飲食店の居抜き物件が熱い!店舗移転や多店舗化するなら、今が最良な理由

飲食店をオープンするには多額の資金が必要になります。しかし居抜き物件を活用すれば大幅なコストダウンが図れ、場合によっては1/2または1/5程度に抑えることもできます。
ここでは居抜き物件とはどういうものなのか、またどのように探せばよいのかを紹介します。

 

厳しい時期だからこそ、チャンスと言える

飲食店には厳しい時期だと言われていますが、ピンチはチャンス。新たに店舗をオープンしたいと考えている場合や、今までと条件の違う立地に店舗を移転したいと考えている人には、これ以上ない、大きなチャンスとなっています。

なぜなら、程度のよい居抜き物件がたくさん出ているから。居抜き物件とは、継続をあきらめた物件のうち、客席や厨房機器などをそのままにして次の貸し手を探しているものです。

「そんなのは小さな個人店に限った話しだ」と思っているオーナーも多いようですが、飲食店は大小さまさまなものがあり、そのほとんどのサイズで居抜き物件は存在しています。大きなものではファミリーレストランでも居抜き物件があるほど。飲食店では居抜き物件は定番なのです。

飲食店に居抜き物件が多い理由

飲食店はとくに居抜き物件が多いと言われます。
それはなぜでしょうか?

飲食店は店舗を作るのに特に大きなお金がかかります。客席はもちろん、厨房にもコストがかかる設備を入れなければなりません。スケルトン物件であれば、排水設備から作らなければ営業許可は下りません。このことは飲食店を始めた人であればご存知のことでしょう。

そうであるにもかかわらず、飲食店をはじめる人は多くいます。当然、経営はなかなか難しいものであり、閉店を余儀なくされるところが多く出てきます。

店内に作った設備(店内造作などと言います)はまだまだ使えるもの。新品を入れているとすれば、10年以上は使えます。しかも、オーナーの多くは借り入れをして店舗をはじめていることが多く、閉店にあたっては少しでも現金が欲しいと考えます。そこで、店内造作をそのまま次の人に売りたいと思うわけです。

一方、大家さんとしても、安いコストで飲食店をはじめられるとなると入居希望者が増えることから、居抜き物件として次の借り手を探すことを許可することが多くなります。また、店舗物件は退去予告を3ヶ月前にするところが多く、「撤退の日までに次の借り手が出てくるのであれば、居抜き物件としてもよい」としているケースもあるのです。

コロナ禍では、飲食店経営をあきらめる人が増加。そのため、市場には居抜き物件があふれています。しかも、通常であれば儲かっていた好条件の立地であっても賃料は下がっています。コロナ禍前なら、掘り出し物件として取り合いになったようなものもたくさんでてきているので、今こそチャンスなのです。

造作譲渡に相場はない

店内造作については、もちろん有料で引き渡されることになります。これを「造作譲渡」などと言います。この金額はピンキリで、相場はないと言われるほど。
では、なぜ相場がないのでしょうか?

それはオーナー同士が価格を決めるためです。

最近は飲食店向けの居抜き物件を専門的に扱う不動産屋も出てきていますが、多くは一般的な不動産屋が扱っています。不動産屋は物件価値は分かっても、造作の価格は分かりません。そのため、「新旧のオーナー間で決めてください」となります。当然、造作譲渡の費用も、物件取得費とは別でオーナーに直接払うのが一般的です。

このとき、前オーナーは経営がうまくいかなかったから撤退を選択したわけで、多くの場合、借金を抱えています。しかも厨房機器はまだまだ使えるため、できるだけ高く売りたいと考えます。一方、新オーナーはできるだけ安く買いたいと思っていて、双方の交渉によって最終的な価格が決定されます

筆者の知る例では、提示された額をそのまま払ったというオーナーが多い一方、交渉がうまい方は、「半額になった」などという例が結構あります。


15坪の居酒屋の造作譲渡150万円の事例

居抜き物件で飲食店をはじめた例を紹介します。

店舗面積20坪ほどの居酒屋です。この広さをスケルトン状態から店舗にした場合、それほどコストをかけない場合でも500万円はかかります。実際の店舗は、立派なカウンターを作り、厨房機器は最新のもので揃え、排水設備も作ったため、1,000万円ほどのコストがかかったそうです。

開店したのは3年前でしたが、売り上げは伸びず、コロナ禍となったことで、「これ以上傷口が開く前に店舗を手放したい」と苦渋の決断に至りました。

次の借り手は見つからないと内心あきらめていた様ですが、ターミナル駅近くで十数年飲み屋をやっていたオーナーが、同じようにコロナ禍の煽りを受け、「もっと家賃が安く済むところに店を移したい」と考えていたことで、よい具合に次の借り手となりました。

この時、前オーナーは、残りの借金を返したかったことから、造作譲渡を400万円と設定していました。しかし新オーナーは、「400万円は高すぎる」と突っぱね、最終的に150万円で決着させました。

居抜き物件をどうやって探すか

では、居抜き物件を探すときは、どうすればよいのでしょうか。

最近は、飲食店向けの居抜き物件を専門に扱う不動産業者も出てきました。インターネットを使うのなら、「飲食店 居抜き」などと検索すればヒットします。コロナの影響で継続をあきらめる飲食店が多いため、物件数は爆発的に増えています。コロナの前、数店舗しかなかった地域でも、何十件という物件が並んでいるから驚きです。

また、一般的な不動産屋に行って探す方法もあります。不動産業者1店舗で扱っている物件数は少ないのですが、専門業者より好条件で借りられるものを見つけやすいという特徴があります。

ニーズにあった居抜きを物件探すコツ

よい居抜き物件とは、どのようなものでしょうか?

以下に、特に重要だと思われることをまとめてみました。

1. 客席と厨房のバランスを見る
2. 家賃や保証金以外に、造作譲渡の金額上限を決めておく
3. 必要な厨房機器、不要な厨房機器を見極める
4. 造作譲渡の対象を確認する
5. リース品には十分注意する

ではひとつずつ見ていきましょう。

客席と厨房のバランスを見る

どのような業態にするかによって必要な厨房の広さは変わります。軽食しか出さないのであれば、 厨房はできるだけコンパクトな方がよいですが、フレンチなどを出す場合、調理スペース以外に皿に盛り付ける場所が必要となります。

居抜き物件では厨房機器を入れ替えることはあっても、厨房自体を広げるということは基本的にありません。そのため、適切なバランスが必要となります。

家賃や保証金以外に、造作譲渡の金額上限を決めておく

よくある失敗として、店舗を見に行ってみると想像以上にキレイで、上限金額を上回って契約してしまうことがあります。イニシャルコストが高ければ、それだけ多くの売り上げをあげなければなりません。家賃の上限金額を決めるのと同じように、造作譲渡についてもいくらぐらいまでなら出せるのかを資金計画に基づいて算出しておくことをおすすめします。

必要な厨房機器、不要な厨房機器を見極める

居抜き物件では、厨房機器の中に不要なものもあります。また、必要な機器がないこともあります。その見極めが大切です。不要な機器は撤去すべきですが、あまりに大型なものは簡単に撤去できないこともあります。また、そのせいで必要な機器を入れられないこともあります。

たとえば海外製の直火のピザ窯。うまく使いこなせず、オブジェになっていることがあります。

居抜き物件では、厨房機器に合わせてメニュー構成を考えようというのも一つの考え方ですが、自分たちに使いこなせるのか、メンテナンスはどうやるものなのかを考えて検討するようにしてください。

造作譲渡の対象を確認する

前オーナーが、場所を変えて飲食店を立ち上げたいから撤退するという場合、一部の厨房機器などを次の店に持っていくというパターンがあります。「ここにあったはずの機器がない!」というのは、決して珍しい話ではありません。前オーナーは「これは売らない」と言ったはずだと言い、新しいオーナーは「そんなの聞いてない」と水掛け論になってしまいます。

できれば造作譲渡はリスト化してもらい、確認後にお金を払うのが安心です

リース品には十分注意する

最近は高額な機器類をリースする人も多くなっています。リース会社により若干の違いはありますが、多くの場合、リース品はそのまま引き継ぐことができません。両オーナーともにそのまま引き継ぐつもりだったのに、それが無理だったというのもよくあります。

またリース途中で解約する場合、残金を一括で払わなければなりません。この場合、前オーナーが残金を払い、その金額を造作譲渡にのせるのが一般的。こうなると予定よりも譲渡金が高くなったり、途中で金額を高くされたりするケースが出てきます。リース品は事前に確認しておくようにします。

機器類が故障していたらどうするか?

厨房機器は故障します。特に店舗を一度閉店している場合、冷凍冷蔵庫やエアコンは一定期間電源が入っておらず、再度動かしてみたら通電しなかったという例もあります。しかし多くの場合、譲渡を受けた以降は、新オーナーの費用負担でメンテナンスをすることになります。

できれば、引き渡しの前に通電確認をしてもらい、冷蔵庫がしっかり冷えるのか、エアコンから適切な温度の空気が出るのかなど、基本的なことを確認してもらいたいものです。電力会社との契約が切れている場合、「通電しない場合は前オーナーの費用負担でメンテナンスをする」とすると安心です

引渡しを受けた以降、厨房機器は各メーカーと保守契約を結ぶことをおすすめします。厨房機器は多くのメーカーが中古でも定期メンテナンスを行ってくれます。もちろん有料となりますが、いつ壊れるか分かりません。中古機器を扱う店で再販売されるものとは違い、 プロによるメンテナンスが入らない状態で引き渡されるので、できるだけ早く契約を進めましょう。

まとめ

コロナ禍で多くの飲食店が店舗の継続をあきらめる今は、飲食店をはじめたい人や店舗拡大を狙いたい人には大きなチャンス到来と言えます。程度のよい飲食店がかなり安い金額で出ていますし、新しい物件を求める人が少ない分、大家さんも家賃を下げているからです。

居抜き物件は低コストではじめられます。資金に余裕のある人は、このチャンスを逃す手はありません。気になる人は、早めに店舗探しをしてみてください。

 

[ 関連記事 ]



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。