一気に増加した5G。ソフトバンクは、2022年3月末時点で人口カバー率90%を突破したと発表しました。前々から、「5Gが普及すれば動画によるマーケティングがますます注目される」と言われてきましたが、まさにその通りで、飲食店でも活用しているところが増えています。
また、少し前までは、動画配信分野ではYouTubeが一人勝ちでしたが、マーケティングへの活用と言う意味では、LINE公式アカウントが注目されています。
今回はYouTubeやLINEを使った動画マーケティングについて考えていきます。
参考:総務省 5G市場の予測
動画マーケティングを取り巻く環境が大きく変化した
筆者は飲食店のさまざまなマーケティングをサポートさせて頂く機会があるのですが、最近特に増えていると感じるのが動画マーケティングです。
ただし、これら2つに共通していたのは、制作費が高かったと言うこと。マーケティング会社が主導で行っていたことも理由のひとつでしたが、何にせよ、コストがかかれば、それだけの効果を期待します。
しかし残念ながら、これらの動画マーケティングでは満足できる費用対効果を上げた店舗は少ないものでした。
発注先にもよりますが、店舗の動画を制作する費用は、何十店舗も店舗を持つチェーン店でも、1店舗しかなくてもそれほど変わりません(もちろんやり方次第で費用は変わりますが)。こうなると、店舗が少ないところでは、その費用を挽回するのが難しくなるのは当然です。
ところが最近は、この風向きが大きく変わっています。マーケティングを行う会社などに話をすると、「そんなことは言ってくれるな」とよく言われますが、現実的な話として、以前の比ではないほど、安く動画を作り、効果を上げることができるようになったのです。
中には、固定したスマホで動画を撮影し、アルバイトが編集をして配信する店舗もあります。これなら、アルバイトに払う時給だけで動画ができるわけで、制作会社が作るものと制作コストを比較すると雲泥の差になります。
スマホさえあれば動画は制作できる
動画を取り巻く環境の変化は、2方向から起こっていると感じています。一つ目は、動画制作の技術面での変化です。
しかし、一方では回転寿司や宅配寿司のニーズがあるのも間違いありません。これらの店舗では、築地に行かなくても鮮魚店に注文すれば魚が納品されます。チェーン店なら、本部に発注すれば納品されるところもあるでしょう。
この場合、鮮魚はすでに内臓などを取り出されているだけでなく、サクになっていたり、ときにはカットされていたりします。こうなった背景には冷凍技術の進歩があるわけで、これと同じようなことが動画制作の場でも起こっているのです。
例えばスマホ。2016年に公開された映画「シン・ゴジラ」はiPhoneで撮影されたシーンがあると話題になりました。それから6年経ち、より簡単にプロ並みの撮影が可能になっています。iPhoneのシネマティックモードなどを使えば、ピント合わせをしなくても自在に趣のある撮影が可能になっています。
もちろん、一流の職人が制作する動画とまったく同じ映像とはいきません。ですが、それなりのものが制作できるのは間違いありません。
また、編集についても、細かい拘りを持たないのであれば、スマホだけで編集して配信まで行えます。スマホやタブレットでもテロップやBGMを入れることもできるので、誰でもすぐに動画配信ができる環境が整っているといえます。
「信じられない」と言う方は、書籍が多数出ていますので、本屋などでチェックしてください。動画制作がいかに身近なものになったかがお分かりいただけると思います。
見る側も変化している
さて、もうひとつの変化は、観る側の感覚の変化です。
今は、YouTubeを見たことがないと言う人を探すのが大変なほど、動画を目にする機会が増えました。これによりスマホで見る動画に関しては、映像のよさよりも、コンテンツ力を重視する傾向が顕著になってきました。
一方、YouTubeの多くはスマホや安いデジタルカメラが活用されています。Youtubeの中には、撮影技術が未熟で、手振れがひどいものなどもあります。それを見て、「こんなに揺れたら見にくいよ」とは言うものの、我慢して見ると言う人が多くなっているのです。
つまり見る側は、映像のクオリティを求めること以上に、コンテンツの中身を見ているのです。もちろんテレビCMとして流すのであればそれなりのクオリティが必要なのは当然です。しかし、一般の飲食店が行うのはテレビCMではなく、YouTubeやLINEを使った動画であり、スマホやパソコンで見るもの。つまり、それほど凝った美しい映像ではなくても見てもらえる可能性は高くなっています。
「とはいえ、映像には凝った方がいい」と言うプロのカメラマンやプロデューサーはいます。それもある意味、事実だと思います。ですが結局のところ、費用対効果がよくなければ宣伝は続けることができません。個人的な意見かもしれませんが、筆者は自作したり、安く編集をしてくれる人を雇ったりして、継続的に露出していく方が断然よいと考えます。
なぜなら・・・
YouTubeを見ていると、企業がお金をかけて制作した動画と、お客さんが撮影した動画が続けて表示されることがあります。そのお客さんにチャンネル登録者が多くいるなら、お金をかけて制作した動画の何十倍、何万倍も見られる可能性が高く、影響力が高いのもこちらになります。これが、映像の素晴らしさが影響力の高さとイコールではないことの証明です。
飲食店には優良コンテンツがあふれている
では、何を撮影すればよいのでしょうか?
気が付いていない方が多いのですが、飲食店には優良コンテンツがあふれています。
まずは、視聴数が多い飲食店関連の動画をいくつか紹介してみましょう。
「世界一再生されている、たこ焼き屋さん」のたこ焼きの焼き方。早送りなし。高画質ノーカット版。誤差1粒1g未満。
再生回数 452万回
【厨房の皿洗い 徹底解説】実際の洗い場風景
再生回数 35万回
オムライスの裏技 2019年版 Omurice
再生回数 624万回
究極の「ふわとろオムライス」の作り方【ノーカット完全版】
再生回数 1962万回
【Takeoutお弁当仕込み】1時間で7種類のお弁当を作る~コロナと戦う飲食店~
再生回数 12万回
お見事!ワンオペで回す家系職人の厨房に密着!【調理風景】
再生回数 50万回
いかがでしょうか?
どれも日常的に厨房で行われている風景ですよね?
Youtubeでは、再生回数1万回いけば大成功といわれます。これを考えれば、どれもとんでもない再生回数であることがお分かりいただけるでしょう。
飲食店で発信すると良いと思うコンテンツは以下です。
● 調理のコツ
● 厨房の様子
● 片付けの様子
● 掃除のやり方
どれも簡単ですよね。
ここで注意すべきなのは、「お店の宣伝をしない」と言う点です。動画では、まずはコンテンツに興味を持ってもらい、その中の何人かが店舗に興味を持ち、来店につなげます。
中には、「調理のコツを伝えてできるようになったら、来店しないんじゃないか」と考えるかもしれません。
しかし、今どきの考え方は違います。難しいやり方を知り、「 やっぱりできない」と感じ店に足を運ぶ。あるいは、できるようになったとしても、「ぜひ本物の味を食べてみたい」と感じ、足を運ぶのです。
LINE公式アカウントで動画を配信する
撮影した動画をどこで配信するかは重要です。より多くの人に見てもらうにはYouTubeは外せません。ただし、マーケティング効果を期待するなら、もうひとつ忘れてはならないのがLINE公式アカウントです。
Youtubeは新規客を集めるのに役立ちます。一方、すでに店舗に足を運んでくれている人に、ピンポイントで届けられるのがLINE公式アカウント。用途が違っているのがポイントです。
LINE公式アカウントで動画を発信する方法はいくつかありますが、一般的なのはメッセージ送信で動画を添付する方法と、「リッチビデオメッセージ」となります。
この2つの違いは、動画添付ではユーザーが自分で再生を押さなければ動画を見られないのに対し、リッチビデオメッセージは開けば自動的に再生され、動画視聴後に外部サイトに誘導できる点です。
YouTubeで公開する動画のショートバージョンをLINE公式アカウントに添付した上で、「フルバージョンはこちらから」としてYoutubeに誘導しているところもあります。
LINE公式アカウントは単にメッセージを送るだけでなく、モバイルオーダーに接続するなど、さらに深堀りして売り上げ拡大につなげていけるのも魅力です。ぜひ、積極的に活用してください。
まとめ
飲食店が今やるべき動画を使ったマーケティングについて解説しました。
飲食店には配信すべきコンテンツがたくさんあります。それを放置しているのはもったいないこと。ぜひこれを活用して、集客につなげていただきたいと思っています。
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