今年1月からの新型コロナウィルスの感染拡大により、日本政府は4月16日に緊急事態宣言を全国に拡大しました。外出自粛がさらに高まることで、飲食店に対してもさらに影響が広がるのではないかと思います。
このような苦境を乗り越える対策として、無理のない範囲で、売上を確保できる「テイクアウト」「デリバリー(宅配)」サービスがあります。
企業や団体からの支援の数も増えてきておりますので、サービスを活用して、今できる最大限の対策を行っていきましょう。

 

テイクアウト・デリバリーサービスに対してのニーズはあるのか?

巣ごもり消費の広がりにより、テイクアウト・デリバリーサービスのニーズが高まっています。また飲食店への救済措置もあり、活用しやすいサービスと言えるのではないでしょうか。宅配やテイクアウトサービスの初期費用を助成する方針も発表しています。

巣ごもり消費の広がり

Uber Eats ローソンルームウェアブランドの「ジェラートピケ」では、来店客が激減している一方で、ECでの売上が伸びオンライン飲み会用のルームウェアが売れているそうです。コンビニ大手のローソンでは、「Uber Eats」での宅配に対応する店舗を、5月末までに東京や大阪を中心に約500店舗に拡大する方針としています。

このことからも、巣ごもり消費の広まりや、オンライン飲み会を例にすると、自宅へのテイクアウトやデリバリーのニーズはさらに高まりそうです。実際に飲食店でも、テイクアウトやデリバリーサービスを取り入れる店舗が増えています。

営業時間短縮の協力要請について

東京都は4月10日、居酒屋を含む飲食店の営業時間を午前5時から午後8時までとし、居酒屋などでの酒類の提供は午後7時までと発表しました。その上で、飲食店の酒類小売り販売免許の特例を紹介し、テイクアウトなど飲食店の工夫を呼び掛けています。また、宅配・テイクアウトサービスについては、営業時間の短縮を要請しないとしています。
「新型コロナウィルス感染症対策の基本的対処方針(政府対策本決定)」でも、国民の安定的な生活の確保のため、宅配・テイクアウトについても、サービスを提供する関係事業者の事業継続を要請するとしています。

期限付き酒類小売販売免許付与について

国税庁は、新型コロナウィルス感染拡大により、経営に重大な影響を受けている飲食店(居酒屋を含む)に対して、自らの飲食店で提供している酒類を、テイクアウト(持ち帰り)販売できるよう、新たに「期限付酒類小売業免許」を付与しています。各地域の税務署への申請により、免許が付与されることになっております。措置の概要や具体的な申請方法については、国税庁の公式ホームページをご参照ください。
国税庁公式HP:新型コロナウイルス感染症に関する対応等について
https://www.nta.go.jp/taxes/sake/kansensho/index.htm#jigyousha



テイクアウト・デリバリーをはじめるには?

上記で述べましたように、国民の消費行動の変化やコロナウィルス感染拡大伴う対策から、飲食店において、テイクアウト・デリバリーサービスへの対応に期待が高まっているといえます。では、実際にはじめる際の懸念ポイントを解説していきます。

申請は必要なのか

既に飲食店営業許可を受けている飲食店のメニューを、テイクアウトやデリバリーする場合は、基本的に新たに申請は必要ありません
しかし、飲食店営業許可を受けていない施設や、アイスクリーム・パン・ハムなどを持ち帰り用で販売する場合は、新たに保健所へ申請が必要になる場合があります。該当する場合は、営業許可を受けた保健所にご相談ください。
居酒屋等での酒類のテイクアウトについては、先述の通り、期限付酒類小売業免許が必要になります。

サービスを始める前に確認すべき事とは

持ち帰り用で提供する料理が決まったら、運用方法を決めていきましょう。確認しておきたいことを以下にまとめました。

 

テイクアウト容器や包装をどのようにするか

持ち運んだときに崩れにくい、容器から水分が漏れないなど、テイクアウト容器調理した状態と変わらない提供へ繋がるように、容器や包装を選ぶ必要があります。またデリバリーサービスを代行する際は、代行する企業により、扱う容器や包装について決まりがある場合がございますので、ご確認ください。購入を考えている場合、おしゃれな容器を提供するECサイト「容器スタイル」も参考いただけるかと思います。

 

注文から受注までをどのようにするか

LINEポケオ
LINEポケオ

店舗独自で行う場合は、お客様にどのような方法(利用できるもの:電話、FAX、メール等)で注文してもらうのか、受注をどのように管理するのか(利用できるもの:P0Sレジシステム、EXCEL)について決める必要があります。また、お客様の名前や住所等の個人情報の保護も必要になります。
店舗独自でテイクアウト事前注文管理を行うのが難しい場合は、テイクアウトアプリを使用するものもおすすめです。代表的なサービスとしては、「LINEポケオ」などがあります。

 

商品のお渡し場所をどこにするか

お店で商品をお渡しするのではなく、お客様の指定した場所(おもにご自宅)まで商品をお届けする場合は、デリバリーを行うスタッフの確保やエリアを決める必要があります
こちらも前述と同様、店舗独自で行うのが難しい場合は、デリバリー代行サービスを使用するのもおすすめです。デリバリー代行の代表的なサービスとしては、Uber Eatsや出前館などがあり、詳しくは記事(下記)を参考にしてください。

 

どのようにPRしていくのか

テイクアウトサービスを行っていることを、お客様に対してどのような方法で広めていくのかを考える必要があります。例えば、SNSであればテイクアウトが可能なことを、料理等の写真を付け加えて投稿することで、「テイクアウトをしたい」と思う方が増えるのではないでしょうか。また店舗前にPOPを掲示することでも、近隣の方々へのアピールに繋がると思います。その他にも、企業や団体の支援サービスが増えておりますので、活用するとさらに良くなると思います。<都道府県別の支援サービス一覧

以下PR方法をまとめましたので、ご参考ください。

・都道府県の支援サービスを利用する都道府県別の支援サービス一覧
・SNSを利用する例:Instagram、Facebook、Twitter
・チラシを配る例:ラクスル
・店頭に告知掲示をする店頭にPOP
・デリバリーアプリサービスを利用する例:Uber Eats出前館楽天デリバリー

SNSの活用には以下記事に詳しく掲載しています。

 

店舗でのコロナウィルスに対しての衛生管理とは?

厚生労働省によると、コロナウィルスは熱※1及びアルコール※2に弱いことがわかっています。製造、流通、調理、販売、配膳等の各段階で、食品取扱者の体調管理やこまめな手洗い、手指消毒用のアルコール等による手指の消毒、咳エチケットなど、通常の食中毒予防のために行っている、一般的な衛生管理が実施されていることが重要としています。またWHOからの一般的な注意として、「生あるいは加熱不十分な動物の肉・肉製品の消費を避けること、それらの取り扱い・調理の際には注意すること」とされています。詳細な衛生管理対策につきましては、以下ご参照ください。
※1 70度以上で一定時間
※2 70%以上、市販の手指消毒用アルコールはこれにあたります

厚生労働省:新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html#Q10

日本フードサービス協会:新型コロナウィルス・インフルエンザ等に関する衛生対策
http://www.jfnet.or.jp/contents/safety/

 

まとめ

テイクアウト・デリバリーサービスは、今できる対策の一つとして、打ち出しやすいサービスだといえます。この苦境の中で、新しいサービスを取り入れることに、不安を抱くこともあるかとは思いますが、支援の輪はさらに広がっております。それぞれの店舗に合った対策がきっと見つかるはずです。この記事を通して、少しでもお役立ていただけましたら、幸いです。

 

都道府県別の支援サービス一覧

エリア支援内容・リンク
北海道「がんばれ飲食店!応援企画」札幌市のテイクアウト・デリバリー対応店を無料掲載(北海道情報大学有志の方々)
青森県「あおもりTAKEOUT」青森市のテイクアウト・デリバリー対応店を無料掲載(あおもりテイクアウト応援団・青森エール飯プロジェクト実行委員会)
宮城県「今こそ支え合おう。テイクアウト・ケータリング可能な宮城の飲食店情報」を発信(株式会社ユーメディア 等)
宮城県仙台市「テイクアウトはじめましたプロジェクトin仙台」テイクアウト・宅配サービス対応店を無料掲載(仙台市文化観光局東北連携推進室)
茨城県「ほっと!いばらき いばらきのあたたかいを伝える応援プロジェクト」飲食店等のテークアウト情報を掲載(合同会社ジョインズ)
茨城県水戸市「#テイクアウトミト」SNS投稿でテイクアウト店をさらにPR(水戸商工会議所)
千葉県船橋市「#食べよう船橋 キャンペーン〜みんなで船橋市の飲食店を応援しよう」テイクアウトや出前の対応店を掲載(船橋市)
埼玉県「埼玉県お持ち帰りグルメ応援サイト Saitama」宅配や持ち帰り弁当の取扱飲食店を掲載(埼玉県)
東京都「感染症対策に取り組んでいる飲食店を紹介します」デリバリー・テイクアウト対応店を無料掲載(東京商工会議所)
愛知県豊橋市「東三河食べ支えプロジェクト@豊橋」テイクアウト・デリバリー対応店の紹介サイト(株式会社フェニックス・はなまるプラス)
静岡県浜松市「テイクアウト浜松」「はままつ飯.net」「はままつプラスワンキャンペーン」テイクアウト・デリバリー飲食店掲載(浜松市)
静岡県三島市「三島市観光協会」「三島商工会議所」「三島バル実行委員会」テイクアウト対応店に関する情報をまとめて発信(三島市)
山梨県飲食店のテイクアウト情報を多くの人に届けるアプリ「TAKEOUT yamanashi」(株式会社ライカーズアカデミア)
新潟県「おうちで食べる新潟グルメ お取り寄せで飲食店を応援しよう!」県内の新規出店受付を無償化(株式会社クーネルワーク)
長野県上田地域「もっテイク上田」テイクアウト&デリバリー情報サイト(上田商工会議所・上田市商工会・真田町商工会)
福井県「立ち上がれ福井 飲食店応援券」福井県の加盟飲食店ごとに、1年間有効のお食事券を購入で飲食店を応援(ぼんたグループ)
京都府「FOOD’SVOICE KYOTO いま届けたい食の声」宅配食品等を提供する企業を紹介する掲示板(京都府商工労働観光部ものづくり振興課)
兵庫県神戸市「Uber Eats + KOBE」神戸市とUber Eatsの連携による飲食店・家庭支援策(神戸市・Uber Eats)
大阪府大阪市「忙しいあなたの味方に お家で外食」お持ち帰り・出前の対応店情報を発信(株式会社メニューデザイン研究所)
奈良県生駒市「コロナフリーキャンペーン」市内事業所を支援するため、様々な機関と連携したキャンペーン(生駒市)
岡山県「料理人のソコヂカラ 飲食店応援サイト」テイクアウト・デリバリー・出張販売の対応店を無料でPR(岡山商工会議所)
福岡県福岡市「ゴチ送 おうちで’’うまかもん’’を味わう!」デリバリー・テイクアウト対応店と消費者を繋ぐサービス(タイミー・サンマーク・neuet)
大分県別府市「#別府エール飯」SNS投稿でテイクアウト店をさらにPR(別府市・B-bizLINK)
佐賀県多久市「食TAKUプロジェクト(食多久✕食宅✕食卓)〜多久市✕おうちごはん〜」テイクアウト対応店の情報発信(多久市商工会・たく21)
鹿児島県宮古島市「#宮古島エール飯」SNS投稿でテイクアウト店をさらにPR(宮古市)
全国「新型コロナウィルスに負けないぞ!」各地商工会議所の取り組みをまとめて掲載(日本商工会議所)

企業による支援サービス一覧

 

** 関連記事 **

< 参考リンク >
WWD:オンライン飲み会用ルームウエアなど巣ごもり消費で絶好調の「ジェラートピケ」
https://www.wwdjapan.com/articles/1070448

朝日新聞デジタル:コンビニ弁当もウーバーで「巣ごもり」新サービス続々https://www.asahi.com/articles/ASN4G3FTFN4FULFA02B.html

一般社団法人日本フードサービス協会「JFニュースレター2020.4.10 新型コロナウィルス関連情報 NO.18」http://www.jfnet.or.jp/contents/news_letter/files/45_file.pdf

一般社団法人日本フードサービス協会「JFニュースレター2020.4.10 新型コロナウィルス関連情報 NO.19」http://www.jfnet.or.jp/contents/news_letter/files/46_file.pdf

東京都福祉保健局:食品営業初めてナビhttps://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/eigyounavi/authorized/