前回、躍進するアメリカの日本発飲食店をご紹介する記事の第一弾として、ハワイ州、カリフォルニア州、テキサス州で事業を拡大中の丸亀製麺についてお伝えした。丸亀製麵は「自家製麺」で「セルフサービス」という、日本発のユニークでハイクオリティなメニューが現地人のハートをしっかりと掴んでいるが、そのアメリカで日本式の焼肉レストランを展開、事業を拡大している企業がある。今回は、アメリカで日本式焼肉レストラン「牛角」を展開しているレインズインターナショナルをご紹介したい。
「牛角」運営レインズインターナショナルについて
焼肉レストラン「牛角」を運営する株式会社レインズインターナショナルは、不動産業界出身の起業家西山知義氏が1987年に設立した不動産賃貸管理を主たる事業とする会社である。創業から9年後の1996年に東京・三軒茶屋に「牛角」の原型となる「焼肉市場 七輪」をオープンし、「牛角」の歴史をスタートさせた。
翌年、店名を「牛角」に変更したが、「牛の角のようなアンテナでお客さんの声に耳を傾ける」と言う意味が込められたという。
「牛角」は創業当初より主にフランチャイズによる多店舗展開を志向し、創業翌年の1997年には東京・渋谷にフランチャイズ一号店をオープンしている。「美味しくて、安くて、サービス・雰囲気が良い」をコンセプトにした炭火焼肉レストラン「牛角」は消費者の心を着実に掴み、2020年頃までには800店以上を展開する日本最大の焼肉レストランチェーンへと成長した。
なお、「牛角」を運営する株式会社レインズインターナショナルは、2015年に株式会社コロワイドに買収され、現在は同社の完全子会社として運営されている。
アメリカの「牛角」
ところで、アメリカで「牛角」事業を展開しているのはレインズインターナショナルのアメリカ現地子会社のREINS International (USA)である。「牛角」のアメリカでの屋号は「Gyu-Kaku Japanese BBQ」で統一され、現地でも「Gyu-Kaku」の名称でブランド展開されている。
アメリカにオープンした「Gyu-Kaku」第一号店は、2001年7月にオープンしたウェストロサンゼルス店だ。生の肉を自分で好きなように焼いて食べるという日本独自の焼肉スタイルは現地人の興味とニーズを掴み、「Gyu-Kaku」は「日本流の焼肉レストラン」というイメージをアメリカ人に植え付けることに成功した。
「Gyu-Kaku」ウェストロサンゼルス店はテレビや新聞などの現地メディアにも取り上げられて話題となり、「Gyu-Kaku」は現在までにロサンゼルスエリアだけでもウェストロサンゼルス店に加えてダウンタウン店、トーランス店と店舗を増やしている。
「Gyu-Kaku」はその後、ビバリーヒルズ、サンディエゴ、サンフランシスコ、シリコンバレーといった、他のカリフォルニア州の都市部に出店し、続いてハワイ州やネバダ州といった近隣州の都市部、さらにニューヨーク、シカゴ、ボストン、フィラデルフィア、マイアミ、シアトルといった、アメリカ全土の各主要都市に出店している。「Gyu-Kaku」は、これまでにアメリカ全土で64店舗を運営するまでに拡大し、隣国カナダでも9都市で「牛角」を展開するまでに成長している。
主なメニューと価格
そんなアメリカの「Gyu-Kaku」だが、気になるメニューと価格はどうなっているだろうか。ここでは、記念すべきアメリカ進出第一号店のウェストロサンゼルス店のメニューを見てみよう。
「アラカルト」の主なメニューは以下のようになっている。(1ドル147円で換算)
プライムカルビ(USビーフ) | 15.45ドル(約2,271円) |
ハラミビーフ(USビーフ) | 12.45ドル(約1,830円) |
神戸スタイルカルビ・ショートリブ(USビーフ) | 25.45ドル(約3,741円) |
ビーフタン(USビーフ) | 14.45ドル(約2,124円) |
プレミアムサーロイン(USビーフ) | 10.45ドル(約1,536円) |
カルビ・チャックリブ(USビーフ) | 9.45ドル(約1,389円) |
アンガスビーフリブ(USビーフ) | 8.45ドル(約1,242円) |
※2025.5時点
なお、いずれも「甘醤油だれ」「ガーリックだれ」「塩だれ」「バジルだれ」などの六種類のたれから好きなものを選べるようになっている。また、牛肉以外にも
チキン照り焼き6.45ドル(約978円)
豚バラ肉7.45ドル(約1,095円)
ジャパニーズポークソーセージ6.45ドル(約978円)
なども用意されている。「食べ放題」は、13歳から59歳までが1人60ドル(約8,820円)、6歳から12歳までの子供が1人30ドル(約4,410円)、60歳以上のシニアが1人43.50ドル(約6,394円)となっている。ある程度の量を食べるお客の多くが「食べ放題」メニューを選択しているようだ。
「Gyu at Home」メニューでは、それ以外に枝豆やチキンウィングなどのサイドメニューや、調理済みBBQ肉をトッピングした「Gyu-Bowls」(牛丼)、ビーフラーメンやとんこつラーメンなどの麺類なども提供している。
気になる「Gyu-Kaku」の評判は?
「初めて利用しました。土曜日の午後だったため少々待たされましたが、待つだけの価値はあります。日本料理が好きで、火鉢で肉を自分で焼いてみたいという人にはおススメです。素晴らしいお店です」(5点満点中4点 男性)
「友人と一緒に過ごすには最高のお店です。料理は美味しいし値段は適切です。何よりも自分で自分の食べ物を調理する点が最高です。(初めて利用する人には)素晴らしい経験となるでしょう」(5点満点中4点 女性)
「(牛角ウェストロサンゼルス店は)いつも大勢のお客で混雑しています。自分が食べるものは自分自身で調理します!ティーンエイジャーなどの子供にとっては最高に楽しいでしょう。まるでキャンプに来たような雰囲気を楽しめます」(5点満点中4点 男性)
Tripadvisorでの総合評価は5点満点中4.0点で、全体平均を大きく上回っている。特に良く聞かれるのが「自分の食べ物を自分で調理するのが面白い」という声で、日本独自の焼肉スタイルが現地で受け入れられていることを示している。「丸亀製麵」と同様に、「Gyu-Kaku」はアメリカの地で「日本独自の飲食文化」を根付かせることに成功し、市場拡大に成功しつつある。
【参考サイト】
牛角
Gyu-Kaku Japanese BBQ
株式会社レインズインターナショナル
Tripadvisor.co.uk Gyu-Kaku Japanese BBQ Los Angeles California