオリティの高さは欠かせない条件になってきます。

 

写真をカメラマンに撮ってもらうという選択

写真は一つの活用ごとに撮影するのではなく、まとめて撮影し、さまざまなシーンで流用することをおすすめします。こう考えれば、プロのカメラマンに写真を撮ってもらっても、費用の高さは気になりません。

また、カメラマンに撮影してもらうと聞くと、「めちゃくちゃ高いのでは?」と考える方もいますが、それほど法外ではありません。もちろん、カメラマンにより金額の差はありますが、多くの人は2時間で2万円から4万円程度です。

中には1万円程度でも撮影してくれるカメラマンはいますが、素人に毛が生えたぐらいの人もいますので、あまり安さを求めないことをおすすめします。

飲食店に強いカメラマンはインターネットで探せる

カメラマンを探す方法は、知り合いに紹介してもらう方法のほか、インターネットで「写真撮影 飲食店」などと検索する方法があります。

一つ注意していただきたいのは、プロカメラマンであれば誰でもうまい写真が撮れるわけではないと言うこと。 高い金額を払ったのにこの程度?という写真しか撮れない人もいますし、人物写真は得意なのにフードの写真が撮れないカメラマンや、芸術的な写真にこだわるあまり商品のよさが伝わらないカメラマンもいます。

そうならないために、検索では「飲食店」というキーワードを入れることが大切。今は飲食店撮影のカメラマンや料理写真を専門に撮るカメラマンを集めたサイトもありますので、そういったサイトでサンプルを見て選ぶと安心です。

ここにいくつかのサイトを紹介しておきます。

■ミツモア

https://meetsmore.com/services/restaurant-photographers
日本最大級の料理撮影カメラマンが登録するサイト。地域や撮影するもの(商品か店舗かなど)、撮影時期などに回答していくと最適なカメラマンを紹介してくれます。

■フードスナップ

https://foodsnap.jp/
サイトにはこれまで撮影した写真がずらりと並んでいます。 写真だけでなく、動画撮影も可能。広い展開に使えそうです。

■おいしいフォト

https://oishiiphoto.com/
レストラン撮影の実績のあるプロカメラマンによる飲食店専門の撮影サービス。ワンランク上の飲食店サイト「ヒトサラ」のカメラマンが担当してくれるので安心できます。

カメラマンを選ぶときの注意

カメラマンによって撮影可能な範囲や不得意なジャンルが異なります。最初に撮影対象が、店舗か料理か人かを事前に伝えておきます。

また、撮影した写真の利用範囲を事前に確認しておくことも重要です。誤解されている方も多いのですが、通常、撮影した写真の著作権はカメラマンにあります。自分の店の商品だから自分の店に著作権があるということはありません。中には、最初に伝えた方法でしか使用させないなど、用途に制限を設けるカメラマンもいます。ですので著作権に関して、店舗に譲渡してくれるか、または譲渡してくれない場合でも、「店舗が自由に使ってよい」と許可をもらえるところにしてください。

さらに、撮影時の画素数についても注意したいところ。写真は大きく撮影したものを小さくすることは可能ですが、小さく撮影したものを大きく使用するとガサガサと荒れた感じになってしまいます。インターネットに使用するだけであれば気にする必要はありませんが、大きなポスターや看板などにも使用したい場合はあらかじめ伝え、対応可能なカメラマンにします

画像処理できるカメラマン、または専門のスタッフがいるところを選択することも大切です。画像処理とはCG加工するというようなイメージではなく、明るさの調整や撮影時に気づかなかった傷やゴミなどをとるもの。カメラがデジタル化され、カメラマンは撮影した写真を加工して納品するのが一般的になりました。納品される写真のすべてに加工がされない場合でも、店舗から要望を伝えれば加工をしてくれることもあります。まずは加工が可能か。無料か有料かを事前に確認しておくことが重要です。

撮影時の撮影点数と所要時間を決めておく

多くのカメラマンは、時間内に所定のカット数を撮影することが重要と考えます。撮影時間の前後10分ほどは準備と片付けに当てられるため、実際に撮影できる時間は所定の時間よりも短くなります。

一般的には、1時間で5カット、2時間でセット、3時間で15から20カット程度と言われます。その一方で、Uber eatsや出前館で派遣されるカメラマンは、1時間で商品数15種に加え、集合写真も撮って行きます。写真のクオリティや構図によってはこれくらいは可能ですので、覚えておくとよいかもしれません。

また、商品写真を撮影してから店舗写真を撮影するなど大掛かりなセッティングの変更が必要な場合、手順を最初に確認するようにしてください。

 

まとめ

写真が身近な存在となり、お客の目はよりクオリティの高い写真にひきつけられるようになりました。適当な写真は見向きもされない一方、美味しそうな料理写真や雰囲気のよい店内写真は確実に訴求効果があります。

こういった写真を撮るためにはプロカメラマンを活用するのがベスト。調理のプロが作った料理をカメラのプロが写真に収める。このコラボレーションにより確実に売上アップに貢献できることは間違いありません

ぜひこの機会にプロカメラマンに撮影を依頼し、その写真を幅広く活用して、店舗のイメージアップ、売上アップに活用してください。

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