飲食店におけるPOSレジの未来予想図。作業効率化とサービスの変化について

技術革新とともに POSレジも急速に進化してきました。特に、ここ数年の変化は目覚ましく、以前では考えられなかった、スマホやタブレットを使ったものも登場しています。これらの進化により、接客のあり方までも変えてしまうのではないかとも言われるようになっているのです。
ここでは、これからPOSレジが変えるであろう飲食店での接客のあり方や、未来予想をしてみたいと思います。

 

 

POSレジが多種多少に進化。スマホがレジになる時代

タブレット POSレジ

今や、POSレジは飲食店に欠かせないものになりました。マーケティングにはデータが欠かせないと考えるようになり、個人店でもPOSレジを導入するケースが増えています。それを支えているのは、さまざまな技術革新でしょう。最近はPOSレジの機能面はもちろん、POSレジ本体も多様性をもって進化しています。

例えば、以前のPOSレジと言えば専用機で、多機能になるほど大きくなるというのが一般的な認識でした。ですが、今は非常にコンパクトになっています。これにより、飲食店の会計スペースが非常に小さくなっています。

しかも、POSレジはコンパクトになっただけでなく、低価格なものが登場したことも、飲食店にとって朗報ではないでしょうか。その最たるものが、タブレットやスマホを活用したもの。アプリをインストールすることで、レジ機能を持たせることができるのです。デバイス自体は一般的に市販されているものですから、コスト負担はかなり軽くなります。また、故障時のメンテナンス費が安いことも大きなメリットです。

また、これらのPOSレジは、コンパクトながら高性能なのも特徴でしょう。例えば、わずか数センチの小さな機器をイヤホンジャックに差し込むことで、クレジットカードや交通系 IC カードなどでの決済ができるようになっています。カードに記名することが必要な場合、タブレットに書き込んでもらえばよく、サインした伝票をカード会社に送る手間もありません。


ハンディをスマホにすれば、コスト負担はさらに軽くなる

ハンディ端末

同時に、フロア担当者にもたせるハンディターミナルをスマホで代用するケースも増えています。ハンディターミナルはフロア担当者の人数分の台数を用意しなければならず、コスト負担が大きくなることが問題でした。これを型落ちのスマホで代用させれば、1台あたり数千円で購入することが可能です。中には、故障した場合、高額なコストを払って修理をするのではなく、新たに買い換えてしまうという店舗も多くあります。

また最近は、ハンディ代わりとなるスマホの購入すらせず、アルバイトが持っているスマホにアプリを入れ、使用させているところもあります。アルバイトにしてみれば、通常は持ち込み禁止のスマホを肌身離さず持っていられるということで、望んでアプリを入れる人も少なくないそうです。

もちろん、店舗の ID やパスワードを入れなければ機能しませんし、同一 Wi-Fi下でなければメインマシンと接続しないなど、セキュリティ面への配慮もなされています。さらに、システムへのアクセスに階層を付けることで、閲覧や操作できる機能を限定することが可能です。アルバイトの個人スマホで操作できるのは、あくまでもオーダーの入力のみ。重要な数値はクローズドな状況で管理できるので安心です。

リアル店舗でも通販感覚でオーダーしてもらえる

セルフオーダー端末

また、スタッフが注文を聞くのではなく、お客様自身にやってもらう例も増えてきました。例えば、回転寿司チェーンなどでは、オーダー用のディスプレイが各テーブルに置かれており、お客自らがそれを活用して注文する「セルフオーダーシステム」が定番になっています。画像にタッチすると数量を入力できるようになっており、POSレジがオーダーを集約し、キッチンディスプレイに表示させるのです。また、食べ終わった皿は返却するとカウントされるため、会計もスムーズに行えます。

この応用とも言える技術が、一般の飲食店でも活用されるようになっています。メニューが表示されたタブレットを操作し、注文してしまえるのです。最近は、いろいろなところでタッチパネルを操作するシーンが増えました。多くのお客が、この操作に抵抗がなくなったことで、今後はより多くの業態で活用されるようになることでしょう。

ファミリーレストランなどで使用されているカラフルな写真入りのメニューブックは、1部あたりの制作費が数千円から1万円程度とも言われています。この費用を少しでもカットできるのは魅力です。さらに、オススメの商品を日替わりで表示させたり、新商品の予告ができたりすることを考えれば、メリットは大きくなると言えます。

さらに今後はタブレットのセルフオーダーシステムだけでなく、お客様のスマートフォンで注文できるモバイルオーダーも普及も増えてくるとが予想されます。

会計も、もはやスタッフの仕事ではなくなる?

さらに進んだものとして、お客のスマホやタブレットにメニューを表示させるケースも出てきています。その表示からオーダーができるようにし、POSレジとリアルタイムに連携させることでオーダーの手間を省くものです。お客は、店内やサイトに表示されているQRコードなどを使ってメニューを表示させることができるため、自宅で注文し、時間になったら受け取りに行ったり、デリバリーをさせたりすることも可能です。

お客が持っている端末にメニューを表示させることで、副次的なメリットも生まれてきます。例えば、SNSに投稿しやすくなるでしょうし、多言語表示可能にしておくことでインバウンド対策にもなるでしょう。

キャッシュレスでPOSレジはさらに進化する

そして、レジと言えば、キャッシュドロワーとセットだと考えがちですが、最近は、その状況も変わりつつあります。クレジットカードや交通系ICカードで会計をする人が多くなり、それらを使うことが日常的になってきたからです。

アメリカでは「Amazon GO」と呼ばれる小売店が誕生しています。「レジなし店舗」とも呼ばれ、アプリによって支払いを終えられるようになっているのです。「ジャスト・ウォーク・アウト(Just Walk Out)」と呼ばれる技術ですが、このような店舗を数年内に3000店舗展開する計画があるようで、会計の新たな常識ができるのは間近といった印象です。この技術が飲食店にも発展すれば、お客は自分のスマホで注文を済ませ、会計も完了させてしまうようになるのかもしれません。そうなると、レジ係は不要ということになりそうです。

これからは、サービスの評価基準が変わっていく

では、これから先、飲食店におけるPOSレジはどのようになって行くのでしょうか?
さまざまな技術革新が起こるため具体的な予測はできませんが、接客サービスのあり方と評価基準が大きく変わることは間違いないでしょう。飲食店は、美味しいものを提供する場であることに変わりはありませんが、お客がセルフオーダーシステムによってオーダーし、精算をして帰って行るのが定番になることで、接客のあり方が変わっていくのです。

例えば、サービスの評価に、「あの店のオーダーエントリーはやりやすい」などといったシステムの評価が加わるでしょう。また、スタッフへの評価も、「説明がわかりやすかった」「困っていたら、すぐにサポートしてくれた」というように、新たな観点が加わりそうです。その一方で、今までお客との一番の接点だった、オーダーを聞くという作業は大幅に削減されます。商品説明などの情報はタブレットがやってくれるようになるでしょうから、スタッフは商品について覚えるのではなく、デバイスの使い方を覚えることの方が重要になってくるのかもしれません。

自動化するからこそ、重要なこと

一方、飲食店側としては、人材不足が深刻化していきます。そのため、多くのことを自動化できるのはありがたいことだと考えるようになるはずです。ただし、自動化することがサービスの低下に直結するのであれば、外食を利用する価値はなくなります。お客とコミュニケーションを取らなくても成り立つサービスになるからこそ、いかに効果的で質の高いコミュニケーションができるかが重要になるのです。

売上集計サービス

また、POSレジの進化とともに、店内作業も効率化されていくでしょう。調理ロボットはすでに導入され、盛り付けだけをスタッフが行っている業態もあります、調味についても、コンピューターに分量を入れることで、味わいを予測、評価できるようになっています。これが身近なパソコンでも行えるようになれば、商品開発の時間も短縮されます。

発注などの日常業務も、今のような概算を提示するシステムを超え、外的要因を加味しながら完全自動化できる日も近いでしょう。POSレジにAIが搭載され、「長年の経験から生まれる勘」に匹敵するものを身につけ、自動的に発注をしてしまうのです。こうなると料理人は、よりプロフェッショナルな力を求められるようになるのかもしれません。

データの重要度はますます上がる。その中心にあるのがPOSレジ

10年前にスマホが誕生し、中心的な役割が電話でなくなったように、POSレジの中心的な役割も本来のレジ機能ではなく、さらに大きな枠組みを持つようになるのは確実です。

これからは、ますますデータを重視したマーケティングが重要となってくるのです。AIがその人にあったメニューをオススメするようになり、メニューすら不要になるかもしれません。客の好みにあわせながら、店の在庫も考えて提案できるようになれば経営は効率化します。

さらに、店頭に設置されたデジタルサイネージには、在庫に応じてオススメ商品を掲示したり、空席を判断して「お席あります」などと表示を変えたりできるようになっていくでしょう。同時に、TwitterなどSNSにも自動投稿すれば、新たなお客を呼び込むことも可能になります。可能性は無限に広がっていくのです。

これからの飲食店におけるPOSレジは、あらゆる面で重要度が増して来るのは確実です。そんな日を楽しみにしつつ、そのときになって焦らないためにも、今のうちから高機能のPOSレジを使った効率経営を習慣化しておくことが重要なのかもしれません。

 

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参考


ライタープロフィール
原田 園子

兵庫県出身。  株式会社モスフードサービス、「月刊起業塾」「わたしのきれい」編集長を経てフリーライター、WEBディレクターとして活動中。





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