カナダ第四の街カルガリー

カルガリー(Calgary)は、カナダ西部アルバータ州にある人口123万人のカナダ第四の街だ。世界的に有名なバンフ国立公園のゲートタウンで、車でわずか一時間半の距離にある。水と空気がきれいなカルガリーはカナダの街らしくコンパクトにまとまっていて、ダウンタウンのオフィス街を囲むように住宅地区が並んでいる。夏の気候は穏やかで過ごしやすいが、冬の寒さは厳しく、酷寒期には気温マイナス40度を下回ることもあるそうだ。それでもカルガリーは豊かな自然や充実したインフラ、恵まれた労働環境などが評価され、イギリスの経済誌エコノミストによる「世界でもっとも住みやすい街2023年版」で世界第七位に選出されている。

「Major Tom」という超人気店

Major Tom店内
Major Tom店内

カナダ人もお気に入りの街カルガリーで今、もっとも話題を集めているレストランが「Major Tom」(メジャー・トム)だ。2021年7月にオープンして間もない若い店だが、すでにカルガリー地元民のハートをつかみ、今日までにカルガリーでもっとも予約がとりにくい店のひとつになっている。カルガリーのダウンタウン中心部にそびえ立つ高層オフィスビルの40階に位置しており、店内のデザインは60年代のニューヨークの「サパークラブ」をイメージして設計されたという。バーが併設された広い店内のグラスウォールからは、カルガリーの街並みをパノラマビューで楽しむことができる。

Major Tomは、オープン翌年の2022年には、カナダのオンラインニュースメディアDaily Hiveが選ぶ「カナダ・ベストレストラン100選2022年版」で12位に選ばれ、さらにエアカナダが選ぶ「カナダ・ベストニューレストラン2022年版」にも選出されている。

カルガリー牛とA5ランク和牛が看板メニュー

そんなMajor Tomだが、メニューは基本的にコンチネンタルだ。オードブル、アペタイザーなどのスターターに加えて、パスタ、ベジタブル、シーフード、メインなどで構成されている。また、MTビーフプログラムという称号でカルガリー産のアンガス牛と宮崎産のA5和牛が提供されている。TripAdvisorによると、Major Tomの看板メニューはこのMTビーフプログラムで、多くのリピーターがこれを目当てにMajor Tomを定期的に訪れているそうだ。

ウェイトレスに案内されて席に着くと、早速ドリンクメニューを手に取った。ドリンクメニューは豊富で、クラフトビールだけでも12種類もの銘柄があった。地元のクラフトビールがあったので、筆者はそれを注文した。

アペタイザーにはスキャロップ・クルード(Scallop Crudo)を選んだ。クルードとはイタリア語で「生」という意味で、生の魚介類を食べやすいサイズにカットしてヴィネグレットや柑橘系のジュースなどで味付けした料理だ。注文して間もなく出てきたスキャロップ・クルードは、ほどよく酸味が効いたバルサミコ風のドレッシングがちょうど良く絡んでいて、新鮮なホタテ貝の食感と見事に調和した一品だった。すでに最初の一皿からシェフのクリエイティビティを感じるスタートとなった。

メニューは総じてクリエイティブ

続いてベジタブルからシーザーサラダを注文した。ロメインレタスを主とするシーザーサラダはパルメジャーノチーズベースのドレッシングで和えられていて、トッピングされたローストベーコンの香ばしさと見事にマッチする一品だった。ドレッシングにはほのかにガーリックの存在感が示されており、カリカリのクルトンとの相性も絶妙だ。

さらにパスタからフジーリ(Fusilli)を選択した。ネジ巻き状のパスタはトマトベースのソースと絡んで食感も心地よい。エビも火を通し過ぎてなく、プリプリの食感が楽しめる。ソースからはほのかにミントの香りがし、若干ピリ辛の後味が残る。ほかの料理にも言えることだが、このレストランの料理人は素材に火を通し過ぎない。素材の持ち味を最大限に引き出す火の通し方を意識しているように思われる。

三皿目を終える頃には、筆者の胃は丁度いい感じで満たされていた。アメリカやカナダのレストランは、一皿の量がとにかく多いので、日本の感覚で注文すると大変なことになる。ここMajor Tomの一皿も、他の店に比べれば若干控えめの感はあるものの、それでも総じて量が多い。Major Tomを訪れる方には、くれぐれも注文し過ぎないことをアドバイスさせていただきたい。

総合評価は?

肉が食べられない筆者は、Major Tomの看板メニューであるカルガリー牛や宮崎和牛を食べることはなかったが、それでも十分に堪能できる内容だった。さすが「カナダ・ベストレストラン100選2022年版」で12位に選ばれただけのことはある。

なお、気になる勘定の方だが、これは相応に大きいものになったようだ。なったようだと言うのは勘定を支払ったのが筆者ではなかったからだが、相応の金額にはなったはずだ。特に看板メニューのカルガリー牛や、カルガリー牛よりも高額の宮崎和牛などを注文した場合、勘定も相応な金額になるのは間違いないだろう。なお、宮崎和牛の値段についてはMP(Market Price, 市場価格)となっている。

ところで、Major Tomを含むカナダの飲食店では、支払いをクレジットカードやデビットカードによるキャッシュレスで行うケースがほとんどだそうだ。多くの飲食店がコンタクトレス決済を導入しており、POSシステムと連動したコンタクトレス・キャッシュレス決済がカナダの飲食店の標準的な決済手段になりつつある。支払方法をキャッシュレスにすることで現金管理の手間を減らすのは世界的な潮流のようだ。

Major Tomは、カルガリーを訪れる人にはぜひとも利用してもらいたい店なのは間違いない。筆者もまたカルガリーへ行く機会があればぜひまた行きたいと思う。ヨーロッパ的なこぢんまりとした雰囲気を持ったカルガリーと言う美しい街で、まさに綺羅星のように登場したMajor Tomを、筆者は大いに評価したい。

関連リンク
https://www.majortombar.ca/
https://www.tripadvisor.com/Restaurant_Review-g154913-d23522783-Reviews-Major_Tom-Calgary_Alberta.html