飲食業界にもインダストリー4.0が?マクドナルドのインダストリー4.0戦略とは?

インダストリー4.0とは何か?

インダストリー4.0をご存知であろうか?インダストリー4.0(Industry4.0)とは、2011年にドイツで提唱された新たな時代の産業コンセプトであり、ドイツの国家戦略である。人工知能(AI)、IoT、ビッグデータ、ロボット、3Dプリンターなどの新技術を製造現場に導入し、自己完結的で生産性の高い、新たな次元のモノづくりを目指すものである。

インダストリー4.0のコンセプトは、誕生地ドイツ以外の日本やアメリカなどの他の先進国へも及び、それぞれの国で標榜され始めている。インダストリー4.0は、今や先進国が目指す共通のゴールとして掲げられるようになってきている。



インダストリー4.0の例外にならない飲食業界

そのインダストリー4.0だが、製造業の世界だけで進行しているわけではない。インダストリー4.0は今や、金融、保険、医療、教育、物流、リテール、ホテル、農業、漁業などの様々な領域で普及が始まりつつある。そして、当然の事ながら、飲食業界も例外ではない。

英オックスフォード大学が2013年にまとめた「雇用の未来」という有名なレポートがある。AIやロボットなどの普及により、将来失われる可能性がある職種をまとめたものだが、ファーストフード・レストランの調理スタッフも、81%の高確率で仕事を失うと予想されている。

実際に、米カリフォルニア州に本格的な調理用ロボットを導入したファーストフード・レストランが昨年オープンし、地元住民の話題を集めている。フリッピーと名付けられたロボットは人工知能と各種の光学センサーを搭載し、人間に代わってほぼ完全自動でハンバーガーを製造する。1台6万ドル(約630万円)で販売されるというフリッピーだが、フル稼働させればわずかな期間で投資コストを回収できるだろう。

ところで、ハンバーガーと言えば、あの世界最大のハンバーガーチェーンのマクドナルドが、自社の経営戦略にインダストリー4.0のコンセプトを取り入れたとして業界関係者の関心を集めている。マクドナルドのインダストリー4.0戦略とは、一体どのようなものなのだろうか。

 

マクドナルドのインダストリー4.0戦略

アメリカの経済誌フォーブスが報じるところによると、マクドナルドはインダストリー4.0で使われる技術の中で、特にAIとビッグデータの活用を強化しているとしている。マクドナルドは現在、全世界188の国と地域で店舗を運営し、1日6,900万人もの利用者を迎えている。こうした利用者の購買情報は膨大で、ビッグデータ化して活用する事で、様々な恩恵を受ける事が可能になる。

例えば、マクドナルドは既に利用者にスマートフォンのモバイルアプリを提供しているが、モバイルアプリの利用者にAIによるレコメンデーションを提供している。レコメンデーションとは、利用者の購買履歴や購買トレンドなどの情報を分析し、ビッグデータなども参照しながら利用者の志向に合わせた「おすすめ」を行う機能だ。

AIがマシンラーニング(機械学習)しながらレコメンデーションを行い、参照するビッグデータの規模が大きくなるほど、マシンラーニングの精度も上がってくる。日本マクドナルドによると、モバイルアプリのユーザーにAIによるレコメンデーションを提供したところ、利用者一人当たり平均で35%も売上が増加したという。

また、同様にビッグデータと連動したデジタルメニューの導入も拡大する予定だ。デジタルメニューとは、店舗ごとのビッグデータを分析し、時間のセグメントごとの販売予測を行い、予測に合わせてメニューを変化させる仕組みだ。カナダの店舗で実証実験を行ったところ、1店舗あたり平均で3%から3.5%売上が増加したという。

 

一般の飲食店はどう対応する?

マクドナルドはまた、一部の店舗でのキオスク・デバイスの導入も進めている。キオスク・デバイスとは、人間のクルーに代わってタッチパネルスクリーンで注文を受け付け、会計までを行うデバイスの事だ。キオスク・デバイスを導入する事で、高騰する人件費を抑制し、さらにはAIやビッグデータなどと連動させることで、利用者一人ひとりに最適化したクーポンなどを発行できる。また、注文ミスなども防止できるので、フードロスの削減にもつながる。

以上のように、飲食業界においても、インダストリー4.0は現在進行形で普及を始めている。そして、世界最大のハンバーガーチェーンのマクドナルドは、インダストリー4.0の各種の技術を用い、オペレーションをより効率的に、より効果的にさせている。

インダストリー4.0が飲食業界でも普及し始めたという現実の前に、飲食業界の関係者は何をすべきだろうか。まずは、飲食業界のインダストリー4.0についての正確な情報を集めるべきだ。情報を正しく取得し、検証し、自らの店舗にどのように活用出来るか検討するべきだ。

ベンチマーク出来るケースがあれば、ベンチマークすべきだ。過去の産業革命の時と同様、インダストリー4.0の現実の動きに最適に適応する者が生き残る者となるだろう。インダストリー4.0の時代を生き延びるために、今すぐ行動を起こさなければならない。

 


参考リンク

https://www.forbes.com/sites/bernardmarr/2018/04/04/how-mcdonalds-is-getting-ready-for-the-4th-industrial-revolution-using-ai-big-data-and-robotics/#56a17dd33d33
https://www.theguardian.com/us-news/2017/jun/26/jobs-future-automation-robots-skills-creative-health
https://techcrunch.com/2017/09/19/flippy-the-hamburger-cooking-robot-gets-its-first-restaurant-gig/


ライタープロフィール
前田健二

東京都出身。2001年より経営コンサルタントの活動を開始し、現在は新規事業立上げ、ネットマーケティングのコンサルティングを行っている。アメリカのIT、3Dプリンター、ロボット、ドローン、医療、飲食などのベンチャー・ニュービジネス事情に詳しく、現地の人脈・ネットワークから情報を収集している。


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