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【アメリカの日本食FC】アメリカの地元で愛されるYoshinoya – 吉野家

Yoshinoya Beef Bowl Restaurant

牛丼と言えば今や日本を代表する国民的ファストフードだ。特に牛丼フランチャイズチェーン最老舗の吉野家は、日本の牛丼文化を産み育んできた功労者として日本の食文化史に名が深く刻まれるべきだろう。そんな吉野家だが、アメリカでもYoshinoyaとしてプレゼンスを拡げ、地元民から愛されている。アメリカで着実に歴史を刻み続けるYoshinoyaを紹介する。

 

アメリカのYoshinoya

Yoshinoya USAは、1899年に創業者松田栄吉が東京日本橋市場に開店させた小さな牛丼店に端を発する牛丼チェーン吉野家のアメリカ子会社である。奈良・吉野の桜が大好きだったという栄吉が名付けた吉野家は、120年の歴史を経て世界中で2000店以上を運営する大ファストフードレストランチェーンへと成長した。

アメリカへは1971年からチェーン展開構想を始め、1973年に現地法人Yoshinoya USAを設立、1975年にコロラド州デンバーにアメリカ第一号店をオープンさせている。Yoshinoya USAはその後、テキサス州ダラス、ニューヨーク州マンハッタンなどに出店したが、経営不振などによる店舗のスクラップアンドビルドが続き、今日までにカリフォルニア州に集約して運営する状態に落ち着いている。Yoshinoya USAは現在、カリフォルニア州の各地で103店を運営している

地元ニーズに合わせたメニュー構成

牛丼屋吉野家のアメリカ現地法人Yoshinoya USAの看板メニューは、当然ながら牛丼である。その牛丼はGyudonという日本名とともに、Beef Bowlというアメリカ名で主に呼ばれている。なお、牛丼の名付け親は吉野家創業者松田栄吉であるとされており、アメリカ名のBeef Bowlも、同名が吉野家の登録商標になっていることからも、Yoshinoya USAが名付けたものと見られる。

アメリカ吉野家公式サイト
アメリカ吉野家公式サイト

Yoshinoya USAの看板メニューはBeef Bowlだが、その提供形態は日本のものとは大分違っている。Yoshinoya USAでは注文する際にまず、器(Bowl)のサイズの指定から行う。サイズはComboXL、Combo、Large、Regularの四種類で、Regularが日本の大きめの丼サイズ程度となっている。

サイズを指定すると、次にProtein(プロテイン)を指定する。Proteinは鶏肉または牛肉で、鶏肉はフライドチキン、照り焼きチキン、ハバネロチキンの三種類、牛肉はオリジナルビーフと照り焼きグリルリブアイの二種類が用意されている。看板メニューの牛丼を頼みたい場合は、ここでオリジナルビーフを指定する。

照り焼きグリルチキン
照り焼きグリルチキン

Proteinを指定すると、最後にBaseを指定する。BaseとはProteinの下に敷かれる炭水化物のことで、白米、玄米、うどんの三種類から選択できる。また、Baseとともにブロッコリー、カリフラワー、ニンジンで構成されたVegetablesが付いてくる。

以上のすべてを指定して晴れて注文が成立するわけだが、日本の吉野家のメニューとは大分違っている。筆者がロサンゼルスに居住していた30年ほど前のYoshinoya USAでは、日本の吉野家のメニューに近いメニューが提供されていて、牛丼の大盛が欲しければLarge Beef Bowlと注文すればよかったと記憶している。Yoshinoya USAは、それなりの時間をかけて現地ニーズに合わせてメニュー構成と内容を徐々に変えていったものと思われる。

フランチャイズ事業も展開

Yoshinoya USAはフランチャイズ事業も展開している。アメリカのフランチャイズチェーン調査会社によると、2022年時点のYoshinoya USAのフランチャイズ加盟店は23店で、全体の約五分の一となっている。Yoshinoya USAは現在もフランチャイズ加盟店を募集しており、募集要項は以下のようになっている。

  •  フランチャイズフィー(最初の店舗) 27,500ドル(約412万円)
  •  グランドオープニングフィー 12,000ドル(約180万円)
  •  開業時必要現金相当資産 300,000ドル(約4500万円)
  •  ロイヤリティ 売上の5%から5.5%
  •  宣伝広告費  売上の3.5%
  •  初期費用総額 385,000ドル(約5775万円)~1,456,450ドル(約2億1847万円)

アメリカのマクドナルドのフランチャイズ加盟料がフランチャイズフィー45,000ドル(約675万円)、開業時必要現金相当資産50万ドル(約7500万円)であることを鑑みるに、Yoshinoya USAのフランチャイズ加盟料は相応にリーズナブルであると言っていいだろう。現在は運営する店舗103店のうちフランチャイズ加盟店は23店に過ぎないが、現地特に南カリフォルニア地域での認知度と人気を鑑みるに、フランチャイズ加盟店がさらに増える伸びしろは十分あるように思われる。

地元の味となりつつあるYoshinoya

Yoshinoya USAは現在、ロサンゼルス郡やオレンジ郡といった、南カリフォルニアの都市部や住宅地域を中心に事業を展開している。ロサンゼルス郡内には特に店舗数が多く、地元民のほとんどがその名を知る存在となっており、また、実際に利用しているお客も少なくない。

口コミサイトYelpには、ロサンゼルス・ダウンタウンで営業しているYoshinoyaフィギュエロア店に対する、以下のようなユーザーレビューが寄せられている(なお、フィギュロエア店はフランチャイズ加盟店である)。

いつもYoshinoyaへ来ることをとても楽しみにしています。食べ物は美味しいし、サービスは最高。特に夜間に働いているスタッフと会話することが楽しいです。彼女は仕事が速く、いつも助けてくれます」(サンフランシスコ、アンナ(女性))

Yoshinoyaは料理が最高です。また、サービスも同様に素晴らしいです。キャッシャーをしていた男性スタッフは、複数の仕事を同時にこなしています!広い店内にスタッフは三人しかいないのです!スタッフの数を増やせばさらに良くなると思いますが、現状でもここのYoshinoyaは最高です」(ロサンゼルス、レスリー(男性))

ロサンゼルスにYoshinoyaはいくつもありますが、ここのYoshinoyaはベストに入ります。スタッフはいつもフレンドリーで、お客を歓迎してくれます。ある女性スタッフはとてもプロフェッショナルにもかかわらず、外交的で気高いです。いずれにせよ、このYoshinoyaは最高です。非の打ちどころがありません」(ロサンゼルス、ジェン(男性))

レビューの中にはネガティブなものもあるが、おおむねポジティブなコメントが寄せられている。ロサンゼルス郡にはとりわけ多くのYoshinoyaがあるが、それだけ地元住民に多く利用されていることの裏返しであろう。今やBeef Bowl以上のメニューを提供し新たに進化しつつあるアメリカのYoshinoyaだが、今後も大いに注目したい。

 

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・参考サイト

https://www.yoshinoyaamerica.com/

https://yoshinoyaamericafranchise.com/

https://www.yoshinoya-holdings.com/english/group/usa.html

https://www.yoshinoya.com/history/history-01/