全米でピザレストランを展開している世界第三位のピザレストランチェーンの
また、電話・モバイルオーダリングで注文を受け付けると、AIが注文者の個人情報や過去の購入履歴などを参照して注文者が何を注文してくるかを事前に予想して調理スタッフへ調理開始の指示を出すため、調理時間の削減に成功している。従前では注文受付から調理を開始し、注文の品を提供するまでに数十分程度を要していたが、それがわずか数分単位へ削減されるというから店側がセーブできるリソースは大きい。
アメリカで1800店のメキシカンレストランを経営しているチポトレ・メキシカン・グリルは、店舗のキッチンにカメラと3Dセンサーを使ったAIモニタリングシステムを導入し、業務の大幅な効率化に成功している。
フードテック・スタートアップ企業のプレシテイスト(PreciTaste)と共同で開発したAIモニタリングシステムは、キッチンに装備された具材などの材料をストックしているコンテナーをモニタリングし、例えば昼時のラッシュ時間にステーキブリトー用の具材が不足するとAIが予想すると、事前にスタッフに充足するよう促す仕組みだ。AIモニタリングシステムの導入により材料の欠品を防止し、ひいては人気商品の販売ロスを防止することが可能になるため、売上の増加に大きく貢献している。
これまでは店長やキッチンスタッフの責任者が個人的な経験をもとに行っていた材料や具材の準備をAIに切り替えることにより、仕入れの適正化や食材の廃棄ロスを大幅に削減することが可能になる。こうしたAIによる「需要予測システム」は、在庫管理や仕入管理が重要とされる寿司店やファストフード店などにおいて、今後さらに導入が進む可能性が高いだろう。
単純に来店客数や売れ筋メニューの「需要予測」にも
オーナーは、「需要予測をより正確に行うことで、仕入れをより効率的に行い、利益率を改善し、スタッフ配置のスケジューリングをより正確にできるようになります」と、AIによる需要予測システム活用のメリットを説明している。
クラウドベースのAI需要予測システムの台頭が普及を後押し
クラウドベースのAI需要予測システムは、単に利用者が高性能のプラットフォームを安価に利用できるというだけがメリットではない。プラットフォームを利用するすべての店舗で得られたデータを「ビッグデータ」として活用することで需要予測の精度を上げ、さらなる利用を促すという善循環の発生が期待できる点もある。天気予報が過去の膨大なデータをベースにより正確な予報を行うのと同様に、ビッグデータにより多くのデータが集まりAIがマシンラーニングすることにより、予測の精度はどんどん向上してゆく。
日本でも同様のトレンドが発生する?
実際に、日本でもアメリカと同様に、飲食店を対象にAIによる需要予測システムのプラットフォームやアプリケーションを提供する事業者が少なからず登場してきている。筆者の予想では、現在日本の飲食店で普及が進むモバイルオーダリングと同程度に普及する可能性が高い。プロの漁師が有料の気象予報サービスを利用しているように、プロの飲食店経営者が有料の需要予測システムを普通に使う時代が、間もなくやってくるかもしれない。
関連サイト
https://hospitalitytech.com/news-briefs/2024-02-21?article=survey-reveals-strong-interest-intent-ai-adoption-among-restaurant-operators
https://www.businessinsider.com/ai-helping-restaurants-little-caesars-forecast-customer-demand-2023-9