アメリカの統計情報共有サイトStatistaによると、2025年6月時点で全世界のインスタグラムのアクティブユーザー数が20億人を突破した。飲食店のマーケティングツールとして今やインスタグラムは欠かせないが、どのように活用するのが効果的なのだろうか。海外の直近事例を取り上げ、飲食店のインスタグラム活用法を、ポイントを織り込みながらお伝えする。
全世界で20億人を突破したインスタグラムのアクティブユーザー数
全世界のアクティブユーザー数が20億人を突破したインスタグラム。上述のStatistaは、世界でもっとも多くのインスタグラムユーザーを抱える国はインドで、その数直近で4億1385万人と伝えている。次いでアメリカ(1億7170万人)、ブラジル(1億4070万人)、インドネシア(1億340万人)と続き、日本も7450万人と第6位に位置している。日本でも、国民の二人に一人がインスタグラムを使っている。
スマートフォンの世界的な普及が進み、誰もが常に通信機能付きカメラを携帯している時代を迎え、写真や動画の投稿をベースにしたインスタグラムは、情報共有プラットフォームとしてその地位を日増しに固めつつある。それに歩調を合わせるように、企業によるインスタグラムのマーケティングツールとしての活用も広がっている。インスタグラムをマーケティングに活用しているマーケッターは全体の78%に達し、YouTubeの53%やTikTokの26%を大きく上回っている。
若いジェネレーションのユーザーが多いインスタグラム
インスタグラムは、10代から20代の若いジェネレーションのユーザーが多いのが特徴だ。Statistaによると、18歳から24歳のジェネレーションのインスタグラム利用率は29.5%で、25歳から34歳では31.6%に達している。大まかに言って、18歳から34歳の若いジェネレーションの三人に一人から四人に一人がインスタグラムを日常的に使っているイメージだ。特に若年層をメインターゲットとしている飲食店では、インスタグラムを使ったマーケティングは必須と言うべきだろう。
事例紹介:「セルフィーステーション」を用意してUGC拡散

では、飲食店のインスタグラム活用事例を実際に見てみよう。カリフォルニア州パームスプリングスで営業中の「カフェ・ラ・フェファ」(Café La Jefa)は、パテオが売りのカフェレストランだ。提携商社から仕入れたコーヒー豆を使った各種メニューが評判で、地元住民とともに多くの観光客でにぎわっている。お客がパテオを好んでセルフィー画像を撮影し、インスタグラムへ投稿することが増えてきたと感じた店主がパテオにセルフィー画像撮影用ステーションを設置したところ、セルフィー画像撮影のために遠路はるばるやってくるお客が次第に増えてきたという。
カフェ・ラ・フェファ公式インスタグラムお客は「カフェ・ラ・フェファ」のセルフィーステーションでセルフィー画像を撮影し、インスタグラムに投稿する。投稿された画像にはたくさんの「いいね」などのインタラクションが付き、どんどん拡散してゆく。投稿されたセルフィー画像はUGC(User Generated Contents:ユーザー作成コンテンツ)となり、インタラクションがさらなるインタラクションを呼んでゆく。「カフェ・ラ・フェファ」のスタッフは自ら手を動かさずにコンテンツが勝手に拡散してゆくという集客ドライバーを手に入れることとなった。「カフェ・ラ・フェファ」のインスタグラムで自然発生したUGCは、今もその勢いが衰えていない。
事例紹介:インスタグラムへの投稿を毎日続け、膨大な数のフォロワーを獲得
「トーキング・タコス」(Talking Tacos)は、フロリダ州オーランドを拠点に全米各都市で25店舗を運営するメキシカンレストランチェーンだ。トーキング・タコスのインスタグラム活用戦略は極めてシンプルだ。「インスタグラムへの投稿を毎日続ける」だ。

「トーキング・タコス」は各種メニューの紹介画像などとともに、各店舗の内外装の写真、ケータリングやイベントの写真、スタッフ紹介といった各種のコンテンツを毎日インスタグラムへ投稿し続けた。インスタグラムからの直接的な売り上げは期待していなかったという「トーキング・タコス」のインスタグラムアカウントはお客を中心に徐々にフォロワー数を増やしてゆき、今日現在で19万4000人を数えるまでになった。「トーキング・タコス」のインスタグラムは地元ビジネスなどとの交流も招き、ケータリング注文などの実ビジネスをジェネレートするに至っている。
「メニューくらいしか投稿するネタがない」「毎日投稿するほどのコンテンツがない」などとネガティブ思考にならずに、メニュー開発の裏話や日常のちょっとした出来事、スタッフのつぶやきや地元商店街の話題等々、考えられるネタを毎日投稿し続けることが重要だ。それが積み重なって、集客するためのツールに化ける可能性が生まれる。
飲食店のインスタグラム活用のポイント
以下に、飲食店のインスタグラム活用のポイントをまとめておこう。
定期的に投稿する
「トーキング・タコス」の事例が語るように、インスタグラムは定期的に投稿することで効果的な集客ツールに進化させられる可能性が生じる。また、インスタグラムにはリアルタイムで無数のコンテンツが投稿されており、ある程度定期的に投稿しないと投稿したコンテンツが埋もれてしまう。情報の鮮度を保ち、インタラクションを獲得するためにも定期的な投稿が必要だ。
フォロワーと交流する
投稿したコンテンツに「いいね」や「コメント」などのインタラクションが付いたら、直ちに反応して交流することが重要だ。特に「コメント」に対しては、ポジティブなコメントはもちろんネガティブなコメントに対してもリプライをする必要がある。フォロワーとの交流を活発にすることでUGC発生の可能性も高まる。
「インスタ映えしやすいメニュー」を提供する
また、ユーザーが積極的にとりあげ、投稿したくなるような「インスタ映えしやすいメニュー」を開発し、提供することも効果的だ。さらに、上述の「カフェ・ラ・フェファ」のように、セルフィーステーションやセルフィー専用席などを用意するのも良いだろう。
可能な限り動画を投稿する
インスタグラムでは短い尺(最長60秒から180秒)の動画が投稿可能だが、静止画に加えて出来るだけ多く動画を投稿した方が良い。動画は静止画よりも多くの情報を短時間で伝達できるメリットがある。さらにリール動画はフォロワー外のユーザーにもリーチできる可能性があるため、ユーザー数増加が期待できる。
インフルエンサーとコラボする
特にアカウントを立ち上げたばかりといったケースではコンテンツ量も乏しく、アクセスもさえないだろう。そうした場合には、いわゆるインフルエンサーとのコラボを検討してみてもいいだろう。大物インフルエンサーではなくても、最近はフォロワー数数万人程度の「マイクロインフルエンサー」も存在しており、コラボするコストを抑えることができる。特に地元密着を売りにしているインフルエンサーとのコラボはぜひ検討してみるべきだろう。
参考サイト
https://www.instagram.com/explore/locations/130133002286866/cafe-la-jefa/
大学卒業後渡米し、ロサンゼルスで飲食ビジネスを立ち上げる。帰国後複数の企業の起業や経営に携わり、2001年に経営コンサルタントとして独立。新規事業立上げ、マーケティング、アメリカ市場進出のコンサルティングを行っている。米国のベストセラー『インバウンド マーケティング』(すばる舎リンケージ)の翻訳者。明治学院大学経済学部経営学科博士課程修了、経営学修士。
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