アメリカの飲食業界でChatGPTを活用する機運が高まっている。社会のあらゆるシーンを劇的に変化させる可能性があるとされる対話型の人工知能は、飲食店のマーケティングなどにも使われ始め、実際に効果を上げ始めている。本記事は、アメリカの飲食業界でChatGPTがどのように使われているかを紹介し、同時に今後の日本の飲食業界における活用の可能性について考察する。
ChatGPTとは何か?
ChatGPT(チャットジーピーティー)は、アメリカのスタートアップ企業OpenAIが開発した対話型人工知能だ。人間の質問に対してあたかも人間のように回答してくれ、しかもその回答精度が非常に高いことからユーザーから高く評価され、現在世界中で大人気となっている。
2022年11月30日の公開日から史上最速のわずか2カ月で1億人のユーザーを獲得したというChatGPTだが、一般のユーザーとともに企業によっても使われ始めている。そして、アメリカの飲食業界も、この革命的な人工知能を早速ビジネスに活用し始めている。
アメリカの飲食業界の活用法「マーケティング」
また、多くの飲食店がFacebookやTwitterなどのソーシャルメディアへの投稿文をChatGPTで作成している。ソーシャルメディアを集客やコミュニケーションに使う飲食店の多くはソーシャルメディアへの投稿を毎日行っているが、それを行うスタッフの負担は軽くない。中には投稿するネタに困ってしまうケースもあるだろう。ChatGPTを活用することで投稿文作成作業から人間を解放し、より的確で一貫した投稿文を投稿することが可能になる。また、それぞれのソーシャルメディアに応じたハッシュタグを記述することもできる。例えば「#バレンタイン」「#クリスマス」「#ロサンゼルス」「#クーポン」といったハッシュタグを文章に混ぜることも可能だ。
アメリカの飲食業界の活用法「メニュー・レシピ開発」
さらに、「ロサンゼルス市内の競合店の類似メニューの平均価格を下回る価格の、トマトソーススパゲティミートボール」といった指示をすれば、推奨価格付きでメニュー・レシピを出力してくれる。メニューが季節ごとに変わる店や、ヴィーガン料理やグルテンフリー料理といった特殊なメニューを提供する店などにとっては、ChatGPTは優れたアシスタントとなってくれるだろう。
アメリカの飲食業界の活用法「多言語対応」
ChatGPTは、英語を筆頭とする世界95言語に対応している。言語の組み合わせによって翻訳のクオリティに偏りがあるものの、英語からヨーロッパ各国の言語や、英語から日本語への翻訳(あるいはその逆)のクオリティは相応に高いようだ。観光客が多く訪れる店などの多言語化のニーズがある飲食店では、ChatGPTを活用する機運が今後さらに高まってゆくだろう。
日本の飲食業界でも活用できるか?
日本の飲食業界におけるChatGPTの活用法のうち、筆者が特に期待しているのが店の多言語化だ。インバウンド観光客の訪日復活に合わせ、日本の飲食業界における多言語化ニーズが増加している。大手のチェーン店などでは、メニューの電子化などに合わせて多言語化が進んでいる。しかし、多くの中小零細の飲食店では、メニューは日本語のみで提供しているところが未だ少なくない。
ChatGPTは、細かいニュアンスのセンテンスを正確に翻訳することができるので、例えば、「次の文章を英語に翻訳してください。『朝市から仕入れた食材を、シェフがその日一番食べてもらいたいお料理で構成されたコースです』」という指示に対しては、
The English translation of the given sentence is: “This course is made up of dishes created by the chef using ingredients sourced from the morning market, with the aim of serving the freshest and most delicious dishes of the day.”
という結果が出力された。翻訳のクオリティは、ニュアンスの絶妙な表現を含めて相当高いものとなっている。日本の中小零細の飲食店にとって多言語化のための強力なツールとなる。ChatGPTは、日本の飲食業界も大きく変えるパワーを秘めている。
関連サイト
https://lunchbox.io/learn/chatgpt-and-ai-for-restaurants
https://www.youtube.com/watch?v=ATBOREm7B0Q