飲食店の注文方法がコロナ対策で大きく変化!お客様からオーダーの現状と今後

飲食店でのお客様からの注文受付け、料理を提供して会計するという業務はいつの時代も変わりませんが、近年ではオーダーエントリー、セルフオーダーなどさまざまな機器の登場によりその手段は大きく変化してきました。
そこに約100年ぶりの世界的な感染症拡大である新型コロナウイルス流行の影響により、さらなる変化が起きようとしています。これからの飲食店に求められる注文方法について考えてみたいと思います。

 

飲食店の注文方法の進化について

 

オーダーエントリー端末

飲食店が注文を受ける際に利用しているオーダーエントリー端末(ハンディ端末)は1980年代にファミリーレストランが全国に普及する中で、ホールスタッフがお客様から受けた注文を厨房まで行かなくても伝えられるツールとして普及しました。
今ではPOSレジと連携することで注文から会計、売上分析までをトータルに管理するシステムの一つとして個人経営の飲食店でも利用されるようになりました。

オーダーエントリー端末の発想から大きく発展して登場したのが飲食店でお客様自身が操作することで注文ができるセルフオーダーシステムです。

飲食店でお客様が利用する各テーブルもしくはカウンターの席ごとに用意されたタブレット端末から料理を注文する方式のセルフオーダーは当初、大手の回転寿司チェーン店で導入されました。
カウンター前のベルトコンベアーで回される皿に乗った寿司を手元に取り食べるのが普通だった回転寿司は、2000年代後半にはファミリー向けのテーブル席があるファミリーレストランのような大型の店舗が現れ、そこに回っている以外の食べたい料理を注文するためにセルフオーダーが導入されたのです。セルフオーダーが導入された店舗には個別注文された料理を素早く届ける専用のベルトコンベアーが用意されるなど業界独自のさまざまな機能が発展を続けました。

近年では回転寿司業界以外の飲食店にも人手不足への対策としてセルフオーダーシステムの導入が進みました。お客様からの個別注文の回数が回転寿司ほどでは無いにしても、レストランや居酒屋での注文回数は料理、お酒の商品数が多い店であるほど増えるものです。セルフオーダーを導入するとホールスタッフの注文を受ける手間が減り、少ない人数でも無理なく営業できるようになり、人件費の削減にもなります。

業務用ではない家庭向けタブレット端末を利用したセルフオーダーシステムが登場したことに加え、オーダーエントリー端末とPOSレジが連携している既存の機器にセルフオーダー端末を追加して利用できるような製品も現れ、コストを抑えられるようになったことも導入へのハードルを下げているようです。

 

セルフオーダーの導入効果は

セルフオーダー端末

セルフオーダーの導入による効果は単純に注文受付の接客かかる人手が削減できるのみではありません。お客様の注文はテーブル毎にセルフオーダー端末から間違えなく届くために注文の取り違えも無く、POSレジに注文情報が集約されるので会計も間違えなくスムーズに行えます。

大勢のお客様が来られている混雑時にはホールの接客も厨房も忙しく、お客様にとっても注文を伝えずらい時間帯になります。セルフオーダーを利用していただくことで注文の機会を逃さないことは売上への貢献に他なりません

セルフオーダーには外国語に対応した製品もあり、インバウンド需要が戻ってきた際には新たな顧客を取り込むための武器にもなります。



お客様のスマホを利用する注文とは

飲食店で様々なセルフオーダーが普及するなかで、お客様のスマートフォンから飲食店の料理を注文できるさまざまなサービスが始まっています。

マクドナルド モバイルオーダー

外食大手のマクドナルドでは2019年4月から先ずは静岡県内でモバイルオーダーアプリで持ち帰りやドライブスルーに限らず店内からでも注文と決済ができるサービスを開始。2020年2月には国内の全店舗に展開しました。
このサービスはお客様をレジに並ばせることなく商品を提供することを目的としており、店内からの利用ならばお客様はレジに並ぶことなく座席から注文した商品をスタッフが届けてくれます。
テイクアウトやドライブスルーならば自宅や外出先から注文して伝えられる出来上がりの時間に店頭に行けば待たずに受け取れるというものです。
この後、マクドナルドに続くように、すき家、スターバックス、吉野家など大手飲食店が同様なサービスの展開しています。

当時は飲食店デリバリー代行サービスのUber Eatsが大都市圏を中心に展開を進めていた頃でした。消費者にとってはデリバリーはピザ、宅配寿司など専門の飲食店が展開しているオンライン注文、店内飲食は街中にある飲食店へという垣根が無くなり、消費者はいま食べたいものを提供している店舗を探して注文するというスタイルが定着しつつある中でした。

それに加えて2018年末にサービスを開始したPayPayは導入店舗には期間限定の利用料無料、利用者には10%を超えるポイント還元で世間に広まり、2019年10月には消費増税と同時に始まった国によるキャッシュレス支払いへの還元キャンペーンが始まるなど、スマートフォンを利用した注文・支払いサービスへの関心を高めた時期だったのです。

その最中に日本国内では新型コロナウイルスの感染拡大が起こり、2020年4月には全国に緊急事態宣言が適用されることになりました。

マクドナルドはこの宣言が出されている期間中の一時期、全店で店内飲食を中止してドライブスルー、デリバリー含め全てを持ち帰り販売としました。モバイルオーダーを利用した注文では店頭ではお客様を待たせること無く受け渡し、ドライブスルーの無い店舗でも感染防止対策として駐車場に受け渡し専用のスペースを設け自動車から降りることなく商品の受け渡しを可能としたのです。その結果、持ち帰り販売の好調により2020年5月の既存店で売上15.2%増、客単価45.3%増、全店売上高は15.4%増という成果を上げています。マクドナルドにとってモバイルオーダーは期せずしてコロナ禍でも売上を伸ばす要因のひとつになったのです。

 

感染症対策としてのセルフオーダー、モバイルオーダー

飲食店で普及しつつある据え置き型のセルフオーダー端末は基本、指で触れて操作します。この接触で「感染の可能性がある」ととらえる人もいるようです。
そのようなタブレットタイプのセルフオーダー端末での感染症対策として非接触で操作ができるタッチパネルが注目されています。
株式会社アスカネットの非接触タッチパネル「ASKA3Dプレート」はモニタからの光を特殊な鏡で反射させることで空中に映像を見せ、その映像に触れる動作で操作できるものです。注文端末に直接触れないために複数の人が利用しても汚れが付着しないため衛生的なのが特徴です

すでにくら寿司では実証実験が行われており、羽田空港の来客者向け展示では本格的な利用が開始されています。
その他にも三菱電機などで非接触ディスプレイの商品化を進めているそうです。

[ ASKA3Dプレート 操作動画 ]

モバイルオーダーではその点、お客様がご自身の端末にのみ触れて注文するので安心して利用いただけます。マクドナルドの例のようにテイクアウト、店内利用の両方で利用できるものから、店内のみでの利用を前提として先に挙げたオーダーエントリー端末の注文機能をお客様向けにアプリまたはウェブサイトから提供しているものまで様々なタイプのものがあり、このコロナ禍の中で注目されています。

製品によっては、3人で来店したお客様の個々のスマホから注文を取り、割り勘での支払い、または個々に注文した商品を支払うなどこれまでにはない利用方法が可能になります。その上で感染症対策を取りつつ安全に料理を楽しんでもらうための手段としてご利用いただけるのです。

 

注目のモバイルオーダーの導入で変わることとは

モバイルオーダーには注文と支払いがサービス内でできるものと、注文までをお客様にしていただき支払いは店舗で行うものがあります。お客様が店舗に来られない場合でも支払いが済んでいれば売上に対しての影響はありませんが、店舗で支払いをする場合には確実にお客様に来店いただくための工夫が必要になります。

モバイルオーダーシステム

モバイルオーダーを導入したとしても、これまでお客様が受けてきたサービスの質は落とさず、これまで以上に満足いただけるよう心がけましょう。

店内からの注文をモバイルオーダーでしていただく場合、商品の説明の機会は混雑時、注文回数が多い時は難しくなるのは普通の接客でも変わりません。店舗の業態によってはスタッフに余裕のある場合は接客での注文もできるような仕組みを用意して柔軟に対応できるようにしておくのもよいでしょう。

 

まとめ

このコロナ禍による飲食店への影響が続くなかでも、お客様を店舗に引きつける魅力を発信し続けることに終わりはありません。その中に安心して利用できる注文方法の一つとしてセルフオーダー、モバイルオーダーの利用があります。一方で、飲食店では接客時のコミュニケーションもお客様に提供する大切なサービスです。セルフオーダー、モバイルオーダーを導入してお客様と向き合う時間が減ることで、お客様の満足度を下げてしまうとお得意様を失うことになりかねません。料理の提供時には会話を心がけるなど、お客様にお得意様でいてもらうための関係を築くことを無理なく行い、店舗運営の向上を図りたいところです。

近年の飲食業界では大手チェーン店か率先して取り入れた最先端の技術が中小規模でも採用できるようになるまでのサイクルが短くなりつつあります。店舗の将来を考え、コロナ禍でもお客様に受け入れられるために新しい仕組みを取り入れることで新たなお客を呼び込んではいかがでしょうか。

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