米ペンシルバニア州ピッツバーグにキオスク・メキシカンレストランがオープンし、話題になっている。新型コロナウィルスの感染拡大が続くアメリカでキオスク・レストランが登場した背景、キオスク・レストランの売上、イートインからテイクアウトへの消費者のシフトなどをレポートします。
パンデミックの渦中に登場したキオスク・レストラン
新型コロナウィルスの感染拡大が続くアメリカで、飲食店の営業再開への動きが始まっている。しかし、コロナパンデミック渦中にある飲食店は、未だに経営に制限を課せられている。ペンシルバニア州では、2020年7月15日にウルフ州知事が飲食店の営業ガイドライン改訂版を発表したが、店内での飲食キャパシティは未だに定員の25%に制限され、テイクアウトやデリバリーへの営業シフトが奨励されている。飲食店の営業にもソーシャルディスタンシングが求められているわけだが、そうした中でのキオスク・レストランの登場は、コロナパンデミック渦中にある飲食店の新たな試みとして注目されている。
一台を除き、すべてキオスクが対応
モーズ・サウスウエスト・グリルのピッツバーグ店は、一台を除き、すべてキオスクが対応する「デジタル・レストラン」だ。店内に四台のキオスクが設置され、客はキオスクのタッチスクリーンで注文する。注文情報はキッチン内のディスプレーで共有され、キッチンスタッフが調理する。料理は店内でのイートインも可能だが、多くはテイクアウトされる。支払いはクレジットカードやAppleペイなどの電子マネー、または現金で行う。
またキオスク以外に、専用の注文アプリをスマートフォンにインストールして注文することも可能だ。注文アプリを使えば、事前に注文して待たずにテイクアウトすることもできる。ミレニアル世代の多くは、キオスクよりも注文アプリを使って注文することを好んでいるようだ。ミレニアル世代はスマートフォンの利用率が高く、SNSなどとの親和性が高いため、スマートフォンで注文することに違和感を覚えないのが理由だ。
気になるキオスク・レストランの売上は?
ガイガー氏は、「キオスク・レストランは当初、キャッシャーがいない分、人件費が削減できるだろうと読んでいました。ところが、フタを開けてみると人件費は他の店舗よりも多くなりました。もちろん、売上もそれに見合って増えています。飲食店の経営にテクノロジーを導入すると人間の仕事が奪われると一般的には思われがちですが、テクノロジーを導入したことで、逆に雇用が生み出される結果になったのです」とコメントしている。
イートインからテイクアウトへのシフト
ピッツバーグのキオスク・レストランの好調を受け、ガイガー氏は、カリフォルニア州オークランドにもキオスク・レストランをオープンさせている。オークランド店もピッツバーグ店と同様、業績は好調だそうだ。なお、モーズ・サウスウエスト・グリルは既存店舗へのキオスク端末を順次進め、いずれ全店舗を「デジタル・レストラン」に転換するとしている。
三密を避けるトレンドは日本でも
ところで、日本でも新型コロナウィルスの感染拡大が新たに広がりつつある。東京、大阪、名古屋などの大都市以外の地方都市でも感染者が増加している。東京では先日、都知事が飲食店に対して営業時間の短縮を要請するなど、新型コロナウィルスの影響が改めて広がりつつある。日本の消費者もアメリカの消費者と同様、飲食店における三密を忌避し始めている。
コロナとともに生きねばならない今日の日本の飲食店はどうすべきか。モーズ・サウスウエスト・グリルのようにキオスク端末を導入するのは極端だが、ある程度「デジタル・レストラン」化する必要があるのは言うまでもないだろう。少なくとも、スマートフォンなどからオンラインで注文を受け付けるリモートオーダリングシステムなどの導入は必要だろう。リモートオーダリングシステムをPOSシステムなどと連動させ、経営そのものをデジタル化できれば、大きな経営革新が望めるかも知れない。
新型コロナウィルスは、飲食店と、飲食店を利用する私たちの消費様式を大きく変化させた。「三密を避ける」「ソーシャルディスタンシングを保つ」をキーワードに、コロナパンデミックをお店のデジタル・レストラン化を実現する絶好の機会とすべきだろう。
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参考URL:
https://thespoon.tech/moes-southwest-grill-opens-kiosk-only-restaurant/
https://www.prla.org/reopeningparestaurants.html
https://www.bizjournals.com/pittsburgh/news/2020/06/24/oakland-gets-first-kiosk-only-moes-southwest-grill.html