寿司と言えば日本を代表する料理のひとつだが、アメリカでも寿司が一般的に食べられるようになってから大分年月が経過した。今や寿司という食べ物を知らないというアメリカ人は極めて少数派であろう。そうした中、日本で独自の進歩を遂げたある寿司店が、アメリカで改めて人気と注目を集めている。今回は、アメリカの各都市で着実にファンを増やし、現地に根付きつつある「Kura Sushi」をご紹介する。
「Kura Sushi」運営Kura Sushi USAについて

「くら寿司」は、1977年5 月に創業者田中邦彦氏が大阪府堺市に開店した寿司店に端を発する寿司レストランチェーンだ。1984年7月に「回転寿司くら」を開業すると今日までに日本全国で551店舗(2024年7月時点)を運営するまでに事業を拡大している。アメリカには2008年1月に進出、ロサンゼルスをアメリカ子会社Kura Sushi USAの拠点とし、20009年9月にアメリカ第一号店「アーバイン店」を開店している。Kura Sushi USAはその後、2019年8月に「KRUS」のティッカーシンボルで米NASDAQへ上場している。
なお、NASDAQは公式サイトでKura Sushi USAを、「Kura Sushi USAは、アメリカで複数の回転寿司チェーンを展開する日本の外食企業である。回転寿司に加え、タッチスクリーンによるオンデマンド注文システム、エクスプレスコンベヤーベルト、プレートスロット、そして「ビッくらポン!」くじシステムなどを提供している」と紹介している。なお、アメリカでのくら寿司の正式店舗名は「KURA Revolving Sushi Bar」略称「Kura Sushi」で、2024年8月現在全米21州で43店舗を運営している。
主なメニューと価格

Kura Sushiのアメリカ第一号店「アーバイン店」のメニューだが、主力の寿司は一皿全品3.85ドル(約554円)となっている。日本と比べると高く感じるが、物価高騰が続くアメリカの主要都市部におけるプライシングにしては相当リーズナブルに見える。寿司はマグロ、サーモン、エビ、イカ、タコ、タマゴなどの「握り」と、サーモンロール、レインボーロール、クランチーロールなどの「巻物」や各種の「手巻き寿司」などで構成されている。見た感じは日本のメニューとほぼ変わりないが、「フィラデルフィアロール」「スパイシーツナロール」「ツナクリスピー握り」といったアメリカオリジナルのメニューも少なからず提供されている。
寿司以外には、「フライド・ツナスティック」(8.90ドル、約1282円)「野菜天ぷらの盛り合わせ」(8.90ドル、約1282円)「ソフトシェルクラブの天ぷら」(8.90ドル、約1282円)「クリスピーチキン唐揚げ」(5.70ドル、約821円)「イカフライ」(3.85ドル、約554円)といった揚げ物メニューや、「枝豆」(3.85ドル、約554円)「たこ焼き」(3.85ドル、約554円)「キュウリサラダ」(3.85ドル、約554円)などのサイドメニュー、天重(11.55ドル、約1663円)やビーフ重(11.55ドル、約1663円)などのご飯もの、醤油ラーメン(11.30ドル、約1627円)やエビ天うどん(10.45ドル、約1505円)などの麺メニュー、デザートなども用意されている。
「Kura Sushi」の注文・会計方法
「Kura Sushi」での注文方法だが、日本とほぼ変わらない。基本は回転寿司なので、コンベヤーベルトに乗っている好きな寿司を自分で手に取って食べる。回っていないものがある時はタッチスクリーンで注文し、エクスプレスコンベヤーベルトから受け取ることができる。食べた皿はプレートスロットに投入し、15枚貯まるごとに1回「ビッくらポン!」くじを引くことができる。
なお、アメリカのほとんどのKura Sushiでは、専用スマホアプリでウェブサイトから注文して、ピックアップやデリバリーを頼むことが可能だ。店内での会計は現金やクレジットカードに加え、AppleペイやGoogleペイなどのモバイルペイメントや、決済方法を登録した専用スマホアプリで行える。なお、専用スマホアプリを使って会計をすると1ドルごとに10ポイントが還元されるポイントシステムも用意されている。
アメリカでの「Kura Sushi」の評判は?
カリフォルニア州を拠点に、テキサス州、ニューヨーク州などの都市部を中心に店舗を増やしているアメリカの「Kura Sushi」だが、現地での評判はどうだろう。旅行・飲食店レビューガイド「Tripadvisor」は、「Kura Sushi」アーバイン店について、以下のような利用者レビューを掲載している。
「甥っ子のおすすめで初めて利用しました。とても面白い体験でした。コンベヤーベルト寿司なんて食べるのは初めてです。食べたいものが流れていなければタッチスクリーンで注文してエクスプレスベルトで届けてもらうこともできます。空いたお皿をプレートスロットに入れると、自動的に会計までしてくれます。寿司のクオリティは高いですが、値段は普通の寿司屋の半額です。いつも混雑しているので、少し早めに出かけることをおすすめします」(5点満点中5点 女性)
「孫たちが寿司大好きなので、機会があるごとにこの店を利用しています。寿司はコンベヤーベルトで流れているものを選ぶか、タッチスクリーンで注文できます。ネタが新鮮で美味しいです。いつもたくさんのお客さんで混雑しているので、高齢の私にはちょっとカオスな雰囲気のお店です。でも値段はリーズナブルで、食事をするのに楽しいお店です」(5点満点中4点 男性)
「私のもっともお気に入りの寿司店です。色々な種類のネタの寿司がコンベヤーベルトで流れていて好きなものを食べられます。お気に入りのものがない場合はタッチスクリーンで注文できます。空いたお皿をプレートスロットに入れると、自動的にくじ引きのゲームが始まります。まるでファミリーレストランのAppleBee‘sのようで楽しいです。価格はとてもお手頃で、私自身何度もリピートしています」(5点満点中5点 男性)
Tripadvisorでの総合評価は5点満点中4.0点で、全体平均を大きく上回っている。特によく聞かれるのが、「自分が食べたいものを自分で好きにとって食べられる」「価格がリーズナブルでクオリティが高い」「エンターテインニングで、食事をして楽しい」といった声だ。日本ではファミリー客層を中心に支持を伸ばして成長してきた回転寿司が、アメリカでも同様の成長プロセスをとげようとしているようだ。NASDAQでの株価も好調なKura Sushiの今後の展開に注目したい。
参考サイト
https://www.kurasushi.co.jp/author/004647.html
https://kurasushi.com/
https://ir.kurausa.com/
